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周子のイギリス便り

 

【9】イギリスの秋とバンク 2002.9.1.
【8】テレビ番組の傾向 2002.1.31.
【7】イギリス人のプライバシー感覚 2001.11.12.
【6】人と人とが繋がると… 2001.06.25.
【5】春だというのに、ちっとも暖かくなってくれないロンドンです 2001.04.29.
【4】ロンドンお茶会の報告 2001.04.03.
【3】ロンドンのお正月2001年 2001.01.06.
【2】イギリスの秋と遺伝子診断 2000.12.31.
【1】こんにちは、周子です 2000.09.07.

柴田周子ホームページhttp://www.shukoshibata.com

ご意見・ご感想など、メールはこちらまで。






    【9】イギリスの秋とバンク
 イギリスで、世界で初めて幹細胞(ES細胞)の「幹細胞バンク」が来月にも出来そう です。中絶せざるを得なかった人からなどの受精卵の寄付を集めて、それをとってお いて開発し、色んな病気の治療に利用しようというものです。反対派は、大人の細胞 を開発して新しく細胞をつくるという研究も進んでいるのに、そしてそちらのほうが 道義的には正当なのだから、そちらのほうをもっと開発するような方向に向かわなく てはいけないはずだ、といっていますが、今のところ受精卵を使ったもののほうが研 究の進行がはやいことは確からしいです。神経細胞移植などの成功例が報告されてい る昨今、いいニュース、といえるのかもしれませんが、複雑な問題がないとはいえな い、というものです。幹細胞はHDの治療としても可能性があるとされていますから、 これからの 進展をみていきたいところです。

 イギリスでは、ご存知のようにバイオバンクというものをつくろうとしていて、みん なの遺伝子を集めて、そこで遺伝子の 研究をしようという(だと思う。ここらへんは、ちょっと曖昧な点が多いのです。あ まりおおっぴらにされてない)試みがあるの ですが、これも個人情報保護法などの、法的な介入や、倫理面での議論が煮詰められ ているとは言えない状態で、不安を持つ人も 多いです。

 これは全部イギリスという国の「経済対策」かもしれません。これからの医療の発展 の仕方を長い目で予測して、先駆することに よって世界中に医療資源を輸出し、国の経済を潤そうというものだと思います。 ちょっと第二の産業革命を夢みているところが、 ブレア首相にはあるのかもしれません。サッチャー政権のごり押し唯物経済ポリシー が、今度はバイオ的なものを売り出す様相を きたしてきたという「だけ」??のものですが、道義的な問題を無視しながらではな く、まったく新しい分野のこととて、勇み足をしながら、改良を重ねるつもり、とい う、一応良心的といえるタテマエをみせています。可成長期的なところを見ている な、と 思います。でも、実際の医療のほうは、身近なところはガタガタです。なんとかして くれー!と叫ぶ声があちこちから上がっています。

 そのイギリス、最近女の子が二人誘拐、殺害され、国がひとつになって嘆いていま す。行方不明だった数週間は子供達の両親の嘆願、警察から誘拐者に直接呼びかける 嘆願などでテレビや新聞が持ち切りでした。犯人(容疑者)のカップルも逮捕され、 今は検死も終わり、遺体が家族に戻されるところで、これから教会でお葬式があるそ うですが、そのお葬式がある教会の神父さんが、(牧師さんかもしれない)遺族の依 頼で、これは告別であるだけでなく、あまりにも短かったけれども、この二人の人生 を祝福する、私達と共に生きていた時間を祝う儀式にする、といっていたのがとても 心に残りました。この言葉は、ちょっと前にあった人種差別絡みの少年殺人事件で も、その遺族がいっていたことでした。(ちなみにこの事件の容疑者数人は、同じよ うに未成年です。証拠不充分で逮捕には至っていません。)こういった遺族の言葉 は、奇麗事でしょうか? 子供を殺された親が、奇麗事をいう、とは思えないのです。自分の子供だったら、私 はどうしてたろう、と思います。犯人を追っかけてって、殺したく思うかもしれな い。自分を責めて、一緒に死んでしまおうと思うかもしれない。 この人達は情が薄いのでしょうか?あきらめきってる?きっとそうではなくて、視点 が違うのだなと思います。犯人のほうを、 マルキリ無視し、自分の子供と自分の関係に焦点をしぼりきったとき、出てくる言葉 だろうと思います。そして、第三者の私にはこういった遺族の言葉に、とてつもなく 癒される部分があります。 けれども社会はこの犯罪を許し難く、容疑者が裁判所に連行される途中、怒った市民 が道に並んで車に石やタマゴ、罵倒をあびせかけ、暴動がおきそうになっていまし た。このため、次の裁判には、容疑者は監獄からビデオ中継で出席するという前例の ない処置がしかれました。女性のほうの容疑者は15分おきに監視され、自殺しない ように見張られているそうです。

