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<前書き>
この物語は、JINさんが発表している連続ホラー小説 『闇の診殺医大藪ひかる(第3話)』より拝借させ
ていただきました。
ちなみに本編はものすごいホラーですが、今回の話はその続編でありながらもパロディーです。本編との
ギャップをお楽しみくださいm(_ _)m
−−−−−
【本編あらすじ】
変人恋人「北大路」の手によって右腕の生命体に改造されてしまったヒロイン真奈美は、
人工培養液の中において驚異的な突然変異を起こし、ついに自らの意志で自由に動き回れ
るまでに進化した。
そして、その軌跡の力を利用して、彼女はこの事件の発端となった男「北大路」に対し、
見事に復讐を果たす。(詳しくは本編参照)
第1章【真奈美の行方】
右腕1本になりながらも生き長らえさせられた悲劇のヒロイン「真奈美」は、特殊溶液の
中で数日の間に驚異的な進化をとげ、件の犯人にして変人恋人(注:変人以上、恋人未満)
の男「北大路」にみごと復讐を果たした。
だが、復讐を果たしたまでは良かったのだが…
その場所は、彼女自身の生存のために必要な「特殊溶液」で満たされた水槽のある「北大
路の部屋」から「数十キロも離れた地点」であった。
(…早く戻らなければ、死んでしまう)
今、彼女は唯一の移動手段である指を使い、北大路の部屋に向かってカサカサと国道の脇
を、アダムスファミリーのあのキャラのように全力疾走していた。
はたから見れば異様な光景だろうし、人に見つかれば何をされるかわからない。彼女はで
きるだけ人目を避けるように気をつけながら進んでいた。
しかし、もともと爪の長い彼女の足音(?)は大きく、それでいてアスファルトのでこぼこに
引っかかりやすい。しかも腕の第一関節までついているので、速度が出ないうえにバラン
スも悪い。途中何度も転倒しかけたばかりでなく、ここに来るまでの2時間の間に野良犬
に追いかけられたりもしていた。
そんな珍道中だったが、唯一幸いだったのが時間が夜であると言う事だ。
昼間だったらどうなっていたことか…
爪のネイルがはがれても、指先が外を走り回っている猫の「にくきう」のように汚れても、
真奈美は国道をひたすら走り続けた。
そう、生き残るために。
。
第2章【ヒッチハイク】
どう考えても、このペースでは間に合わない。
少なくとも人間が走るのとは速度が雲泥の差である事に気がついた彼女は、国道を走るト
ラックにヒッチハイクする事を決意した。
真奈美は手始めに国道の脇にある田んぼに入ると、その中に設置してあった、妙にリアル
な風貌の「カカシ」に体当たりして倒すと、器用にそれを引きずって稲の間から出てきた。
そして今度はそれを器用に国道の脇に立てると、そのカカシの右袖にはまり、そのまま親
指だけを立てるヒッチハイクのサインを出し、餌がかかるのを待った。
数十分後…
夜の国道を疾走するバカップルがいた。
クソ寒い中オープンカーに乗った2人は、あまりの寒さから、車のホロを出すために停車
場所を探して道の脇を見ていた。
するとちょうど女性の目に、車のライトに照らされた『真奈美のヒッチハイクカカシ』が
飛び込んで来た。
「ちょっ見てよ、なにあれー」
女の指差す方向を男が見る。
「おい、あのカカシやべーだろ。俺たちに『喧嘩』売ってやがるぜ!」
そう言うと、男はカカシに向かって中指を立てて反撃する。
ついでにと、女が車内の空き缶をカカシに向かって投げつける。
その空き缶がカカシの手、真奈美『本体』に命中した。
「スットラーイック!」
「デッドボールだって。きゃはははははっ…」
意気揚揚とカカシの前を通過する2人。
だが、そのすぐうしろに国道を警備中の覆面パトカーがいるなど、2人は想像もしなかっ
た…。
「見たか、今の?」
「ええ、ばっちりビデオにも録画されてます」
「よーし、じゃあ行くぞっ!」
覆面パトカーの天井に突如「赤ランプ」が出現した。
(…あれ、いつの間にか眠ってた?)
