(L to R) 松原衣里(vo)、清水絵理子(pf)

日時 会場 出演
02年5月21日(火) 吉祥寺・Art Club Strings 松原衣里(vo)、清水絵理子(pf)


ファースト・セット:@ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア、Aアイ・ソウト・アバウト・ユー(以上ピアノ・ソロ)、Bハニー・サックル・ローズ、Cいそしぎ、Dフィーバー、Eサムワン・エルス・イズ・ステッピング・イン
セカンド・セット:@夜は千の目を持つ、Aイット・グッド・ハップン・トゥ・ユー(以上ピアノ・ソロ)、Bサマータイム、Cラブ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ、Dジョージア・オン・マイ・マインド、Eオール・オブ・ミー


神戸出身のジャズ・シンガー、松原衣里(えり)さんのライブを約半年ぶりに聴きに、吉祥寺・アートクラブStringsへやって来ました。 松原さんは、昨年から拠点を東京に移し、数は未だ然程多くないものの、当夜共演の清水絵理子さん(pf)や井上祐一さん(pf)とライブ活動をしています。  

この日の店内は、松原さんの熱心なファンの方々が多く駆けつけ、超満席の盛り上がりとなり、昨年来の彼女の活動の内容の濃さを物語っているようでした。  選曲は、『いそしぎ』、『フィーバー』等、同世代の若手シンガーが好んで取り上げる楽曲もありましたが、『ハニー・サックル・ローズ』、『サムワン・エルス・イズ・ステッピング・イン』といった、可也シブイところもあって、なかなか面白いですね。  松原さんのボーカルは、“コテコテ”なクセはありませんが、基本的にブルージーな声質で、そこに程よい円やかな味わいも感じられます。  

この日のステージで、松原さんの歌声、身のこなし、そしてMCと、全てから何よりも強く感じ取れたのは、漲る気力のようなもので、眩しいほどの輝きを放っていました。 前回のライブでは、歌は堂々としていたものの、未だ東京に移って日が浅いということもあってか、持っているであろうポテンシャルの割には、ちょっと小さく纏まり過ぎかな、という感じがありました。  正直言って、【原石の、そのまた原石(?)】という感じです。  しかし、当夜は、本当に何か“パーン!”と弾けた、と言うか、突き抜けたような感じがあり、半年で、ここまで輝きが増すものか、と感心、感動させられました。 ギラギラと輝く【原石】の真の明るさを見た感じがします。  

聞くと、今年の初めに扁桃腺の手術をし、現在は体調も万全という松原さん。 大リーグに移って爆発した新庄剛、日本代表の真のリーダーとなり輝きを増した中田英寿・・・等、【心技体】が充実しきった人の活躍ぶりを見るのは、本当に嬉しいことです。  
これから未だ未だ学ぶことは多いのでしょうが、将来、本当に【良い歌手】になる人であろう、と感じました。

さて、一方のピアノの“ericcho”こと、清水絵理子さんですが、その外見の【細腕ぶり】(?)に似合わず、相変わらずの【渋味の極み】といったプレイで、も〜っ、素晴らし過ぎます。  ソロ・ピアノでは、有名スタンダードを取り上げ、しかし、『また、あれか?』と決して思わせない絶妙なテンポの選択、そして、ノン・タイムのアドリブ・イントロから、徐々にそのテンポの輪郭(リズム)と聴き慣れたテーマ・メロディが解き明かされ、憎い程見事に【起承転結】を構築する【テーマ→アドリブ→テーマ】の展開、どれを取っても正に天才的。  若手からベテランまで、多くのシンガー/ミュージシャンから引っ張りダコであることが肯ける、本当に見事なプレイで、只々聴き惚れてしまいます。  

某OJさんが引退されてから、多くの女流ジャズ・ピアニストに、ファンのみならず、音楽産業界から熱視線が送られていますが、何と言っても、この“ericcho”を多くの人に聴いて貰いたいと思います。  今後は、サポート役だけでなく、トリオやコンボのリーダーとしての活躍も期待したいところです。