 暗くなってしまったところで、もうすこし明るい話題。この前、ヨーロッパで最大規 模というお祭りに行って来ました。 ノッティング・ヒル・カーニバルという、ブラジルのリオのカーニバルを真似たもの です。物凄い人出で、東京のラッシュアワーも顔負けです。きらびやかなコスチュー ムのパレード、耳が聞こえなくなりそうなダンスミュージックの山車が町角にたくさ ん出ていて、それに合わせて人々が立ち止まって踊ったり、屋台からビールやジャマ イカ風の食べ物を買って食べたりしてました。 どこもかしこも警官だらけで、(なんでも一万人の警官が動員されたそうです)私は ひとりでうろついていたんですが、安心感がありました。酔っ払いは万国共通で危険 なものですが、警官がとてもうまいこと制御していました。日本人と違い(?)、こ ういう状況にいる彼らは決してお行儀がいいとはいえないので、コワイといえばコワ イのですが、思ったよりずっと、ヒツジのように大人しく、ただワイワイばか騒ぎを して笑っている人が多かったです。楽しいひとときでした。

 その帰り道に考えたこと。バスの中からみえる石造りの家並みは、いわゆる「長屋造 り」。みんなおんなじかっこうの家が並んで いるのです。外からは、そこに住んでいる人の経済状態がわからないようになってい ます。これって、もしかしたら、産業革命時代の陰謀の名残ではない??と思いはじ めました。内部は、それぞれ勝手に改造してありますが、表向きは、「みんな同じ」 なのです。だから、大きなおうちを建てて自分の成功をみせびらかす、ということが 出来ません。勿論高級住宅街というのもありますが、そういうところは固まってい て、その地域の全員がお金持ちですから、ある意味で、またまた「みんな同じ」で す。これは都市だけで、田舎は違いますが。でも、産業革命時代に発展した地方都市 はそういう造りになっています。ワーカーをおしこめる長屋が発展したんですね。そ う考えたら、イギリスの一種不思議なコミュニティー精神のあり方が、階級制度を経 て、長い歴史を経て出来上がってきたものなのだということがわかるような気がしま した。

 個人主義だのなんだのというけれども、こういった「見えないバリア」を上部がつ くって、心理コントロールを実践している 恐ろしい国?なのかもしれない、とも思いました。でも、これは多分誰かがコント ロールしているのでなくて自然に発展?してきたものなんだろうと思います。 2002.9.1.
    

    【8】テレビ番組の傾向
 BBC制作の、PERFECT STRANGERSという非常に興味深いドラマを観ました。今まで出会ったこともない遠い親族が一同に集まり、過去が少しずつ露見し、祖父母、従兄弟、自分の両親、そして自分自身を再発見、自分の人生を新しい目でみつめる、自分の「血筋」を再確認し、そこから痛みをひきずりながらも一種の勇気が生まれるというものでした。

 その家系は由緒も財産もあるのですが、たくさんの「黒いヒツジ」が出るのです。ある一種の、不思議な抗えない力が働いて、一概の枠にあてはまらない、社会的に問題がある行動に、親族の何人かを走らせているというのが、こうして一同に集めてみるとはっきりしてきます。父親が残した財産を使い果たしたり、不倫に走ったり、放浪に出たり、どこかにとても強い情熱があるのです。その情熱が時には周囲が受け入れることができない質のものとなります。皆さんがご覧になったら、どんな風に感じるだろうな、と思いながら、ピイピイ泣きながら、観ました。 NHKでやってくれるといいのですけど。

