
☆01年12月 14日(金)於 吉祥寺 Art Club Strings
『上野 尊子 +2』
出演: 上野 尊子(vo)、江草 啓介(pf)、片山 勝義(b)
先週の金曜日に引き続き、今回も、デジカメ(撮影)及びメモ(書き)無しの、『丸腰』ライブ鑑賞です。 実は、数日前から仕事が多忙を極め、疲れていた為、『理屈抜きで楽しみたい!』と思ったこともあり、存分に楽しませて貰ってきました。
今宵は、日本ジャズボーカル界の大御所の一人と言って良いでしょう、大ベテランのグレート・シンガー、上野 尊子さんのライブ。 『大御所』と言っても、ソンコさん(本当はタカコさんですが)は、本当に気さくで、気持ちの良い方です。 僕は大好きです。 ボーカル・テクニックとしては、かなり高度なことをされているのでしょうが、ソンコさんの『歌』には、堅苦しさが一切ありません。 いつも正直で、大らかで、そして、暖かい温もりがあります。 ソンコさんの『歌』を聴いたことがない、という方には、是非とも聴いて貰いたいです。
さて、今宵は、クリスマスまで残り10日、という週末。 開演5分前くらいにお店に到着すると、既に殆ど満席で、尊子さんの人柄を慕うファンや生徒さんが多く集い、賑やかな雰囲気です。 店内も、クリスマスの飾りつけで華やぎ、BGMのアート・ペッパーの演奏も心地好く、とてもエエ気持ちに・・・。 共演のベテラン・プレイヤー、江草さんと片山さんのデュオが、『星影のステラ』等を、燻し銀のプレイで披露してから、いよいよ尊子さんの登場。 曲は、尊子さんのライブではお馴染み、ガーシュインの『ア・フォギー・デイ』。 大らかにダイナミックな歌唱を聴かせる尊子さんですが、『押し付けがましさ』や『圧迫感』は無く、本当に気持ち良くスイングしていきます。 曲の最も大事な部分を確実に捉え、咀嚼し、表現する・・・・う〜ん、やはりベテランの経験がなせる味わいには凄いものがあります。 『声量』とか『スケール』、『表現力』といったものと又違う、『歌の満ち方』が凄いんですよ。 嗚呼、上手く表現出来ないのが、モドカシイ・・・。 もう、これは聴いて貰い、味わって貰うしかないのですが・・・。
ところで、僕は、尊子さんの『歌』に、いつもジミー・スコットさんに近いものを感じます。 スイング感、唄いまわしの味わい、楽曲の咀嚼力・・・・、そして、何より、尊子さんも、ジミーさんも、常に『自分自身の“歌”』が歌唱の底辺にシッカリと流れているのです。 ユッタリとした表現であっても、僕は、尊子さんとジミーさんのボーカルを聴くと、両足をバタバタとスイングさせてしまいます。 その理由は、その『歌』に、尊子さん、ジミーさんの『鼓動』、『呼吸』、『佇まい』を感じるからです。 活き活きとした、『人間味』を感じるから、僕は2人の歌唱にスイングしてしまう・・・。
ライブの方は、そのジミーさんも歌った『デディケイテッド・トゥ・ユー』・・・(これは尊子さんが日野元彦さん追悼コンサートでも歌ってくれた思い出ある曲)や、エリントン・ナンバーの他、お馴染の歌ものスタンダードを中心に、クリスマスに因んだ曲等、盛り沢山に聴かせてくれました。 途中、マイクのトラブルで、観客もお店のスタッフもギョッとした場面があったのですが、それもユーモラスに対応し、和ませてくれる尊子さんのステージ・パフォーマンスは、流石、お見事! 又、尊子さんのライブでは恒例ですが、生徒さん達をステージに招きいれ、デュエットしたり、1曲フルで唄わせたりと、指導者、教育者としての熱心さも垣間見せていました。 やはり、ジャズは『ライブ・ステージ』での経験が何よりも大切な勉強であり、伸びる切っ掛けでもある、という事を、尊子先生は良く分かっていらっしゃるのでしょう。 生徒さんにも色々なタイプの人があり、楽しいなあ、と思います。 新しい人達には、ドンドン出てきて欲しいです。 既に自分がメイン・ビルとなるライブを始めている、横井香璃さん(12月24日に同じ店、Stringsでライブあり)、高崎あゆみさん、といった生徒さんもいらっしゃり、今後の活躍が楽しみでなりません。
共演の江草さんについても一言。 江草さんは、尊子さんと同時期にジャズ界に入った、という、やはり大ベテランのピアニストで、兎に角、美味いですね。 クラシックの要素から、ストライド(ブギウギ)〜スイング・ジャズの味わい、そしてモダンなバピッシュな雰囲気もチョッピリ醸しだし、ベテランらしい、『伝統』にシッカリ立脚したプレイを聴かせてくれました。 先日聴いたデビッド・ヘイゼルタインのように、あちら(米国)では若手〜中堅でも、こういう『伝統』に立脚したプレイをする人は居ますが、日本ジャズ界では、ベテラン・プレイヤーの『専売特許』みたいな感があります。 プレイヤーも、リスナーも、若い世代は、もっともっと、江草さん達、ベテランの演奏を真摯に、一生懸命聴かないといけないなあ〜。
ライブの最後は、急速な『アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー』で締め、これが又、スイングしまくって、大団円。 いやあ〜、楽しかった〜、気持ち良かったあ〜。 やっぱり、尊子さんは素晴らしい、凄い、大好きだわ〜〜〜。 と言いつつ、なかなか聴きに来れずにゴメンナサイ・・・・。 という事で、年内はこれが最後でしょうが、来年は、もっともっと聴きにきて、尊子さんのワン&オンリーな世界で漫遊させて貰いたいと思います。 尊子さんは、当夜のStrings以外にも、六本木alfie、青山ボディ&ソウル、上野GH9、吉祥寺赤いカラス等に定期的に出演されていますので、皆さんも、スケジュールで見かけられたら、是非、聴きに行ってみてください。
・・・今回はデジカメ画像がありませんが、以前のライブの模様が、同店のHPに掲載されていますので、そちらで雰囲気だけでもお味わい下さい。 こちらを、どうぞ。