「帰ってきたウルトラマン」の主人公・郷秀樹の名は、70年代を代表する男性アイドル歌手、郷ひろみ氏と西城秀樹氏の名前に由来するという説は、ファンの間に広く伝わっている俗説ですが、これは全くの誤解です。
「帰ってきたウルトラマン」の放映開始は言うまでもなく1971年4月で、現存するデータによれば'71年1月13日に印刷された第1話準備稿に郷秀樹の名前が登場しています。また、その前年に書かれた企画書の時点で主人公の名前は「晩 日出輝(バンヒデキ)」と設定されています。
しかし、西城秀樹氏のシングルデビューは'72年3月(「恋する季節」)、郷ひろみ氏は同年1月にNHK大河ドラマ「新・平家物語」でデビューし、同じく8月に「男の子女の子」で歌手デビューしました。したがって、「帰ってきたウルトラマン」への影響はまずあり得ません。(御両名のデビューが「Aの頃…」ということは記憶していたのですが、念のため複数の芸能関係サイトで確認しました)
矢的の個人的な記憶では「何か、郷秀樹の名前を二つに割った人たちが人気が出てきたな」という印象がありました(^_^;
脚本の上原正三さんによれば、「郷は“地球に密着したふるさと”、秀樹は“秀でた樹が育つ”というイメージで命名した」とのことです。
「帰ってきたウルトラマン」を語るときにしばしば語られるのが「11月の傑作群」というコピーです。
具体的には31話から34話まで、文献によっては35話も含まれることがあります。
しかし、水を差すような発言で誠に申し訳ないのですが、僕自身はこの「11月の〜」という分類に大いに疑問を持っています。
そもそも、この「11月の〜」という言葉は、特撮ファンダムの黎明期の同人誌で「例外的な傑作」として紹介された作品がたまたま11月放映分の作品だったところから出た言葉でした。
そして、この作品群が'78年頃のウルトラブームの中で「帰マンの中の第1期に匹敵する名作」として商業誌に紹介されたことによって定説となったものです。したがって、「11月の〜」の由来は「帰マン」シリーズ全体に対して好意的な意味とばかりは言えなかったわけです。現在では肯定的な意味合いに変化しているとはいえ、僕は『帰マン』ファンとしてこのフレーズを肯定するにはためらいがあります。
11月放映分のエピソードが秀作・力作揃いだったことには僕も異論はありません。しかし、そもそも『帰マン』全体が秀作の比率が高いシリーズであり、その長いシリーズのピークを11月と言う狭い時期だけに求めるのは疑問を禁じ得ません。むしろ「11月の〜」というフレーズは、ファンの間で「11月以外の傑作」の存在から目をそらすような効果を生んでしまい、『帰マン』全体の評価の足を引っ張ってしまったと思うのです。(もちろんこれは、このフレーズを作り出した人の責任ではないのですが)また、放映リストを見た限りでも、「5月の傑作群」「9月の傑作群」というフレーズが十分成立していると思うのです。
無論、このフレーズはわかりやすく注目を引きやすいコピーであることも事実です。このコピーに惹かれて、ウルトラシリーズの中で比較的地味な存在である「帰マン」に注目した方も少なくないでしょう。「帰マン」を紹介する言葉として、このコピーをしのぐインパクトを持つ表現を作ることも、今後の帰マンファンの課題なのかも知れません。
『帰ってきたウルトラマン』を観るときには、ちょっとだけ自問してみてください。「『帰マン』全51話の中で、本当に11月放映分の作品だけが「傑作」として突出しているのか?」と。
「帰ってきたウルトラマン」の主役である「彼」には本当にたくさんの名前があります。以下にまとめますと・・・
ウルトラマン−−−−−−−初代ウルトラマンと区別の必要がない場合
帰ってきたウルトラマン−−番組名
新マン−−−−−−−−−初代ウルトラマンと区別をつける場合の略称
帰マン・帰りマン−−−−−同上
ウルトラマン2世−−−−−次回作の『ウルトラマンA』で呼ばれていた名
ウルトラマンジャック−−−映画『ウルトラマンZOFFY』('84)の頃、円谷プロで付けられた「正式名称」
ご覧の通り、初代ウルトラマンとの関係があいまいだったため「ウルトラマン」で通っていたのが、番組が進む中でしだいに別人であるとはっきりしてきたため、初代と区別する呼び方が何パターンも出来て、放映終了後12年も経ってからようやく「ジャック」(本来はタロウの企画書での名前だったのが、ハイジャック事件の影響でNGになったもの)と命名されたわけです。
僕自身はジャックの呼称にも結構愛着があります。「帰ってきたウルトラマン」にしても「ウルトラマンII世」にしても、「初代ウルトラマンの2代目」という視点からの名前であるため、ウルトラ兄弟の数が増えて「彼」と「初代マン」を対等のキャラクターとして見る上では違和感があったというのが正直なところなので、「彼」を独立したキャラクターとして扱った「ジャック」という呼称を一概に否定はしたくないというのが僕なりのこだわりなのです。
いずれにせよ、「新マン」でも「II世」でも「ジャック」でも、「彼」のことであると通用する限り統一見解を出す問題ではなく、ファン一人一人が自分の好きな呼称を使用すれば良いのではないかと思っています。また、どの呼称を使うかによってその人のウルトラシリーズ観がある程度予想できるのも面白いところだと思います。
三世の由来
第4話「必殺!流星キック」に登場したキングザウルス三世は、新マンを初めて敗北させた強敵でした。
さて、この怪獣の名前には「三世」とありますが、ではキングザウルスの一族に一世、二世が存在したのでしょうか?
実はキングザウルス三世は「必殺!流星キック」に登場する予定の怪獣ではなく、NG脚本「呪われた怪獣伝説」(脚本:伊上勝)で用意されていた怪獣です。
この話の中では、キングザウルスIII世は古代アトランティス人が原始恐竜キングザウルスを品種改良して作った怪獣となっており、キングザウルスの子孫ということで「III世」とネーミングされていました。(放映版では三世)
脚本がNGになり、怪獣名だけが「必殺!流星キック」に流用されたため、意味不明の「三世」になってしまったわけです。
「必殺!流星キック」の脚本では怪獣名はゴーモンになっています。
なお、「三世」の件について、「レッドキング、エレキングに続く三頭目の“キング”」という説明をしばしば見かけますが、この件についてのソースが確認できませんでした。ご存知の方がおいででしたら、ぜひご一報ください。
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