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| 巻の20 | ファミコンソフト『愛先生のO・SHI・E・TE 私の星』 (アイレム) | 2001/ 5/ 1 |
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個人的に玩具模型以外の雑多な趣味の一つとして
いっとき占星術(星占い)も若干たしなんでおりました。 「全世界の人間がたった12パターンに分類されてたまるかぁ!」とか考えるような性分ですので(苦笑)いろいろ資料を探し出してホロスコープ(出生天宮図)の作図や読み取り方を独習し、ウレシがって友人や知り合いを占ったりしたものでした。 とはいえ、所詮素人のやる事ですのでホロスコープの作図にはハンパではない時間がかかります。ちょっとしたヒマ程度の時間ではメンドくさくて描けたものではないのでだんだんおっくうになり、最近はトンと御無沙汰状態ではあるのですが… まぁ、そのおかげで付け焼刃に毛が生えた程度の知識は持ち合わせていたりするのです。 世間で良く知られているような占いには、大ざっぱに2種類に分かれるんじゃないでしょうか。 易者が持ち合わせている霊感とか未知の能力を触媒(代表的なものではタロットカードや水晶球、筮竹とか)によって高めて占うものがひとつ。 これは根本的に易者にそういう能力がある事を前提の占いのため、一般人にが手を出すにはそういう素養もしくは努力、または才能とかよくわからないものとかが必要となります。 もうひとつは、姓名判断や占星術などの「法則を元に算出する」ことにより膨大に蓄積されたデータから傾向という占い結果をはじきだすもの。 これは易者に特殊な能力が必要とされにくい(あえて「必要とされない」とは言いませんが)ので、手間ヒマを惜しまなければ私のような素人でもそこそこ詳しい占い結果を出すことが出来ます。 そしてこれらは「膨大に蓄積されたデータ」「法則を元に算出」というところから、実にコンピュータ処理に向いている占いでもあるのです。 パソコンでも市販のソフトの人気をみても、あるいはネット上のコンテンツとしても、占星術はポピュラーな上に数ある占いの中でもダントツにコンピュータと相性のいい占いと言えるのではないでしょうか。 TVゲーム機はビデオゲームに特化したコンピュータです。 故に、ゲーム機のソフトとして占星術ほか占いのソフトが出てきても何のフシギもありません。普及率ダントツの任天堂のファミコンなら尚更のことでしょう。 「膨大に蓄積されたデータ」という関係で大容量ROMがカセットに使われる必要があるために、それらの登場はファミコン時代の中期〜末期となります。 最初はメーカーも「市場占い」のつもりで(笑)いくつかのソフトを出してきましたが、どれもそれなり、もしくはそれなり以下の代物でした。最初はジャレコから1988年に「西洋占星術」というそのまんまのタイトルの物が出て、次にインダクションプロデュースから「’89電脳九星占い」という翌年以降全〜くの役立たずなソフトがリリースされました。 ヒドいのでは一発ソフトハウスのひとつ、スコーピオンソフトからディスクで「タロット占い」というド陰気なパッケージで書籍の丸写しな結果しか出せないよぅなソフトもドサクサにまぎれてリリースされてたりします。 …まぁ、ゲーム機の占いなんて所詮この程度。 ファミコンユーザーにたいした印象も持ってもらえないまま、その後占いソフトはピタッとリリースが止まりました。 ゲームをやりたいユーザーからすれば傍流のジャンルだし、こんなものに気合を込めるメーカーなぞもう出て来まい…と誰もが思っていました。 ところが! ファミコン時代の末期も末期、1993年になって突如、何の前触れも無く驚愕の完成度をもった占星術ソフトがリリースされたのです。 結局はさほど話題にも上らないまま密かに消えてしまったのですが… |
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《画像キャプチャー協力:た〜に〜氏(Thanks!)》 |
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大手ゲームメーカーの一つにアイレムという会社がありました。 有名どころのタイトルではシューティングゲーム「R−TYPE」「海底大戦争」アクションでも「最後の忍道」など、比較的硬派な作風でマニアの評価も高いメーカーでありました。 ビデオゲームとしてのアイレムとしてはそういう評価ですが、実はもうひとつ。このアイレム社はかつてゲームセンターの店頭によく設置されていた「占いマシン」でも有名なメーカーだったのです。 コインを入れて画面の質問に答えると占い結果が紙にプリントアウトされて出てくる機械が、プリクラ(プリント倶楽部)が流行る以前の女の子に人気のマシンだった、そういう時代があったのです。 個人的な話ですが、実は私のペンネーム「宙太郎」というのも名付け親はアイレムの「ネームトリップ」というニックネーム名付けマシンなのです。この機械に自分の診断データと「ジャンル:小説家」と入力したところ、はじき出された名前が「チュウタロウ」だったので、それに漢字を当てはめたのが由来なのですよ。 それはさておき、実は占いマシン大手でもあるアイレムがついにファミコンで占星術ソフトを発売する!そのことに注目したのは、多分ごく一部の酔狂な趣味人だけだったことでしょう。 実際発売されたソレは、ファミコンショップの店頭でやたらに浮きまくるデカいパッケージに女の子向きイラストがドカン!と。中を開けるとカセットは見事にピンク色。 しかもお値段は大胆にも12,800円という驚きの高額。 当然ファミコンユーザーからはほとんど相手にされず、安売りワゴンの片隅で処分価格で叩き売られた後にその存在をほとんど忘れられてしまいましたが、それでも買った人はきっと驚いたと思います、その予想をはるかに越えた作り込みと完成度に。 当時も、そして今も。ゲーム専門誌からほとんど相手にされることがなかった不遇の名作占星術ソフト。 今月はそのソフト、ファミコン用『愛先生のO・SHI・E・TE 私の星』を引っ張り出してみたいと思います。 |
