小咄其の拾四 ダイイング・メッセージ
人里放れたロッジの一室で殺人は起きた。殺害現場に遺留品はなく、ただ床には
被害者のものと思われる血の文字が書き連ねてあった。
「鶏冠警部、こりゃ、何を表してるんでしょネ? 『正』の字が三つ、『一』がひ
とつ」
「馬鹿だねお前は。数のかぞえ方に決まってるだろ! 画数で正は五なんだから、
犯人は5×3+1、つまり16人いたんだ。」
「ええ〜っ、いくらなんでもそりゃ多すぎる。きっとホシに刺された回数だ!」
「ますます馬鹿だなお前は。そんなの悠長に数えてる暇があったら逃げるだろ普通。
これは助けが来るのを心待ちにしていた日数だ。16日間も待ってたんだなぁ」
「・・・そしたら腐ってますよ、ホトケさん。携帯とか、持ってなかったのかな?」
鶏冠警部はぽんっと膝を叩いた。
「そうか! 携帯の番号かもしれん。とにかく16に関係がありそうなものはすべて
調べろ。これで事件も解決だーっ!」
数日後、犯人の正正正一(ただまさ しょういち)が自首してきた。