空き缶が命中した衝撃で目を覚ました真奈美は全身(?)に力を入れると、いつの間にか下
に向いていた親指を再び上に向け、元の姿勢に戻った。
。
第3章【移動手段ゲットだぜ】
「やってられっか、ちくしょう!」
深夜トラック運転手をしている大男「熊五郎」は、今日も街から街に向かって深夜の国道
を、荷物を運びながら移動していた。
ただ、彼は現在「飲酒運転」の状態であった。
彼は外見から、タフで丈夫で気骨のある人間と運送会社から思われていたため、結構なハ
ードスケジュールを押し付けられていたのである。連日連夜移動を繰り返し、ここ1ヶ月
間は家にも帰れず、帰ったら帰ったで「かあちゃん」が怖い。
長いこと八方塞がりで悩んだ末に、彼は今回の凶行に及んでいた。
助手席にはすでに「久保田」や「魔界へのいざない」など、数本の銘柄の酒瓶が転がって
いる。
そんな彼が酔った上機嫌から鼻歌を歌いながら道端を見ると、ヒッチハイクの記号を出し
た人が立っているのが見えた。
「なんだありゃ?…しかし、ありゃ女か?」
熊五郎はトラックを少し行った先の道端に停めると、助手席側の扉を開け身体を乗り出し
て声をかけた。
「どこまで行くんだ?この先かぁ?俺のでよけりゃ送ってやるぞぉ〜」
自分のかけた声に対してその人物が手を振るのを確認すると、熊五郎は運転席に座りなお
し、『彼女』が乗り込んでくるのを待った。
その間にサンバイザーの後に隠しておいた「口臭防止用」のミントタブレットを1箱口に
含む。このご時世、飲酒運転と騒がれても面倒だからだ。
同時に熊五郎はバックミラーで、その人物の位置をちらちらと確認する。
すると、足でも悪いのか?
その人物は妙にゆっくりと移動していた。
熊五郎はその動きの遅さから、妙な都市伝説を思い出していた。「深夜の国道でヒッチハ
イクをする女性が運転手を冥界へいざなう」というものだ…。
「まさかな…」
そんなはずはないと、彼は頭をかきむしった。
しばらくして、その人物が「助手席側のイス」に手を伸ばすのが見えた。
「トラックのイスは少し高いからな、引き上げてやらぁな」
熊五郎はそう言うとその手を掴み、引っ張りあげた。
そして次の瞬間、熊五郎は口の中で半噛み砕き状態だったミントタブレットを、助手席に
向かって盛大に噴き出した。
「ぶるぅあぁっ!!!」@若本
それもそのはず。
彼の手には、ひじから下の腕が…「真奈美」が握られていたのだから。
「ぶぶぶぶぶぶぶっぶぶばっ、バケモンだぁっ!」
酔いが吹っ飛ぶほど驚いた熊五郎はその腕を外にほおリ投げると、急いでハンドルを握り
アクセルを吹かした。タコメーターは一気にレッドゾーンに突入し、30秒後、熊五郎の
トラックは時速100キロを突破した。
、
第4章【到着】
「うひゃあああぁはぁあぁっ!!」
半分泣き出しそうな叫び声をあげながら深夜の国道を爆走する熊五郎。
彼が助手席側のバックミラーを見ると、そこには外にほおリ投げたはずの手こと「真奈美」
が、コンテナの壁にしがみついている姿が写っていた。
「うひゃはぁああぁぁっ、バケモンが!バケモンが出ぇ〜だぁ〜っ!(泣」
熊五郎のバリケードなチキンハートは、もうクラッシュ寸前だ。
一方、真奈美はトラックの荷台にしがみつきながら思った。
(だれが『化け物』よ!)
(あんた酒くさくない!?)
(ラムネ吹くなっ!)
(無精髭剃りなさいよ!)
(気持ちの悪い悲鳴、自重してっ!)
(ていうか…ああ、もう、突っ込みどころ多すぎっ!)
「うひょほほほほーぃ、ぶぎゃはははははははははっ」
(あれ、狂った?)
必死になった熊五郎は、とにかく真奈美を振り落とそうと更に速度を出す。
だが、真奈美も必死だ。
生き残るためにも、簡単に落ちるわけにはいかない。
いつまでたってもサイドミラーから消えない真奈美を見て、熊五郎はさらに加速した。
そんな2人を尻目に、熊五郎のトラックのラジオのからは、本日のDJリクエスト曲であ
る「らき※すた」のOP曲が流れはじめた。
ラジオ「さあ、始まるざますよ」
ラジオ「逝くでがんす」
熊五郎「俺に死ねと言うかーっ」>>>加速。
真奈美(まともに走りなさいよっ!(怒))
「おい、あれっ」
道端にてバカップルを、空き缶を投げ捨てた罪で逮捕していた覆面パトカーの刑事が、異
常な速度で後方から走ってくるトラックを発見した。
「危険運転です。速度を落として停車してください!」
覆面パトカーの車載スピーカーから大音量で警告音が飛ぶものの、トラックが止まる気配
がない。それどころか、クラクションを連発してきた。
「様子がおかしい、追うぞ!」
覆面パトカーに2人の刑事が急いで乗り込んだ。
数十分後、街に入る地点にある中央分離帯に突っ込んだ熊五郎。
彼は飲酒運転における危険運転の罪で翌日の某新聞の3面トップを飾る事になった…。
。
第5章【将軍よ、私は帰ってきた!】
トラック衝突の衝撃で荷台から吹き飛ばされた真奈美だったが、植木に着地して奇跡的に
無傷で済んでいた。
その後すぐに移動を開始。
東の空が白み始める頃、真奈美は北大路のアパートに到着した。
途中で猫に見つかって飛びつかれたり犬に吠えられたり、朝刊配達の勤労青年に悲鳴をあ
げられたりしたが、今となってはいい思い出だ。
自転車でソバを出前している人に出会わなかったのが、唯一の心残りだったが、営業時間
外だから仕方がないと彼女はそう思うことにした。
彼女は器用に階段を昇り、北大路の部屋の扉にある郵便受けの隙間に身体を突っ込むと、
そのまま部屋の中に移動。
部屋の中にある「溶液」の満たされた水槽に飛び込んだ。
(ああ、これで一安心…)
真奈美はそう思うと、今までの疲れからそのまま眠ってしまった。
…数時間後
突然の浮遊感に真奈美は飛び起きた
(なにっ!?)
