小咄其の弐拾壱 びゅーてぃ・ころしあむ
「最近のナオミはどんな顔だ?母さん」
グレゴリーペックの顔で大塚憲一(仮名)さんは妻に聞いた。
「さ〜ねぇ、今年に入ってからはあんまり整形してないみたいよ。携帯代が掛かってるからって」
妻のヒロミさんはオードリーの顔でモンローの胸を揺らし、応えた。
「最近はプチ整形も飽きられたのかな? ワシらの若い頃はみなこぞってアイドルや俳優の顔や体に憧れて、月に
2度も3度も整形したのに。」
「はいはい。あなた私との見合いの時も『親と顔つきが違う』って私が言ったら、親の顔まで整形させたもんねぇ…」
「だいたい近頃の若いモンは決断力もないし軟弱すぎる。何故親からもらった大事な体をもっと改良しようとせんの
だ?」
大塚さんはシュワルツネッガーの腕を振り上げて叫んだ。
ちょうどその時直美さんがマスクとサングラスをしたまま帰宅し、2階の部屋に行こうとしていた。
「待ちなさい、整形したなら顔を見せておきなさい。お客と間違えるだろ。またワケの分からない外タレか何かか?」
ナオミはのろのろと応えた。
「私こういうの決めるのってメンドくてぇ、なかなか一つにしぼれないからぁ」
彼女はマスクとサングラスを外した。
「この次きめよーと思ってぇ…」
頬に青い目が二つ、高鼻がひとつ、ナオミの顔には余分に付いていた。