Breeze: (L to R) 磯貝隆昭、小菅けいこ、中村早智、中村学

日時 会場 出演
02年5月16日(木) 銀座・SWING Breeze: 小菅けいこ(ソプラノ)、中村早智(アルト)、中村学(テナー)、磯貝隆昭(バリトン)
野口久和(pf)、中村新太郎(b)、稲垣貴庸(ds)


セカンド・セット: @ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド、Aお馬鹿さん(以上ピアノ・トリオ)、Bマイ・フェイバリット・シングス、Cネヴァー・ネヴァー・ランド、Dマイ・シップ、E明日にかける橋、Fアイブ・ガット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング

サード・セット: @9月の雨、Aチェロキー(以上ピアノ・トリオ)、Bザ・レイト・レイト・ショー、C黒いオルフェ、Dゲット・ハッピー、Eオール・ブルース、Fヒア・ゼア・アンド・エブリウェア、Gクレイジー・リズム


1年3ヶ月ぶりにボーカル・グループ “ブリーズ”のライブを聴かせて貰いました。 “ブリーズ”は、本邦ジャズボーカル界の大御所の一人、後藤芳子さんの門下生によって約10年前に結成されたグループ。 昨年8月にテナーの中村さんが加わり、現在のラインアップになりました。 

さて、仕事の都合でセカンド・セットから銀座スイングに入店すると殆ど満席状態の盛況ぶり。 先ずは、野口久和さん(pf)を中心としたトリオのスインギーな演奏が、ワクワクした気分にしてくれます。 野口さんは、ピアノのプレイは勿論、得意のアレンジメントでも “ブリーズ”をレギュラー的にサポートしており、ベースの中村さん、ドラムの稲垣さんも共演が多い“気心知れた”とも言えるメンバー。 極上のリラックス感を与えてくれます。

さあ、いよいよ “ブリーズ”の4人の登場となり、一曲目は、お馴染みの『マイ・フェイバリット・シングス』。  いつもながら、安心して聴ける分厚い『声の層』を感じさせながら、大らかに展開していくコーラスの『スペース感』には、只々、聴き惚れてしまいます。  ウットリさせるディズニー・ナンバー、『ネヴァー・ネヴァー・ランド』。 思わずグッとくる、クルト・ワイルの『マイ・シップ』。 そして、野口さんがレゲエのリズムにアレンジした楽しい『明日にかける橋』・・・と、次ぎから次ぎへと観客の心を引き込むステージは見事。 

サード・セットも、“ブリーズ”のライブではお馴染みのステキな『ゲット・ハッピー』をはじめ、マイルスのトランペットを思わせる、メラメラと燃える青い炎のようなボーカリーズが凄い『オール・ブルース』等、聴き所満載。 特に、野口さんがアレンジしたと言う、ビートルズの『ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア』のアカペラは白眉で、きっと、ポール・マッカートニーが聴いたら大喜びするであろう、素晴らしいコーラスでした。

新加入のテナーの中村さんは、クラシック出身で、ジャズを歌って日が浅いこともあってか、先輩3人に比べると、ちょっと存在感が薄めでしたが、短いソロでの美声やテクニックは素晴らしいものがありました。 これから先輩に追い付け、追い越せ、という勢いで活躍していって欲しいものです。 

“ブリーズ”の素晴らしさは、鍛錬され尽くしたと思える、見事なテクニックとチームワークをベースにしながら、変な堅苦しさが皆無な所です。 そして、彼等のボーカルには、『歌うこと』で『何かを(リスナーに)伝えよう』とする、大きな『訴求力』と『説得力』があります。  勿論、そこには『押し付けがましさ』は有りません。 僕は、ライブを聴きながら、心の中で『うむ、うむ、歌を歌うという事は、こうあるべきなんだよね』と、繰り返し、頷いてしまいました。  

ジャズをあまり聴いたことがないというリスナーにも、“ブリーズ”の楽しさは理解出来る筈ですし、又、そのパフォーマンスの濃い内容は、ベテランのジャズファンをも満足させてくれることでしょう。  是非、多くの方に聴いて欲しいと思います。 8月には、待望の新作CDも発表される、とのことで、今後の活躍が益々楽しみな “ブリーズ”です。




(L to R) 野口久和(pf)、中村新太郎(b)、稲垣貴庸(ds)