 それと同時に、「人間のつくりかた」(How to build a human)というシリーズをやっています。ゲノムの知識から導き出された現在の医学と科学のトレンドを追いながら、(遺伝子診断、クローン技術、それによる疾患の治療の可能性、性転換、老化防止などなど)これからの人間はこの知識をどこまで推し進めて、生きるべきか、という質問を投げかける番組です。 コンピューターグラフィックで細胞から核に入り込み、染色体、遺伝子に至りながら、様々な問題に関してナレーションが流れます。そこで思い至るのが、受精卵診断。こういった、今のトレンドを観察しながら将来を予測する番組では受精卵診断は、将来当たり前のこと、誰もがやること、となり、遺伝性の疾患の可能性がある人々はいなくなることになるのでは、デザイナーベイビーが普通のこととなるのでは、という予測をしています。それが、社会的にどのような波紋を呼ぶことになるのだろうかという質問、疑問を投げかけ、番組放映後オンラインで、この番組の製作者と監修している医師とのディスカッションが、できるようになっています。

 また、この番組ではぜんぜん出てこない話題ですが、食糧難、というのは実はそんなに遠い話ではなくて、今の速度で人口が増えると、どう計算しても全人口を食べさせて行ける能力が、地球にはなくなる時期がくる、ということをききました。私はなんとなくそうだろうなあ、とか思っていましたが、数値付きで計算されたものをみて、非常に落ち込みました。このままですと、この問題にかこつけて、遺伝性の病気の家族は子供をつくらないほうに、有無をいわずに追いやられるのでは、ということも、考えられます。こういう方向を考えた時、私がいつも思い悩むのは、「健康」「正常」の定義は決して簡単ではないということです。これからの社会を担う、元気で素敵な人間を生み出そう、そのために生まれる前からコントロールしはじめましょう、というのは、コトバを変えれば、将来を生き延びる力のある人間を生み出そう、抵抗力のある人間をつくっていこう、つまり、どんどん免疫がきかなくなって増えているインフルエンザや結核菌のような、細菌のありかたとなんら変わりなくはない?ということです。人間はそういう風になる仕組みが、遺伝子に組み込まれてあるのかもしれません。こういう考え方はしたくない し、できたら、どこかの天才が、そうではない、人間は地球と仲良く、自然の摂理に従いながら生きている、人間の歩んでいる道が、地球の道である、と理路整然と定義、説明してくれないものだろうか、と切に願ってしまいます。

 偶然でしたが、ドイツのホロコーストを計画する秘密会議の様子をドラマ化したものを途中から観ました。ユダヤ人を抹殺する、というところまでは結構議論が一致していたのですが、その後、ではどこからユダヤ人、と定義するか、片親がユダヤ人の場合はどうなるか、祖父母のどちらかがユダヤ人の場合は?ということになったとき、非常に困ったことになり、結局全ドイツ人口の系譜を調べ、そこから判断する、というとてつもない計画に広がります。そうしますと、計算してみると物凄い人数を「処理」しなくてはならない、今戦争をしていてそれでなくても人口が少なく、物資、食料の生産力が落ちている、これでは経済破綻も目にみえている、それにユダヤ人全員を抹殺するには少なくとも5年はかかる、という猛烈な反対があったにもかかわらず、実は会議以前に、ナチス本部では一日に何千人も「処理」できるシステムを考えついているということがわかります(ガス室)。ヨーロッパではこのような嘔吐をもよおす人間の暗い歴史の部分を公然と話し、その痛みをひきずることが人間の義務である、というふうにみているところがあるようです。勿論、会話の中に話題として挙がるのは、稀です。やはり可成辛い、直 接触れたい話題ではありません。軽率なものに成りがちだからです。とはいえ、メディアがこうして、ある意味で「考える」機会を与えているわけです。これはドイツの話しだから、イギリス人がついていけるのだろう、という考え方もあるかもしれませんが、イギリスでの戦時中の汚点も、けっこうしょっちゅうみせています。この姿勢は、ある意味で人間全体をおおきくひとりの子供、生きているもの、と考え、歴史が、経験豊かな両親、だからそこから学ぼう、というものかもしれません。先祖を大切に敬いながら生きる、という東洋の文化は、西洋では最近になって、ゲノム解析からもたらされる数々の問題と向き合うことなって始めて、理解できる部分が出てきた、ということもあるかもしれません。(ちょっと話しが飛んじゃうけど)。こういった、「痛みをひきずる」という姿勢は、キリスト教の「告白」の歴史からも、出てきているかもしれません。(またまた飛躍ですが)。 2002.1.31.

