LIVE偵察日記2001
2001年 2月
☆2月 5日(月)於 新大久保 Someday
『野口 久和 The Monday Night Orchestra』
出演: 野口 久和(pf)、伊勢 秀一郎(tp、flh)、佐々木 史郎(tp、flh)、中路 英明(tb)、山田 穣(as)
安保 徹(ts)、近藤 和彦(bs、ss、fl)、安ヵ川 大樹(b)、小島 勉(ds)
当ホームページでは、『勝手に応援ページ』を通してスッカリ御馴染みの野口久和さん(写真左)率いるThe Orchestra。 その今年(今世紀)最初のLIVEを、新大久保Somedayに偵察へ・・・。 昨年来、月曜日にLIVEが行われることが多かった同バンド。 そこで、Somedayのマスターの提案で、今回から新たに “The Monday Night Orchestra”の名称でのLIVEとなった、とのこと。 当夜は、月初の月曜日という、決して好条件ではなかったが、開演前から中々の盛況で、ファースト・セット終了前後には、広いSomeday店内が、ほぼ満席となる賑わいぶり。 いよいよ、野口オケ、そして、イセラーもブレークか???・・・といった興奮状態(?)でのLIVE偵察となった。
さて、ファースト・セットは、野口オケのテーマ曲とも言える、ご機嫌なジャンプ・ナンバー“Foot Stomping Blues”でスタート。 ステージ狭しと、個性的な6管の面々が並ぶと、流石に迫力あり。 JAZZの『粋さ』と『格好よさ』に満ち溢れたオープニングにワクワク。 ソロは、安保さんの渋味のテナーから、味わいトランペットの伊勢さん、近藤さんのバリトン、ヤマジョ〜さんのアルトと続き、最後はバンマス野口さんがスインギーなピアノを極める。
2曲目も野口さんのオリジナル、“Winds”。 文字通り、爽やかな風の中、大らかに飛び交う渡り鳥の羽のように、近藤さんのソプラノ・サックス(写真右)が舞っていく。 明るく、雄大なイメージを与えてくれる中路さんのトロンボーン・ソロも素晴らしい。 続いては、Bud Powellのバップ曲で、“Hallucinations”。 BudがVerve盤に入れていた曲だが、あまり取り上げられることがない、こういったジャズ・スタンダードを持ってくるあたり、野口さんのテイストには実に憎いものがある。 気持ち良い“ビ・バップ”テーマを、6管の洗練されたアンサンブルが奏で、テーマ途中(“Bメロディ”?)には、これがサックス陣4管だけになり、アレンジの変幻自在ぶりに、思わず『ドキリ』とさせられる。 これぞ、JAZZの『幻覚』(Hallucinations)を体感、といった感じだ。 ソロは、バピッシュな野口さんのピアノから、佐々木さんのハリのある元気なトランペット、そしてヤマジョ〜さんと続く。 穣さんは、年末あたりの絶好調ぶりからすると、まだ8分の調子といった感じが否めないが、出てくるアドリブ・フレーズには、天才的に『泉湧く』といったものがある。
急速なバップ曲から一転、4曲目は、これまた渋い選曲で、古い歌モノからバラッド“Time on my hands”。 観客席には比較的『若い大人のファン』(って、どういう意味じゃい?)が多い野口オケのLiveだが、こんな素敵な曲をチョイスして演奏してくれるからには、是非、ベテランJAZZファンのオジ様、オバ様にも足を運んで貰いたいものだ。 演奏の方は、全国のイセラーが泣いて喜ぶ、伊勢さんの『渋味の極み』といったフリューゲル・ホーンの無伴奏ソロがイントロになり(写真左)、ゴージャスなホーン・アンサンブルと共にテーマ吹奏。 続く、安保さんのテナー・ソロも、適度なエッチさを漂わせた『お・と・な』の雰囲気。 ソロの締めは中路さんで、トロンボーンの音色が何とも『ホンワカ』していて心和む。 ファースト・セットの最後は、Sonny Rollinsの“Airegin”をもじった野口さんのオリジナル“Nigeria Fantasy”。 雄大なテーマ・アンサンブルが格好良い。 ソロは、近藤さんのソプラノ、中路さんのトロンボーン、そしてヤマジョーさん、と続く。
