幾つもの遺構が重なる遺跡の発掘調査では、程度の差こそあれ下層部の遺構の調査と上層部の遺構の破壊とが同時に進行してしまいます。
2.発掘現場で管理される情報
発掘調査を通じて管理される情報は、遺跡そのものに関する情報と遺跡そのものに関する情報を管理するための情報に区分することができます。
3.発掘現場における記録手段
発掘作業は、遺跡内の遺構及び遺物の位置や出土状況について正確に記録することを主眼に進められます。
4.発掘現場におけるコンピュータの活用
遺跡、遺物のデータ整理に限らず、データの公開、意見の交換など広範な活用が模索されます。
従って、思考復元が可能な程度に発掘現場の情報を収集しておかなければ、後生の妨げとなりかねません。
しかしながら、発掘調査の過程で処理すべき情報は発掘現場の規模に比して膨大です。
さらに、発掘作業終了後の報告作成段階における情報検索、報告後研究者等からの照会に応えるための情報検索にも相応の時間を要します。
少人数の調査員が、僅かの予算と限られた時間を有効に活用するために、発掘現場で、いわゆるデータベースを用いる情報管理は有効な手段です。
また、発掘した遺跡についての計量分析をおこなう環境を整えることもできます。
遺跡そのものに関する情報
遺物に関する情報
遺構に関する情報
遺跡そのものに関する情報を管理するための情報
写真に関する情報
図面に関する情報
したがって、特定の遺構を発掘する場合、一般的に復元可能な記録手段と考えられる、遺物・遺構・土層の図化と写真撮影によってなされます。特に、記録漏れの防止と正確性に万全を期するため細部にわたる図化と撮影がおこなわれます。
なお、図化に際しては、伝統的な平板測量やオフセット測量等に加えトータルステーションシステムが用いられ、比較的短時間に誤差の少ない記録が可能です。
また、写真撮影についても、小型もしくは中型カメラによる地上からの撮影に加え、ラジコンヘリコプターを用いた、垂直・大俯角写真により比較的容易に遺跡の全景を記録できます。
発掘作業を通じ、膨大な量の異なる手段による多岐にわたる情報が記録されます。
★「考古学入門」/鈴木公雄/東京大学出版会/1994年(第5刷)
★「遺跡を掘る」/田辺昭三/角川書店/1983年
★「考古学調査研究ハンドブックス 1 野外編」/岩崎卓也(他編)/雄山閣出版/1984年
★「考古学調査研究ハンドブックス 3 研究編」/岩崎卓也(他編)/雄山閣出版/1985年
★「考古実測の技法」/江坂輝彌(監修)/ニューサイエンス社/1996年(重版)
★「古代の土木設計」/椚国男/六興出版/1983年
★「中国・朝鮮・日本の長さ標準 (300B.C.〜A.D.1700)」/岩田重雄/計量史研究(No.17)/1994年
★「中国・朝鮮・日本の長さ標準 (5000〜300B.C.)」/岩田重雄/計量史研究(No.18)/1995年
★「最新日本考古学用語辞典」/大塚初重,戸沢充則(編)/柏書房/1996年
★「弥生土器の様式と編年 山陽・山陰編」/正岡睦夫,松本岩雄(他)/木耳社/1992年