    
    【7】イギリス人のプライバシー感覚
  この頃はインターネット普及につれて、それと共にオンラインショッピングなどができるようになって、便利は便利、だけど「個人」の情報とはどういうものか、どう守っていけばいいか、ということが、違う局面を表してきたようですね。JHDNでも、プライバシーに対する意識はしばしば話題に登るところです。毎日の生活の中で、必要以上の個人情報の開示を請求されているのではないか、その情報がどのようにして取り扱われているのか、そのような不安がみんなの心にどんどん増えてきている昨今です。それはある程度国際的な不安といえます。私が住むイギリスもしかり、です。

  去る10月23日と24日は、「個人情報」の取り扱いかたについて、イギリスの政策が変更された日でした。一つは総合的な個人情報保護について、もうひとつは、ここでも話題になった、遺伝子診断検査の結果を保険会社が利用できるかどうか、についてです。

★遺伝子診断結果利用に対するモラトリウムの確立

  去年の10月にHDの遺伝子診断結果が対象になって、保険会社が保険証書を売る際にその開示を要求できる、ということになって、関係者が国際的に泡を食いましたが、今回それが少し整理されました。今年の5月にモラトリウムを公的に要請した、その延長線上にあります(5月の記事はこちらに)。

  この点に対してはとにかく色々な組織が竹の子のようにうじゃうじゃと設立されて、それがお互いに意見を出し合い、喧々囂々の世界らしいですが、イギリス国会の下院に属する科学技術委員会(遺伝学と保険についての部)が出した報告に対して、23日に政府が応答をしました。詳しいことは、このサイトの別欄に挙がると思いますが、今回明確になったのは、いかなる遺伝子診断結果も、これから5年間は、保険会社が開示を請求できない(モラトリウムの設置)ということです。しかし、遺伝子診断の精度が各関係調査委員会(GAICなど)のハンコつきで確認されているHDに関してだけは、50万ポンド(1ポンド170円として約8500万円)以上の担保つき生命保険を買う際と、30万ポンド(約5100万円)長期介護保険、失業保険などのポリシーを買う際には、保険会社が遺伝子診断結果の開示を迫ることができます。これはかなり高い買い物で、一般的にもそんなに普及していない(国民の3パーセント)品物です。この上限の値段は3年後に再検討されるということですが、とにかくHD関係者にとっては、とりあえず上限がはっきりした、ということで、もっと現実的な保険の買い方を模索したり、保険漏れの人々に対する支援供 給にはどうするべきか、などの方向性が具体化できる、ということかもしれません。

★「個人情報」保護について

  イギリス消費者団体が行った調査によると、国民イコール消費者の個人情報保護に関する意識が低いという結果が出て、それに対応するものとして、消費者ガイドラインを更新して打ち出しました。調査に参加したうちの72パーセントは、「商社、議会、政府などに開示された自分の個人情報を保護をする権利がある」ということは知っているのだけど、その権利が一体どういうものなのかひとつ以上説明できる人は少なく、67パーセントは「個人情報保護についての苦情があったとしても、それをどこに持っていけばいいのか知らない」と答えました。