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タイトルにある「愛先生」というのは雑誌等でかなり有名なマドモアゼル・愛氏です。 この時代ファミコンソフトにタレントとかの有名人が名前を貸す場合、その有名人が内容まで監修する事は滅多にないのが普通でした。しかしこのソフト、愛先生がかなり深く監修までかかわった様子がありありとうかがえます。 まずはソフトの内容をながめてみましょう。 スタートすると自分の名前をはじめデータの入力画面となります。 生年月日は当然なんですが、凄いことにこのソフト、誕生時間と出生都道府県の入力まであるのです。 実はけっこうスゴい事なんですよ。というのも、これは月のような運行の早い天体の位置計算もするって意味なんですから。 普通雑誌とかの星占いで「○月△日生まれは□×座」と書かれているのは太陽の位置の事なんです。これだけで人の運命を12パターンにブッた斬って「今日は恋愛運好調ッ♪」とかテキトーに言ってるワケですが、太陽の位置で判ることってのは基本的なパーソナリティ、つまり「パッと見てこんなヤツ」ってニュアンスの事しか分からないのです。だからこういう雑誌とかの占いは大まかに三割当たれば上等と言われています。 運勢を正確にはじき出すには他の11惑星(占星術においては太陽や月も惑星扱いなので注意)の位置関係もたいへん重要で、特に人の内面や情緒関連を占うには月の位置なんかとっても重要だったりします。 でも月なんて「正しくは衛星」じゃないですか。他の星より運行がやたらに早いですから、時間単位でデータがないと正確な位置関係が出せないのです。都道府県の入力も経度の誤差を補正するために必要なのです。 まさかそんなモン、ファミコンソフトで入力させられるとは思いもよりませんでした。 あ、もちろん判らない場合はちゃんと端折ってくれるのでご安心を(笑)。 次に性別を入力すると、数秒の計算の後に誕生時点の星の位置の一覧とホロスコープ、そしてアスペクト表が表示されます。 アスペクト表って何!?いきなり専門的な用語ですが、要は全12惑星の相互の位置関係の一覧表なんです。それぞれの位置関係を角度で表して好影響、悪影響を生じる角度ってのをはじき出してくれるのです。 多分ここらへんで「???」な人が続出してることでしょうから、とにかくやたらめったら詳しいデータが出てきてるんだと思っといて下さい(笑)。 最後に今日の年月日を入力すれば占いの準備はOK。とにかく凝ったデータ計算してますねん!という事をアピールしてからやっと本番、監修の愛先生がようやく登場です。 ここからソフトのオリジナルキャラ「レムちゃん」と愛先生との掛け合いによる運勢の説明が始まります。 総合運勢や、愛情運、縁のある相手、相性診断、運命の恋、あの人と恋をすると?、そして今日の運勢。他にも幸せのおまじないや最後の言葉などなど… 金運や仕事運という項目はなく、とことん恋愛関係に集中してはいますが、レムちゃんがたずねて愛先生がアドバイスする、という掛け合い形式で、知りたい内容について実に判りやすく占い結果を説明してくれます。 ここなんですよ! メインターゲットは女性です。せっかく出てきた占い結果がどんなに詳細に計算されてても、専門バリバリのデータのまんまでポンッ!と出されたって普通退かれるか、ヤな顔されるだけじゃないですか。 星占いはエンターティンメント!いかに判りやすく楽しく結果を伝えるか。ここに占いマシン老舗のメーカー、アイレムが培ったノウハウがふんだんに活かされてるのです。 二人のキャラを使ったテンポのいい掛け合いは、まるで実際に自分が悩みを聞いてもらってるかのように結果をまとめてくれます。時には軽いツッコミやボケまで交えながらのノリのいぃ展開は、アイレムが大阪のメーカーだったからこそとも言えるでしょうね。 |
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例えばその一例が左の写真でしょか。 このグラフィックは、男同士で恋愛を占った時に一瞬出てくる画面です(笑)。 次の画面で「キャーッ!せんせい、ヘンタイよ!おとこどうしで、占ってる!」と叫ぶレムちゃんに、愛先生は「きもちわるいけど、でも、けっこうきがあうふたりのようだ」と、ゆとりあるコメントをかましてくれます(大笑)。 ユーザーのシャレっ気まで承知の上で(実用上…か?)、ソレはソレとしてちゃんと占うという余裕の姿勢はたいしたモンだと思います。 そしてわざわざこういうレアなケースの演出まで組み入れる、手馴れたメーカーの手腕も負けず劣らずたいしたモンです。 |
| ホロスコープを作図できる占星術ソフトというだけなら、プレイステーション用にサクセスから1,500円シリーズで「西洋占星術」というマーク矢崎氏監修のソフトが1999年に出てますが(この間6年も対抗ソフトが出てない…はず。いかにニッチなニーズかが判りますね)「愛先生の〜」を知ってしまうと実に味気なく感じてしまうのです。
女の子をターゲットに恋占いするとなると「あの人との淡い気持ちを真剣に占って欲しい」という切なる部分と、パーティユースで「芸能人の××と友達の○▲さんの相性は〜…!?」とワイワイキャーキャー言って盛りあがるニーズと両方あるでしょう。 「愛先生の〜」は、綿密なデータ計算だけでなくエンターティンメントとしても豊富なノウハウを併せ持つことでその両面を見事に両立した、名作占星術ソフトであるのですが… 当Webページ以外に、このソフトを高く評価するメディアがはたしてどこにあるのかと思うと、占星術好きのひとりとしてなんとなく複雑なものを感じたりしますね(笑)。 |
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※ 参考文献 《角川スニーカーG文庫『ファミコン10年!』GAME PAPA編著》 《JICC出版局刊『占星学教本』流智明著》 |
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