☆01年12月 19日(水)於 赤坂 KEI
  『田中裕士/スタンリー・ギルバート・デュオ+上西千波』

   
出演: 田中 裕士(pf)、スタンリー・ギルバート(b)、上西 千波(vo) 

ファースト・セット
@イッツ・ユー・オア・ノー・ワン(デュオ)、Aこの素晴らしき世界(以下 with ボーカル)、Bストーミー・マンデー・ブルース、C虹の彼方に、Dサマー・タイム、Eポインシアナ(デュオ)、Fマイルストーンズ(デュオ)

セカンド・セット
@ナイーマ(デュオ)、Aサム・アザー・タイム(デュオ)、Bオール・オブ・ミー(以下 with ボーカル)、Cグッド・バイ、ポークパイ・ハット、Dコーリング・ユー、Eオール・ブルース




個人的に注目しているボーカリスト、上西さんが、赤坂KEIに出演。 しかも、共演は、小山太郎さん(ds)とのCDやライブでもお馴染みの素晴らしいピアニスト、田中裕士さんと、ベテラン・べーシストのスタンリーギルバートさんとの情報をキャッチし、早速、赤坂にやって来ました。  『赤坂KEI』は、ボサノバの第一人者、ケイ・石田さん(vo)が経営されているお店で、西洋館の居間・・・暖炉でもありそうなイメージ・・・といった落ち着いた雰囲気のスペースです。

歴史的なジャズ・ジャイアンツと共演してきたスタンリーさんは、日米両国を拠点に活動されている、との事で、日本のホーム・グランドは当店のようです。  まさに“我が家”で過ごす・・・といったリラックスしたムードで、お客さんに気さくに声を掛けるスタンリーさん。  自然と店内が和みます。  ライブは、先ず、デュオでスタンダードを一曲。  ダイナミックさと繊細なタッチが渾然一体となった田中さんのピアノは、まさに“染み入る”という言葉がピッタリくる感じです。  大きな手を駆使して、逞しい音色を聴かせるスタンリーさんは、自らのフレーズに合わせてスキャットしながらプレイ。 文字通り、歌心溢れるプレイを聴かせてくれます。  

さて、ここで上西さんが登場。 得意の楽曲を4曲歌います。 
『新宿J』でのライブの際にも感じましたが、上西さんは、中〜低音域での歌声のクオリティが素晴らしく、多分、科学的に『声紋』を取ると、無駄に出でいる周波数が少ないのではないかな、とすら感じます。 その為、実際の『声量(ボリューム)』以上に、こちらに伝わってくるモノが大きく感じるのかも知れません。  この辺りの特質が、本邦ボーカル界にあって、今後、彼女をユニークな存在として際立たせる可能性があるように感じます。  ライブは、その後、再び、田中さんとスタンリーさんのデュオに戻り、曲は、田中さんが小山太郎さんのアルバム『ライト&シェイド』でも演奏していた『ポインシアナ』。  アーマッド・ジャマルも得意とした名曲ですが、エレガントな中にも、怪しげな雰囲気を湛えたメロディを、更にミステリアスに紡ぎだす、田中さんの流麗かつ大胆なプレイは見事です。  スタンリーさんのベースも、『ドラム要らず』と思わせる、圧倒的な存在感と訴求力で唄いまくり、田中さんとのインティメイトな対話は、長尺になっても、垂れ流し的にダレることが一切無く、エキサイティングに続きます。 熱演は、続く『マイルストーンズ』にも飛び火。 名手2人による、極上の演奏を存分に楽しませて貰えました。



Hiroshi Tanaka (pf)



Stanley Gilbert (b)



Chinami Kaminishi (vo) with Hiroshi Tanaka



セカンド・セットは、コルトレーンの名バラッドからスタートし、米国でリリースされたばかりの田中さん&スタンリーさんのデュオ・アルバム『Overjoyed』にも収録されている『サム・アザー・タイム』と続きます。  ビル・エヴァンス(pf)のバージョン等、ノン・タイムのバラッドで演奏されることの多い曲ですが、ここでは、ミディアム・バラッドといった感じで、シットリしていながら、決して甘さに流されない、何処かタフさも感じさせる名演となりました。  

続いて、再び上西千波さんが登場。 前回のライブでは聴けなかった、チャールス・ミンガスの『グッド・バイ、ポークパイ・ハット』・・・ジョニ・ミッチェルのバージョンではなく、ローランド・カーク版・・・が面白く、又、前回同様、『コーリング・ユー』での歌唱は白眉で、発せられる高音が、天高く、オゾン層に吸い込まれていくような(?)、摩訶不思議なムードを漂わせていました。   
最後に、当夜は、前述もした田中さん&スタンリーさんのデュオ・アルバム『Overjoyed』を購入させて貰ったのですが(詳細は、『こんなん出ましたけど〜』のページ参照)、このCDが素晴らしく、お2人のプレイに惚れ込んでしまいました。  又、是非、ライブに足を運びたいと思っています。