  今回消費者団体が出した「私の記録に何が載っているのか?」というガイドラインは、個人情報保護の権利はどういうものであるか、その権利を行使するにはどうするのか、明確にしようというものです。商店、通信販売業者、公共施設などに保管されている、個人情報の取り扱いについて書かれてあるわけですが、クレジットカードについて、医療、教育、福祉関係などへの対処には別項目で説明があります。情報内容が間違っていた時、どうなるか?クレジットカードの解約、就職の際に問題が出る、住宅ローンがとれない、などが予想できます。そういった不安を解消するために、自分の個人情報をどのようにして保護するか、そのガイドラインが、この「私の記録に何が載っているか?」のようです。

  また、個人情報を取り扱う側に対しても、市民の要求に応じることができる体制でないといけない、といっています。お勉強しろ、ということでしょうか。しないと意識の高い市民に訴えられることになるよ、ということでしょう。そのため、消費者団体は、同24日にビジネスと公私団体に対して、個人情報取り扱いについての法律のガイドラインを打ち出しました。

  イギリスはCCTV(警備カメラ)がかなり普及しているのですが(ジョージ・オーウェルの「1984」に出てくるビッグ・ブラザーを思い出される方も多いかもしれません)、それによって以前よりも安心感があるとはいえ、いつも見張られている気がするのは確かです。その情報取り扱いに対しても、ガイドラインがあります。

  閑話休題。その名も「ビッグ・ブラザー」というテレビ番組が、物凄く視聴率が高かったイギリスです。これは日本でも放映しているのでしょうか、5、6人の男女をひとつところにカンヅメにし、外部から遮断し、カメラをトイレにまでつけて、様子を放映し、視聴者がテレビ局に電話して、ひとりづつ気に入らないのを多数決で落していって、最後に残った人が勝つというものです。まあ、人間て色んなことをするものだ。そういう国だから、「個人情報」に対する意識は、また日本よりもおおざっぱかもしれません。でも、ご飯を食べたり、トイレで本を読むことが守るべき個人情報ではない、という意識の発達がある、ともいえるかもしれません。2001.11.11.
    
    【6】人と人とが繋がると・・・

 この頃とみに思うのは、こうして研究がどんどん進んでいって、治療法もあたら夢ではなくなってきたところで、この進歩のはやさもコンピューターの導入が大いに貢献しているだろうな、ということ。

 人と人を繋げると、こんなに色んなことがわかってくる。専門的な研究も、インターネットでこうして専門家達が容易に意志疎通し、情報交換をすることが可能になると、研究の応用や開発のスピードが俄然はやくなるということ。それは専門的なことだけにかかわらないのだと思います。人々の意識のありかたも、沢山のひとが声を出し合うことによって、どんどん変化していくのではないか、と思います。よい方向に、であってほしいですけど。しかしそうやって考えると、インターネットって、シナプスのようだなあ、と思ったりします。

 この前、日本から遊びにいらしてる方とお話している時、さる作家が作品の中で差別用語を使ったとしてあちこちから非難を浴び、しかしその作家は自分が書いたものからは一歩もひかん!と頑強に訂正を拒否した、という話をききました。

 話してくれた人は、この作家に喝采し、なんでもないことをいちいちひねくりだして難癖をつけている、と非難した側に対しては思ったようです。けれども私はそうじゃないんじゃないかな、と思いました。どちらが正しい、という問題ではなく、何かが話題になる、そのこと自体に意義がなくはないか、と思ったんでした。

 どういうコトバが問題になったのかは思い出せないのですが、常日頃考えていなかったことに話題性を持たせるのは、人の意識の向上を促すことに繋がるような気がします。答えが出なくても、ただ考えてみる、そのこと自体に意義がなくはないでしょうか? 英語で、devil’s advocateといういいかたがあります。悪魔の弁護人、と訳せますが、自分が必ずしも正しいとは思わない見地を紹介し、それを議論に持ち込む行為をいうようです。そして、正しいと思う思わないにかかわらず、自分がいっていることを打破されるまで、それを弁護、主張しつづけるのです。そうやると、一方的に賛成論ばかり出るよりも整理ができてくるし、結論に深みも出る、というものらしいです。

