LIVE偵察日記2001
2001年 3月
☆3月 25日(日)於 新大久保 SOMEDAY
『HARU(高内春彦)トリオ』
出演: HARU(g)、ハービー・シュワルツ(b)、ダニー・ゴッドリーブ(ds)
ファースト・セット
@Stella by starlight, AVoice of blue, BBlack Nile, CAngel eyes, DEquinox
セカンド・セット
@Three views of a secret (solo guitar), AI remember April, BSpeak no evil, CNefertiti, DMoliendo Cafe 〜 Bllies Bounce
ニューヨークで20年余活動を続けているギタリスト、HARUさんこと高内春彦さんの、彼の地のホームグランド『55BAR』で共演しているトリオとの初めての日本ツアー。 メンバーは、ベテラン・ベーシストのハーヴィー・シュワルツ、そして、あのパット・メセニー・グループのオリジナル・ドラマーでもあったダニー・ゴットリーブという強力な二人。 この夜のSomedayは、ツアーの初日で、他の日のライブが最新CD『プロトスター』(ウェイン・ショーター作品集)からの演奏が中心であるのに対し、スタンダード曲やCD未収録のショーター作品も聴けるライブとなった。
HARU (高内春彦)
HARUさんの演奏は、このところ来日の度に聴いていて、これで恐らく5〜6回目になると思うが、毎度のことながら、その人柄同様のジェントルでテンダーな感触と、ジャズ・ギター特有とでも言えば良いか、切れ込んでくるような鋭さが渾然一体となったプレイが何とも魅力的。 御馴染みのスタンダード曲を、例えば“Angel Eyes”がボッサになったりと、思わぬ解釈で聴かせてくれ、聴き慣れたメロディも、原色を損なうことがなく、イメージがグンと膨らむ彩りが添えられる。
ハービー・シュワルツ、ダニー・ゴットリーブの二人も勿論素晴らしく、その百戦錬磨ぶりを見せつけてくれた。 ハービー・シュワルツのベースは、激しい自己主張はないものの、演奏の枝葉末端までに神経が行き届き、心憎いまでの演出をしてくれる。 『音楽』そのものを知り尽くした人間にだけ許される『業』とでも言えば良いか? 又、“Angel Eyes”でのソロなど、その部分だけを切り取っても最高の音楽として成り立つ、眩い輝きを放っていた。
Hervie Swartz
Danny Gottlieb
ダニー・ゴットリーブのドラムは、全体的に意外にも繊細で、しかしながら、『ここぞ』という場面でパワフルな瞬発力を見せるあたりは流石だった。 そして驚愕だったのは、トリオ演奏が白熱し、各人のソロや4バース交換がグッと長くなっても、『ネタ切れ』、『集中力切れ』がなかった点で、そのようなドラミングに対するイマジネーションの深さ、大きさは、日本人ドラマーが中々到達出来ない境地だ。 ジャズを聴き始めた当初、彼が参加したパット・メセニー・グループの名盤“Off Ramp”や“Travels”等をよく聴いたものだが、本人の生演奏を間近で体感するのは、やはり感慨深いものがある。
HARUさんの来日ライブに接すると、『ギター』という楽器のユニークさ・・・本来、無機的になりがちなエレクトリック楽器でありながらプレイヤーの感情が、弦を爪弾き押さえる『指』を通して演奏に表出する点・・・を痛いほど感じ、感動させられる。 そこには『人間の表出』というジャズの『本質』があるように思う。 僕がHARUさんの演奏を、来日の毎に欠かさず聴きに行くのは、その感動を得たい為だ。 ストレート・アヘッドなジャズ・ギターは、所謂『フュージョン』に比べると少し地味な印象があるが、ジャズの『本質』が不明瞭になりつつある現在のジャズ・シーンにとって、非常に重要な位置を占める楽器なのかも知れない。
Jacoの思い出の曲『Three views of a secret』を
ソロ・ギターで聴かせるHARUさん