セカンド・セットは、これぞ『小粋な雰囲気』と言いたい、印象的なメロディがチャーミングな、野口さんのオリジナル“Cat Walk”からスタート。 ミュート・トランペットとフルートが奏でるテーマが、なんともセクシーなムードを醸し出す。 ソロのオーダーは佐々木さんのトランペット、近藤さんのフルート、安保さんのテナー。 続いて、MJQ(Modern Jazz Quartet)の代表曲の一つ、John Lewisが書いた“Concordo”。 MJQのオリジナル演奏では、Milt JacksonのヴァイブとJohn Lewisのピアノの絡みが、えも言われぬ『変態ぶり』(?)を聞かせていたが、野口オケのバージョンも、あの独特なテーマ・メロディを、ピアノを含むリズム楽器と、ブラス陣、サックス陣が各々、時間差攻撃のように繰り出し、一体、何処が始まりで、何処が終わりなのか、聴いていて分からなくなる、摩訶不思議な世界・・・・丁度、エッシャーの『騙し絵』(どこから水が流れているのか分からない)のような、『幻惑』に満ちた演奏となった。
佐々木 史郎(flh)、中路 英明(tb)、山田
穣(as)、安保 徹(ts)
3曲目は“Monday Night Orchestra”の大先輩(?)、Gil Evansへのトリビュートで、GilがMiles Davisと入れた名盤“Poggy&Bess” から“Gone”。 ここは、勿論、伊勢さんのトランペットが聴かせる。 プロフィールにもあるように、Milesから大いに影響を受けているという伊勢さん。 東西問わず、現代のトランペッターの多くが『モード以降のMilesの真似っこ』に腐心している中、伊勢さんのプレイからは、『トランペットで唄うことだけを考えていた頃』のMiles・・・、時代で言えば、やはりGilと共演した“Miles Ahead”前後迄のMilesを彷彿とさせる『歌心』と『佇まい』が感じられて、本当に素晴らしいと思う。
続いては、野口さんのオリジナル作品に戻って、テナーの安保さんをフィーチャーしたバラッド“Now I need the rest of you”。 タイトルからして、物語を感じるが、切なさと哀愁に満ちたメロディが、まるで元々歌詞がついている『歌モノ』を思わせる。 Lester Youngのように、テナーを脇に抱えて吹奏する安保さんから発せられるアドリブのフレーズと音色は、『お・と・こ・のフェロモン炸裂!』といった雰囲気で、エッチ度も最高潮。 やはり、JAZZに『エッチさ』は欠かせないファクター。 それを受けた安ヵ川さんのベース・ソロも『待ってました!』と声を掛けたくなるような(?)、エッチなフレージングが堪らない。
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フェロモンがムンムンなソロを披露してくれた
左・安保さん(ts)&右・安ヵ川さん(b)
さあ、当夜のLive、最後は、野口さんのオリジナルから、最高に楽しい“How about a drink”。 『いっぱい、如何?』というよりは、スッカリ出来上がって上機嫌とでも言いたい、ウキウキしたムードで大団円。 ソロ・オーダーは、穣さんのアルト、佐々木さんのトランペット、中路さんのトロンボーン。
野口さんのペンによるオリジナル曲の素晴らしさ、そしてアレンジの妙は勿論のこと、JAZZの持つ多様な魅力が、最良の形で詰まった野口オケの演奏は、JAZZを魅力を知り尽くしたベテラン・ファンから、『これからJAZZに嵌りたい』と思っている初心者まで、多くのファンを魅了するものがあると思う。 次回のLiveは、4月2日(月)、同じく新大久保Somedayにて、とのことなので、是非、是非、皆さん、来て、見て、聴いてみて!
6管の厚い壁に遮られていた為、ドラムの小島さんのシャッター・チャンスが
殆どなく、このような画像しか撮影出来ずに申し訳ありませんでした・・・