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 カンタベリーという古い町でミニ日本祭りがありました。ロンドンのものを小さくしたような催しでしたが、いいお天気に恵まれ、公園の中をユカタ姿の人がうろうろしてました。

 2日間の催しだったのですが、前日は子供達を集めて折り紙などを教えたそうで、みんな夢中になってやってたそうです。

 やぐらのかわりに吹奏楽隊やその他のためにある円形ステージを使って、「ミッキーマウス」や「阿波踊り」、近くの日本系大学生バンドによるロックコンサートなどを披露して、その周りに屋台が立ち並びお寿司ややきそば、習字ディスプレイ(名前を日本語で墨で書いてあげてそれを真似させる)などが出ていました。

 着物を貸し出して、着せてあげるのが好評で、皆さんけっこう粋にきめていましたよ。そのイデタチで芝生の上に座って器用にお箸でいなり寿司ややきそばを食べているのをみると、(この頃のイギリス人は箸をこともなく自然に使いこなします)非常にシュールで、ほほえましかったです。そのとなりで麻雀にうつつをぬかしている大学生もいました。碁もやってましたよ!

 しかし視線をずらすと、そこは厳然たるイギリスの古都、石造りの館が立ち並びます。まったく、フシギな時代がやってきたものです。でも頼もしく思いました。 また長くなりました、すみません。もうすぐ日本もおまつりシーズンですね、今年は、観れるかなあ…2001.6.25.

    
    【5】春だというのに、ちっとも暖かくなってくれないロンドンです
  口蹄病が流行ってたくさんの家畜が無惨に殺されていますが、でもあれって、どちらにしてもいつかは殺されて食べられるんだから、家畜にとってはおんなじことじゃないの?という友達がいました。でもなんだかショックに感じるのはなぜなんだろう。 ただの偽善的な考えからだけではないようです。「残酷だ」と思うよりも、なんという「命」の無駄遣いだろう、というやるせなさのようなものがあります。いくつかの地域では牧羊地だけでなく村全部が閉鎖されて、観光シーズンであったイースターの時期であったにもかかわらず、観光客の出足が悪く経済的に二重の打撃を受けたところもあったようです。

  4月22日に、恒例のロンドンマラソンがありました。プロのランナーと共に、この日のために鍛えてきた一般の人達が毎年数千人参加します。チャリティーのために走る人達もたくさんいて、勿論HD協会のチャリティーの人も、6人参加しました。こういうチャリティーの人達はこれで走るのか!?という目立つ扮装で、集団のなかから見分けられるように、またテレビに映るようにと色々工夫を凝らします。個人主義の提唱のあるイギリスですが、バンドエイド以来なのか「団体」で遊ぶことに味をしめたらしく、なにかと賑やかにみんなでやっています。

  けれどもこれが裏目にでることもよくある国で、今度はきたるメーデーのデモ行進に、無政府主義の組織がインターネット等を使って人員を作動し、破壊行動の計画を立てています。そのスローガンが「今世紀最大のセール」というもので、ターゲットはマルチ商法の大きなブランド店です。集団行動をとり、計画的に暴動をおこすもので、去年は銀行や証券会社が立ち並ぶシティーで破壊的な暴動をおこし、ビルのガラスや内装をめちゃめちゃにしました。今回は商店街でそれをやるつもりらしい。私が仕事をしている店もその「行進」の経路になりかねないところにあるので、警察から警告とアドバイスのチラシがまわってきました。「集団」になった時、ひとは思わぬ行動に出る場合がありますが、それが「歓喜」であるうちはいいけれども、破壊的な「狂気」となることも簡単で、その前には「個人」は無力になってしまいます。けれどもここで、メーデーのデモ自体を禁止しないイギリス政府も、根性があるといえばあるように思います。(意気地がないからできないのだ、という意見もありますが)どうなることやら。

  このデモ(暴動)予定地域に、大きなデパートがありますが、そこでは、ここって、日本のデパートか?!と見間違えそうなデコレーションで、ショーウインドウを日本一色にしています。今年はロンドンだけでなく大きな地方都市では「日本祭り」が大々的に開催されることになっており、様々なイベントが予定されています。5月19日を皮切りに、ハイドパークで日本のお祭りが行われるそうです。1万人以上の人出が予想されています。屋台も出るそうで、楽しみ!

