遊想雑貨バナー ←表紙へ←巻の41へ巻の43へ→


巻の42 コンピュータ カー (バンダイ) 2003/ 3/ 1

思い通りに
自在に動かすことの出来るオモチャというと、皆さんはどんなのを連想しますか?
コントローラーで動かす玩具に、まずはリモコン。ラジコン。マイナーな処ではUコン(←知る人も少なくなったけど)…とかもありますけども。
他にこういう「○×コン」とか以外にも「プログラミング制御」で動かすオモチャもあったりしますよね。
最近ではワンダースワン用昆虫型ロボット「ワンダーボーグ」とか、学研の「大人の科学」シリーズでも「プログラム・ロボット デジロボ01」なんてのもあったりします。

さて。
この「プログラム組んで制御して」動かすオモチャはデジタル技術がこなれてきたから世に出てきたと思うでしょうが。
意外にも、30年以上も昔にプログラムカードを使ってあらかじめ指示した通りに動かすことの出来るオモチャというものが実在したのです。
今月はそのオモチャ、バンダイ「コンピュータ カー」を紹介しましょう。


昔の“ハイテクイメージ”を絵に描いたようなパッケージ

個人的な話ですが、忘れもしません。
これって昔むかしに、今は亡きウチのおじいさんが買ってくれたオモチャだったんですよ。
ウチのおじいさんにとっての孫はほとんどが女の子でして、私は唯一の男の子の孫だったんです。そのせいもあってか、けっこう可愛がってもらった想い出があります。
タマに田舎に帰った時とか逆に田舎から出てきてくれた時にはけっこう奮発した買い物をしてくれたものです。
いつの時代も、じぃちゃんばぁちゃんは孫には甘くなるものなんでしょうか、子供だった私は深く考えることもなく単純に喜んでましたねぇ…(懐)。
商品に製造年が全然書かれてないにもかかわらず冒頭で「30年以上も昔に〜」と書いたのは、その頃の記憶をたどったからなんですよ。

あ、誤解なきように最初に書いときますが、その当時の品物自体は当たり前のごとく遊び倒して捨ててしまってます。
今回紹介するアイテムは、しばらく前に偶然入手出来た“一応”美品の再入手品(後述)なので念の為ね。


なにせ30年も昔、この時代『コンピュータ』といえば『電子頭脳』と和訳されるのが普通だったものです。こんな名前が付いているだけで、とんでもなく未来的な響きがしたものです。当時は意味もわからずに(苦笑)。

さてそれじゃこのオモチャ、いったいどこが『コンピュータ』なのか。
さすがに子供の頃はそんなことなんにも判らずに遊んでたものでしたが、今の目で改めて眺めると「なーるほど、言い得て妙だわ!」と感心してしまいます。
つまりこの車、あらかじめ走行パターンを専用カードでプログラムし、そのプログラムカードを車体のシャーシにロードすることによってプログラムされた通りに走らせることができるのです。

まずはそのシャーシを裏から眺めてみましょう。構造が一目瞭然です。

シャーシ左右端に可動アームが計2本ありますね。それぞれが「前輪のステアリング」と「後輪の駆動ギア」に直結されてます。
前輪の場合この可動アームが動く事で方向転換できます。
後輪の場合この可動アームが動く事でギアを切り替えて前進後進(停止も)を制御できます。
シャーシ後部、写真で言う右方向からロードされたプログラムカードは前方にローラーでフィードされ、そのプログラムカードのエッジに刻まれたパターンを可動アームがなぞることによってパターン通りに走らせる事ができるのです。
左が前方向です。カードは右から左にロードされます

プログラム方法を取説より抜粋 こちらは取説からプログラムのやり方の部分を抜粋してみました。
カードの両端に台形にカットされた部分がプログラムとなります。
つまりあらかじめカードをカットすることで走らせたい走行パターンをプログラミングするのです。
カットする切り込みの深さは三段階。これで前輪の場合「右方向」「正面」「左方向」を、後輪の場合「前進」「停止」「後進」を表現します。
車体後部からプログラムカードが差しこまれると車のスイッチが入り、ゆっくりと一定の早さでプログラムカードがフィードされます。
そしてカードのカット部分を可動アームがなぞる事によってプログラムされた走行パターンをトレースする仕組みになっているのです。  

