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翻訳文献サロン:脳細胞組織移植研究の報告

 

   

出典:2000年12月1日 セント・ピーターズバーズ・タイムズ誌 ウエズ・アリソン著 JHDN-ML掲載:2001年3月22日(ML604)

 米国、フロリダ州タンパ発:南フロリダ大学研究所員は、ハンチントン病患者の脳に胎児の細胞組織を移植することができ、移植組織は(その後)正常であると見いだしました。

 移植が行われた患者は著しい回復を同時に示したので、胎児の脳神経細胞や他の細胞を移植することにより、現在治療法のない進行性の脳神経疾患とされているハンチントン病患者の人生を変える治療法になるかもしれません。 又、ほかの脳神経や脊髄の疾患にも適用できる可能性があるようです。

 彼らの発見は火曜日に米国科学アカデミー誌で報告される予定であり、神経医学の関係者は多大な興味を寄せています。

 南フロリダ大学の老化と脳機能回復センター医学部長でこの研究の第一責任者トーマス・B・フリーマン博士は、「これにより、私たちはこれらの移植組織片が拒絶されずに生着して脳組織と結合すると結論することができました」と述べています。

「最も重要なことは、治療不可能とされていた疾患に・・・治療できるという見込みの具体的な証拠ができたということです」。

 この結果は、殆ど同一の研究結果がフランスの研究グループによってイギリスの医学雑誌「ランセット」に発表されたことをみても、かなり確実なものだといえそうです。

 アメリカハンチントン病協会(HDSA)の科学諮問委員会委員長を務めるクリストファー・A・ロス博士(米国、バルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学の精神神経科教授)は、「これはまだ『実験段階の域を超えない』ものに過ぎないが、ハンチントン病の要因となる遺伝子を持つ細胞が、移植された脳神経を侵さなかったことには期待がもてる」と述べています。

 (移植される)脳神経は受胎後3ヶ月内に中絶された胎児から得られます。脳の伝達機能中枢である線条体からこの神経は摘出され、患者の脳内の損傷部位に移植されました。

 ロス博士によれば、「この研究が重要である理由は、少なくとも(神経)変性疾患に対して有効な治療法として移植技術の確立に役立っている」とのことであり、「パーキンソン病よりも困難で、神経変性が広範囲なハンチントン病にこの技術を用いることができるという事実も又、注目に値します」と述べています。

 現在、約3万人のアメリカ国民がハンチントン病にかかっています。パーキンソン病と同じように、運動神経と言語障害を含む症状の他に、精神障害も現れる場合があります。パーキンソン病とは異なって、ハンチントン病の場合には遺伝性なので、ハンチントン病患者を親に持つ子どもの約半数が、同じ病気になる可能性を秘めています。

 南フロリダ大学の研究は、大学が行う脳研究として国から認められ、老化と脳機能回復センター長のポール・サンバーグ博士、と同大学の不随意運動研究センター長のロバート・ハウザー博士が含まれる研究チームがこの研究に携っています。

 サンバーグ博士は1983年に始めての移植を動物に行いました。7年前に彼の研究チームは、パーキンソン病の患者の脳に胎児の細胞組織を移植行い、患者の病状に改善が見られたと発表しました。

 彼らは同じ原理をハンチントン病に応用して、3年前に、最初の患者7人の脳内に神経細胞を移植しました。そのうちの一人が心臓発作で死亡したため、解剖検査が可能となりました。これにより、移植された神経細胞は生着して脳内でネットワークを形成していることが解ったため、どのように移植片が脳内に進入したのかという貴重な情報が得られました。

 6人目の患者にハンチントン病の進行で通常みられる脳血栓が脳外皮に現れましたが、他の5人の患者には、20パーセント程度の改善が見られました。

 ハウザー博士は、「通常、1年で15パーセントから20パーセントの進行が見られるということからすれば、このことは朗報で、今のところ期待できる(見込みがある)技術であると思う」とコメントしています。

 これと同時に、フランスの研究チームがハンチントン病患者5人に胎児神経組織の移植をほどこし、そのうち3人に改善がみられたと、ランセット誌が報告しました。フリーマン博士は、「これで、我々の研究結果がまんざらまぐれ当たりでもないことになりそうです」。

 しかし、フリーマン博士とハウザー博士は、この研究にはいくつかの警告も含まれていることも、間を置かずに強調しています。研究自体が小規模であること、そして結果はまだ初期段階であることです。同時に、細胞組織は脳の一部分にのみ移植されましたが、パーキンソン病と違いハンチントン病は、脳全体に及ぶ神経変性を起こします。となれば、移植片は結局のところ、広範囲な神経変性を防ぐことはできないかもしれません。

 アメリカ合衆国その他いくつかの国では胎児細胞組織の利用は厳しく限定されており、一般的な治療法として普及することはまずないといってよいでしょう。

 しかしながら、この研究の根本原理は他の疾患にも当てはめられるはずで、他の種類の細胞、例えば研究室で培養できる幹細胞(生体を構築するための基本となる細胞)にも適用できます。

 「我々は二つの異なる神経変性の原因が二つの異なった病気においても、移植片が生着し、脳内でネットワークを形成することを証明しました。このことは他の神経疾患にも希望を与えてくれます」とフリーマン博士は述べています。

 この研究のリーダーを勤めた南フロリダ大学のトーマス・B・フリーマン博士、並びにフランチェスカ・チケッティ博士は、彼らの研究チームの共同研究者とともにこの研究を実施しました。南フロリダ大学のロバート・ハウザー博士はHDSAの科学諮問委員会のメンバーであり、エモリー大学のシャオ・チャン・リー博士は HDSAからの研究助成を受け、そしてエモリー大学のスティーヴン・ハーシュ博士はCCI(Coalition for the Cure Investigator)からの助成を受け、プログラム委員会と教育諮問委員会委員長として務めています。


    

 

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