  あとは、ヒトクローンを違法にする動きが出てきました。遺伝子の研究と共にどんどん可能になってきたところで、今だに未知の部分が多すぎるとしてその危険性を危惧する科学者の意見や、宗教的な見地から賛成できないなどとする意見が取り入れられたもようです。それと並行して、遺伝性の乳がんなどの遺伝子検査を、国民保険(NHS)を使って受けられるようにしようという法案も出ています。この場合、検査結果を生命保険などの商業用には開示を要求できないようにするそうですが、その際すでに利用が決まっているHDの診断結果がどうなるのかは、まだよくわかっていません。ヒトクローン禁止も遺伝子検査の国民保険利用化も、正式な法となるにはあと数ヶ月かかりそうです。それまでに暖かくなるんだろうか、この国…2001.04.29.
    
    【4】ロンドンお茶会の報告
  今日はなんと、!ロンドンお茶会の報告にあがりました! わははははは!どうだ!まいったか!!(なんのこっちゃ)

  えー、宗円さん、ご主人、お子さんと私め4人は、大英博物館の前にて待ち合わせ、その近くにありまするお好み焼き屋にて、お昼をぱくつきながら親交を深めたのであります。

  お互い面識がないところ、わやわやと人が多い博物館の前、どうやって見分けるか。これがまず第一の難関でした。私はいつも持ち歩いている桃色ウサギのぬいぐるみの筆入れがバッグからはみだしていて(見知らぬ通行人にコメントをもらってしまう可愛い奴。あらーかわいいねえ!ウサチャン、ウサチャン、て、大の大人が寄ってくる。スリ除けにもなってます)宗円さんはピカチュウの帽子をお子さんにかぶせるというのを目印にしました。赤いバラを胸に、というハナシもあったんだが、今回はやめときました。

  無事お互いを見極め、自己紹介。いやー、宗円さんはもっと学者然としてる方かと思いきや、とても美しい、そして可愛らしい方でしたよ! ご主人も、とっても素敵な方。少し、ケヴィン・コスナーに似てるかな。もっと若くて理知的だけど。そして、7つになるお子さんはとても可愛い!! おとなしくて、でも元気。今前歯がとれちゃってて、それがまた可愛かったです。英語なんだけど「お好み焼き」の発音は、しっかり日本人!

  ご家族がロンドンにいらしたのは、実はとてもおめでたいことがあったからなんです。ご主人の妹さんが、晴れて結婚なさった! 妹さんは、検査を受けられて、陽性と出た方です。お相手も、それを重々承知です。ロンドンにはお相手の仕事の関係上いつまでいらっしゃるかはわからないとのことでしたが、どこにいらしても末長いご幸福をお祈りしてやみません。素晴らしいことだと思います。

  みんなでお好み焼きを食べましたが、ご主人、お箸の使い方が日本人並み! 宗円さんがしっかり教えられたのか知らん。私は以前言いましたように左で、握り箸にちかい小汚い握りっぷりなので、恥ずかしい・・・

  話題は日本語と英語のチャンポンですこし混乱を極め、あまりHDのことはお話しなかったんだけど、とてもとても楽しかったです。お好み焼き屋にかかっていた極色調のお相撲カレンダーを宗円さんもお持ちとかで、またまた感動!? 妙な偶然もあるものです。

  カナダなどは日本に比べてHDコミュニティの質も量も多いとはいえ、とにかくでかい国のこと、誰でも近くに適切な施設があるわけではない、というご指摘がありました。確かに、大きい。日本はそれほど地理的に大きくないから、別のかたちで問題があるとはいえ、これから頑張っていろいろできそうですよね。と思いました。

