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巻の14 GOOD−YEAR飛行船 (Revell−タカラ) 2000/11/ 4

秋というものは、もの想いの季節でもあるようで。
今月のアイテムの紹介は、自分自身の昔の蒼かった頃の思い出と直結します。
苦労して忘れたはずだったんですが…えらいモン処分しそこねたなーと苦笑しているのが正直なところではあります。





今から約20年ほど昔、まだティーンエイジャーだった頃。
とあるグループ交際がきっかけで、ひとりの女性と付き合うようになりました。
私にとっては交際じたいが初めてのことでしたが、にもかかわらずここまで相性のいい相手はいないのではないかと思えるほど性格、感性、趣味とほとんどすべてにおいてしっくりいっていました。居て楽しく、話してうれしいという幸せな時代は2〜3年ほど続き、この先も、うまくいけばずっといっしょに…と淡い夢を(多分お互い?)もっていたものでした。





私からその人へのプレゼントは、いつも必ず手作り、もしくは市販品に何らかの形で手を入れた品物でした。性格なんでしょうね。そしてなによりもらって素直に喜んでくれるのを見ると、手がけた労力もスーッとほどけて、また何かしてあげたいなぁと思うその頃の私だったのでしょう。


パッケージ


模型屋の棚でこの「GOOD−YEAR飛行船」を見つけたのは交際末期の頃でした.
モーターと豆球を内蔵して、本体のド真中のメッセージボードを光らせつつ回すことが出来て、しかもそのメッセージシートには自分の好きなデザインやメッセージを書くことが出来るのです。筆記用の水性カラーマーカーペンも4色入っていて、単一電池二本さえ買ってくればあとは何も要らないという、全長30cm以上にもなる存在感バツグンのキットです。
多分その頃の私は、どんなメッセージを書こうかといろいろ考えてワクワクしていたんじゃないでしょうか。





当時の蒼かった私には、お互いの間に終わりの日が来るとは思ってもいませんでした。
きっかけは今思い返してもコレといった理由はなかったような気がします。はっきり言えることは、二人の間に生じたズレをうまく収めるには、私はあまりにもドンくさかったのです。経験不足…つまり本当に蒼かったとしかいいようがなかったのでしょう、おそらく。
今思えばただジタバタしただけだったのかも知れませんが、当時なりにいろいろ手をつくしたつもりでした。
しかし無情にも、このままいつまでも…と思っていた二人の付き合いは、やがてあまりにも呆気なく糸が切れたように終わりを告げてしまったのでした。
グループ交際だったこともあって、共通の知り合いにいろいろ相談とかもしたのですが、こういう時に限って人の本音が剥き出しになるのでしょうか…話のネタにしたい為だけで根掘り葉掘り聞きたがる女性、その別れた相手にこれ幸いと目前で即露骨にモーションかけまくる野郎…その他ほんとうに諸々な事が一気に巻き起こりました。
そのあまりの落差故に、この世にこんなにも辛いことがあるのかとその時痛いほど思いました。
心に空いた穴はいつまでもいつまでも埋まりませんでした。
程なくこのグループとも疎遠になり、時が傷を癒すのをただひたすら待ちましたが、若造の想像よりもはるかに長く、長くかかったような気がします。


一年ほど前、その頃のグループの一人と電車の中で偶然バッタリ会いました。
彼は長い長い間かけて本当にようやく忘れたはずのその人の今のことを頼みもしないのにペラペラしゃべってきました。
何年か前にそのモーションかけた男と結婚したこと、先頃初めての子供が出来たらしいこと…

私には、今その人が幸せな人生を歩んでいるということがわかればそれで十分でした。






箱の中身




そして今、時の流れからこぼれ落ちたように飛行船のキットがひょっこり現れて、手元にあります。
試しに付属の水性ペンを手にとってみると、20年近くも経ってるにもかかわらずインクはしっかり残っててスラスラ書けて、キットは今もあの頃のまま思い出ごとしっかり姿をたもっていたのです。
人の時間は流れ流れて、物の時間は止まったまんまで…

すまないなぁ、本当はこんなトコに未組立のままあるはずのキットじゃなかったのに。

今更処分する気にもならず、さりとて組みたてても貰って喜ぶ人もいると思えず。
ただ胸の古傷がうずくのは、やはり秋が深まっているからに違いない…と思いたいものです。


この項終わり
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