小咄其の拾九 対 岸 の 火 事
「最近I国とA国の戦争が終わってから、どうよ。なんか変わった?」
蕎麦をすすりながら緒佐間君が問う。
「いやあ変わらんなー。不景気も一緒だし、なんか税金増えてるし」
テレビを見ながら布施君が答える。
「だよな〜いくら戦争があったって言っても、俺っちの国じゃ関係ないよねー…んで、なんのニュース見てんの?」
「またゲーム会社が合併、弱小銀行は大手銀行が吸収だとさ。生き残るため、かねぇ…」
興味もなさげに呟く。政府の見解で、よく聞く政治の代表者が話している。緒佐間君もテレビを見上げた。
「なあ、総理大臣、いまいいこと言った。Aへの渡航、パスポートなしでOKになったとさ。大リーグもすぐ観られるゾ」
「ふんふん、関税もなし? 首相、よほど戦後支援したんかな?」
「とにかくこれでAにも行きやすくなったなー。俺たちホントのA国人みたい。なはははは!」
二人は声をあげて笑い、蕎麦を食った。テレビでは、合衆国「日本州」州知事となった長髪の中年が誇らしげに雄弁を振る
っていた…。