小咄其の拾四 レッドデータ・アニマル
「最近流行ってんのってサ、タマちゃん? それももう遅いの? いつの間にか
トキだっけ、あの鳥。騒がなくなっちゃたネ〜。」
「キャハハっ、ハンペン、遅れてる〜! ってゆーか、無理ないか、長いこと留学
して、日本、帰ってきたばかりダモンね」
喫茶店。浦島半平太の言葉にガールフレンドの鮎子は笑って応えた。
「いくら天然記念物だって、いっぱいいちゃあ誰も話題にもしないわヨ。珍しいか
らみんなチヤホヤするだけ。ジョウシキじゃん」
くったくのない彼女の言葉に、そんなもんか、とうなずく半平太ではあった。
「まったく世間から取り残されちまうよナ。せっかく帰ってきても、なんだか自分
だけ外国人みたいだ…あ、そーいや、つむじとヘソ、いっしょに押すとゲリするっ
て、なんかの雑誌に書いてあったケド、あれ、ほんとだったんだなー! オレ、初
めてわかったヨ。」
「…。」
「?」
「……。」
「あれ、オレ、なんか変なこと言ったか?」
鮎子の奇妙な顔を訝しんだ半平太だったが、すぐに返答が返ってきた。
「なんでもなーい。喫茶店で下痢とかそんな話しないでよもう、サイテー!」
「あ、あはは、ごめんごめん。お、オレちょっとトイレっ。」
場が悪くなったか、それとも本当に催したか、そそくさと席をたったボーイフレン
ドを見送ると、鮎子は携帯を取り出し、話しだした。
「…もしもし、あ、*****です。はい、今確認しました。彼、間違いなく『純
潔種の日本人』の生き残りのひとりです。
ええ、我々++++++が彼等と入れ代わって、あまりにスムーズだったので危う
く全滅させるところでした。
はい、注意して捕獲します。種の保存のためにも……。」
周りのウェイター、客全員が目配せしあい、うなずいた。
「お待たせっ。アユ、今度はどこ行こうか?」
「そうね〜、二人きりになれるトコ、かな? ひとりでどこか行っちゃ駄目よー。
キャハハハ。」