
☆01年12月 3日(月)於 四ツ谷 サッシペレレ
『福村 博 サンバ・オーケストラ』
出演: 福村 博(tb, arr.)
三木 俊雄(ts)、緑川 英徳(as)、岡野 等(tp)、塩本 彰(g)
福井 五十雄(b)、谷山 明人(ds)、Peter St. Ledger (key)
日本に於いて“ボサノバ”は根強い人気がありますね。 かく言う僕も大好きです。 日本には、バークレー留学から帰国した渡辺貞夫さんが、66年のヒット作『ジャズ&ボッサ』等で紹介されたのを皮切りに、セルジオ・メンデスが度々来日して華やかなパフォーマンスを魅せたり、長谷川きよしさんの『夜明けのサンバ』の大ヒットがあったり・・・。 最近では、(僕は行ったことないですが!)“ボサノバ・カフェ”なるお洒落なお店でお茶するのが、妙齢のOLさん達の間で流行してるとかで(ホンマかいな?)、もしかすると、今、世界中で最も“ボサノバ”を愛しているのは、日本人かも知れませんね。 (ご当地ブラジルでは“懐メロ”になっている、との話しも聞きますし・・・)
日本に“ボサノバ”を流行らせた功労者は多くいらっしゃいますが、80年代以降、その存在を或る意味“ジャズ”以上に一般的なものにした立役者は何と言っても小野リサさんでしょう。 幼少期をブラジルで過ごしたリサさんが、帰国後、新宿や六本木のライブ・ハウスに、ギター1本抱えて彗星の如く現れた時の衝撃は、いまだに語り草になっているそうです。 マニアックな音楽ファンでなくても、TVやラジオ等を通してリサさんの爽やかな歌声に魅了された人は多いと思います。
さて、知ったかぶりの前置きは、この辺で止めまして(笑)、そのリサさんの父上が経営されている、正に東京のブラジル音楽/料理の老舗店と言えるのが、当夜のライブの会場、『サッシペレレ』です。 実は、このお店は非常に好きでして、今までに何度となく伺ったことがあります。 ここ2年くらいは足が向いて居なかったのですが、リサさんのプロデュースで『ジャズ・サンバのビッグバンド』ライブがある、との情報をゲットし、久々に行ってみました。 入店すると、かなりの盛況ぶりで、普段はダンス・フロアとなるステージ前のスペースにもお客様が溢れている状態。 うぉ〜、こりゃ凄いや・・・と思っていると、いつものようにマスター(小野パパ)が、接近してきてウェルカム、カム。 何処に座る? 此処にする? 其処が良いよ、ハイ、ドリンクは・・・ビール? ブラジルのビールは良いよetc.と至れり尽せり(?)のホスピタリティーで、嬉しいやら圧倒されるやら(笑)。 丁度、空腹だったので、何か食べたいなと思っていると、絶妙のタイミングで、スッとメニューを持ってきて差し出すパパさん。 前菜からメインまで、お勧め料理を詳しく解説してくれるサービス精神は、益々お元気なご様子で、微笑ましい事この上なし。 ズッと食べたかった、黒豆とお肉を煮込んだシチュー、フェジョアーダをオーダーすると、パパさんも何故か嬉しそうに、『ハイ、カウンターさん、豆ね、マメ〜ッ』。
ところで、肝心のサンバ・オーケストラですが、リーダーは、70年代から自己のグループをはじめ、渡辺貞夫グループ、ゲス・マイ・ファインズ、ネイティブ・サン等で活躍されたベテラン・トロンボーン奏者の福村 博さん。 福村さんはアレンジも担当されたようです。 そして、他のメンバーですが、実は当日まで詳しく知らずに『兎に角、凄いメンバーらしい』という噂だけを耳にしていました。 実際に、お店に行くと、福村さん以下、本当に凄いメンバーで(!)、店内後方の控え席に集まってくるミュージシャンを一人一人確認しながら、おっ、三木さんだ、おおっ、緑川さんに岡野さんだ、おおおっギターは塩本さんではないですか?!・・・と独り悦に入ること暫し・・・・。
緑川 英徳(as)、塩本 彰(g)、岡野 等(tp)
ライブは、小野リサさんの選曲のよるものだそうで、リサさんのレパートリー等から演奏されたようです。 普段はパーカッションの担当が多い谷山さんですが、当夜はドラム・セットに座り、得意のブラジリアン・リズムを繰り出し、『サッシペレレ』では御馴染のキーボードのPeterさん、ベテランの福井さん、塩本さんと共に安定したリズム隊を構成。 お陰で安心して楽しめます。 フロントのホーン陣は、初見の譜面ということもあってか、ちょっと悪戦苦労な感じもなきにしもあらず(?)でしたが、そこは第一線で活躍するトップ・ジャズメン、ハイトーンで吹きまくる岡野さん、怪しげなトリッキーさを聴かせる緑川さん、豪放さと繊細さが渾然一体となった三木さん・・・と各自持ち味を出した演奏で、流石です。 個人的に唸らされたのは、ベースの福井さんで、演奏全体を通して目立たず堅実なサポートを聞かせていましたが、ある曲の途中、ソロ回しでギターの塩本さんから『俺は良いから、どうぞ』と目配せされると、サッと察知して、それまでの渋いプレイから一転、正に『電撃!』といった風に、バリバリ、ブリブリ、グウィングウィンと凄いソロを展開し、そして、何事も無かったような涼しい顔でテーマに戻るという離れ業。 いやあ〜、ソロ突入時の機転と瞬発力、そして合奏に戻る際の何気なさ・・・、百戦錬磨のベテラン・プレイヤーならでは凄いプレイで、これには脱帽です。
三木 俊雄(ts)、福井 五十雄(b)
福村 博(tb)
満席の店内は、気の早いクリスマス(忘年)パーティといった団体さんも多く、賑やかな雰囲気。 決して、ミュージシャンの皆さんには好条件とは言えない状況でしたが、小野パパのミュージシャンに対するアプリシエーションには頭が下がるものがあり、自らMCマイクを持ち福村さんとバンドを敬意をもって紹介したり、各メンバーのソロに大きな拍手を贈ったり、又、スポット・ライトの操作をはじめ照明の調整に孤軍奮闘、ステージを盛り上げる演出に腐心されていました。 小野パパの情熱には、本当に嬉しくなります。
このサンバ・オーケストラ、今後も12月は、10日、17日、31日と、24日以外の毎月曜日に同店に登場するとの事です。 メンバーは日によって入れ替わりがあり、岡崎好朗さん(tp)、佐々木史郎さん(tp)、山田穣さん(as)、池田篤さん(as)、峰厚介さん(ts)、竹内直さん(ts)、秋山一将さん(g)等も参加予定だそうです。 又、31日には、小野リサさんも登場し、年越しカウントダウンで共演するとか。 これまた凄いことになりそうですね。
気持ちが沈む出来事が多い昨今ですが、サンバで陽気に楽しく、プォ〜〜〜ッと盛り上がり、年末の一時を過ごすのも良いものですよ。 まだ間に合いますので、貴方も是非、如何ですか?