フィードされたカードは車体の前方から出てきます。走行が一通り終わったタイミングで車体の前からカードが排出されて同時にスイッチが切れるというわけですね。
走行開始から終了まではだいたい30秒。直進で約20m走行できると説明書には書かれています。

さすがにこんな発想、当時のバンダイには出てこなかったようで。
アメリカのHASSENFELD BROS.社(ハズブロ社?)との技術提携商品だとパッケージにはっきり書かれています。

商品内容は車一台にコース用パイロン6本、プログラムカードは黒いプリセットカードが4枚と自由にプログラム出来るブランクカードが10枚付属しています。
車種は全部で4種、箱には「アメリカの代表的車種」と書いてありまして、私の手元にある「フォードマークIV」のほかに「ビュイックセンチュリー」「クライスラーチャージャー」「シボレーアストロベッティ」という車種があったようです。
特に「シボレーアストロベッティ」は未来的フォルムでムチャクチャかっこいいんですが、こんな車が本当に実在してたんでしょうか…いまいちマユツバ物のよーな気も少々。
パッケージにはさらに「単3乾電池2本使用で2,000Mも走ります」と記載され、コンピュータという言葉に負けまいかのごとく若干ハッタリ気味にスペックを強調しようという気配が感じられます(笑)。
値段は品番と思われる表記に「B61−1200」と書かれてるように1,200円でした。

パッケージ内部 黒カードは走行パターンプリセットカードで白カードが任意プログラム出来るブランクカード



冒頭に「しばらく前に偶然入手出来た“一応”美品」と書きましたが、なんで“一応”かというと。
ま…早い話が「動かない」んですわ(苦笑)。
ブランクカードが全部未使用なぐらいですんで、多分どこかのデットストック品かと思われます。それだけにたいへんいい状態で売ってたんですが…店頭では「動作せず」の但し書きが付いとりまして。
店のあんちゃんに箱の中身を見せてもらって大きな折損破損がなさそうな事を確認して「まぁ、多分大丈夫やろ」と軽く考えて買ってきたのです。たぶん接点かどこかが汚れてて、研いたら動くんと違ゃうの〜ぐらいに思ってたんですよ。
家に帰って電池入れて、カード突っ込んだらモーターちゃんと動くじゃないですか。
やったー!どこが「動かない」ぢゃ!…と思ってたら、意外な部分に問題が見つかりました。
プログラムカードをフィードさせるローラー。こいつが問題だったのです。
このローラー、材質がウレタン樹脂だったんですよぉ。
ウレタン樹脂はゴム素材と並んで経年劣化が不可避な材質です。ましてや30年の月日が経ってる代物です。このウレタン製ローラー、完全に劣化しきってローラーの役にたたなくなってしまってたんですよ。それでプログラムカードがフィードしないというわけなんです。
まぁ、最初から「動作せず」を承知で買ったんですから、それなりの覚悟はしてましたけども。

…してましたけど…やっぱり、ねぇ(苦笑)。
子供の頃、意味もイマイチわからないまんまブランクカードにハサミ入れては「走りが前とちょっと違う〜!?」とかはしゃぎながら、しまいには切るところがなくなるまでカードにハサミ入れまくって遊び倒した思い出を胸に、30年経って理屈も十分わかった今、改めてじーっくりと遊び直してみよー!!
と期待したんですけども、ねぇ〜(悲)。
ローラーをなんとかすれば復旧可能かもしれない、という根拠のユルい甘い夢に期待を込めて。
いつの日にか遊べる(かもしれない)日がくればいいなーと願う私でありました。

この項終わり
←表紙へ ↑ページの先頭へ 巻の43へ→