  そんな感じです。とにかく、楽しかった。宗円さん、本当に有り難う御座いました。それでは、皆さんも、お元気で! 今日のところはご報告まで。2001.04.03
    
    【3】ロンドンのお正月2001年
  今年2001年の新年は比較的クールなものでした。去年2000年の正月は世界中が湧き立ち、ロンドンもテームズ河畔で花火大会をしたりして賑やかなものだったのですが、今年2001年の新年は比較的クールなものでした。というのも去年の大晦日から新年にかけてロンドンに繰り出した人の量が予想を大幅に上回ったため、ロンドン市警察、交通機関には市民の安全保障をしかねる状態となったことを理由に、政府が今年の新年祝賀祭は差し止めにしてしまったからです。ところがこの声明が発されたのが11月に入ってからで、すでにロンドン市議会は自主的に計画を進めていたわけで、イベント会場、又エンターテイナーなどとの契約破棄をしなくてはならず、窮地に立たされた模様です。莫大な赤字を出したミレ二ウムドームの運営など、イギリス政府の経済計算力の有無を問われる昨今ですが、新年早々、今回のハプニングもバツ印をもうひとつ稼いでしまう結果となり前途多難のようです。

  同政府が去年は保険会社の遺伝子診断結果の利用を承認したわけですが、今年はなにをやらかすだろう、とゲノム関係の倫理委員会や人権保護会等は虎視耽々の姿勢を強化しているもようです。遺伝子研究とは密着した関係を持つHDコミュニティーは、これまでの自らの経験を元にし、社会全般を抱合できる倫理設立のために意見を聞かれる機会が2001年には益々増えてゆくのではないか、というのが私の予想です。2001.01.06.
  
    
    【2】イギリスの秋と遺伝子診断
  イギリスでは秋が来たと思いきや、大雨のためにあちこちで洪水が起こっています。その前には、JHDN別館でご覧になれるとおり、イギリス政府はハンチントン病の遺伝子診断結果を保険業界が利用してもよいと承認し、一時大きな反響を呼びましたが、ちょうど同じ時期にイスラエル、パレスチナ間の情勢悪化があったこと、電車の事故で死傷者が出たことなどが重なったため、イギリス国民の関心はそれらに移動してしまい、新聞等、一連の情報機関によるカバーは削減された形になってしまいました。

  また、あまり思ったよりも騒がれなかった理由として、当事者自体からの反響が、それほど大きくなかったこともあると思います。Hunington Disease Associationの声明からも読み取れるように、保険会社からの差別はもう以前からずっとあることであり、遺伝子研究が秒読みで進歩している今、このような商業利用は時間の問題だけで、食い止められない展開であると判断し、それならば別のかたちで生活保護を計る、そのための運動をこれを機に今から始める、という方向を取ることにした模様です。

  ここで忘れてはいけないことは、このような展開はイギリスでHD当事者が生活するにあたり、日本に比べて社会体制がもっと協力的だから、許せる、あるいは逆手に取って有利な方へと議論を持ち込むことが可能なのであって、現在の日本の状態の中には決して輸入できないものだということです。

  日本はテクノロジーの進歩も第一線を行き、インターネット等の発達によりたくさんの情報を得ることができます。しかし諸外国が日本の悪口を言う時に、日本は真似るのが上手い、というのがあります。かたちだけを取り出し、そこにいたるまでの過程に対する考慮が足りない、という意味だと私は思います。

  スマートな、機敏なことはとても大事ですが、政府機関やその他が、テクノロジーを追うことに夢中になって、人々の生活の土台を揺るがすような決定をしないように、しっかりと見張ることが大切だと思いました。 2000.11.09.
 
    【1】こんにちは、周子です
 皆様こんにちは、ロンドンに住む柴田周子です。JHDNのホームページの英訳を少しお手伝いさせていただきました。HDが持つ様々な問題を、ご家族はじめそのまわりの方々、友人をも含めて色々な立場から話し合い、問題解決の道につながるように、そんな場にJHDNが育ってゆくことを願っています。2000.09.07.
 

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