「なんだこれは?動くぞ…」
周りを見ると、部屋の中に数人の男たちが乗り込んできた。
風貌からすると、警察の関係者のようだ。
事故を起こした北大路の部屋を調べに来たのだろう。
「なんですかこれは」
「北大路は、いったい何を?」
「わからん…事件の可能性があるな。署で鑑識に回してくれ」
ロングコートの男はそう言うと手に持っていた「真奈美」を、床においてあるクーラーボ
ックスに入れて鍵を閉めた。
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最終章【学会にて】
とある大学の講義堂で、ある学者達の手による発表が行われていた 。
「…と言うわけで、われわれの知らない生命体がこの地上に存在していると言う事が確認
されると同時に、この『寄生生物』は…」
熱弁する壇上の教授が、その傍らにある巨大な四角い箱を覆っていた布を外す。
すると会場から、いくつかの声があがった。
その布の下にあったのは、真奈美が漬けられている、直径30センチはあろうかという巨
大な筒状のガラスでできた水槽であった。そして、その中に満たされた溶液の中を、真奈
美は悠々と泳いでいた。
真奈美は、いつの間にか目を持ち、口をもち、ひれを持つまでに進化していたが、その原
型が人の腕であることを容易に想像できる姿をしていた。
そればかりではなく、真奈美はガラスの壁をモールス信号の要領で叩きながら、周囲の人
に意思を伝えることをやって見せた。
「『ワ・タ・シ・ハ・マ・ナ・ミ。ニ・ン・ゲ・ン・デ・ス』
…そう言っているように聞こえますね。」
会場内の人たちに向かって、壇上から博士がそういうと、
「おぉっ」という驚嘆の声があがった。
「ワ・タ・シ・ハ・ニ・ン・ゲ・ン・デ・ス。ワ・タ・シ・ハ…」
その後、必死にガラスを叩き訴える彼女だったが、誰も彼女の言動を本気にしないばかり
か、会場内に気分が悪くなった人が出たため、再び布が掛けられ、彼女の姿はすぐに会場
外へ運び出されてしまった。
研究発表が終わり会場を出て行く人々の中に、1人の女医の姿があった。
女医は真奈美の入った水槽に近づくと、彼女を見つめながらこう言った。
「…残念ね。人を殺したあなたは私や北大路と同じ。
しばらくは、そうしてなさい。」
彼女はうっすらと笑いを浮かべると、会場をあとにした。
水槽の壁を叩いて紡ぎだされるモールス信号の小さな音だけが、
いつまでも周囲に向けて放たれていた。
「ワ・タ・シ・ハ・ニ・ン・ゲ・ン・デ・ス」
「ワ・タ・シ・ハ・ニ・ン・ゲ・ン・デ・ス」
「ワ・タ・シ・ハ…
<後書き>
長文スマヌ
パロディーと思って作ったら、なぜかSFで締めてしまいました(<アホです
でも、11月11日の修正でとりあえずホラーオチにしましたので、なんとか汚名挽回…あれ?
(<注:汚名は返上するものです。(TT)
ちなみに位置付けとしては、本編とは関係ないただの小説同人です。
本編が発表された時、コメントで「右腕だけになった真奈美をどうしましょうか?」という感じの流れ
ができていたので、職場で考え付いた話を形にさせていただくことにしました。
原作使用の許可をしてくださった、本編製作のJINさんに感謝すると共に、
ここまで長い文章を読んでくださった皆様に感謝します。
最後に…ホラー小説だと言うのに「ネタ」ばっかり仕込んで、ほんといろいろとすんませんでした。
お叱りと突っ込み、お待ちしております。m(_ _)m
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首謀S・R! - 2007/11/12(Mon) 01:49:31
まさかあのマナミがこんな大冒険を(笑
動く手といえば「怪奇劇場アンバランス」を基にした、と前にどこかで書きましたけど、
他にも「寄生獣」とか漫画「手っちゃん」(古ッ) とかあるワケで、それらを含めてもこんなアグレッシ
ブな腕はいねえ!
生きるための戦いに思わず「がんばれ」と心の中で叫びましたとも!
楽しいパロディ、ありがとうございました〜。
REAL=LABO…首謀 S・R!さんのサークル(笑)。公式ページ
よかったら感想批評、お聞かせ下さいませませ。それでは。
2007/11/18 UP