夢の無い話になってしまいますが、どうしても気になるという人のために、"作り方"について簡単に、原理的なところだけ説明してみます。分からないところ、間違っているところがありましたら、是非ご指摘ください。
1.工法
ガラスの彫刻には、いくつか手法があるのですが、当方では"サンドブラスト"という工法で作成しています。
"サンドブラスト"とは、硬く細かい砂状の研磨剤を、圧縮した空気と一緒に吹き付ける事によってガラスの表面を削っていく手法です。
2.絵になるわけ
これでなぜ絵が描けるかということを、概念的に説明します。
仮に下図のような丸く穴のあいた鉄板があったとします。
この鉄板をガラスの表面に当て、一様に研磨剤を吹き付けたら、丸い部分だけガラスに研磨剤が吹き付けられ、この部分だけ傷が付く、つまり透明なガラスは白くなります。
そこで鉄板をはずせば、ガラスに丸の絵が描けているわけです。
逆に、くりぬかれた丸い部分の鉄板をガラスに貼り付けて研磨剤を吹き付ければ、丸の部分だけ彫刻されない、つまり白いすりガラスの中に丸く透明な部分がある絵が描けます。
あとは、丸の部分を文字の形にすれば文字が描け、絵の形にすれば絵が描けることが想像できると思います。
以上が、サンドブラストによる彫刻の基本的なところです。
では実際に鉄板をくりぬいて作っているかと言うと、そうではありません。
実際には、光学処理により原稿から鉄板の役割をするフィルムを起こしています。光学処理だから、細かい原稿も忠実に再現できるのです。
3.彫刻の深さ
通常、ワイングラスのような小物には、手で触ってもあまり段差を感じない程度に浅く彫刻します。
一方、ウェルカムボードの"Welcome"の文字部分などは、はっきりと段差を感じるくらいに深く彫刻し、立体感を与えています。深く彫刻するというのは、玄関先の大理石の表札を思い浮かべてもらえれば分かりやすいと思います。
このような彫刻の深さは、研磨剤を吹き付ける時間や圧力の強弱によって変化させています。当然、吹き付ける時間が長ければ深く彫ることができ、圧力を高くしても深くなります。このとき、鉄板の役割をするフィルムへの負担が大きくなるので、強度のあるフィルムを作成して研磨剤の貫通を防いでいます。彫刻作業では、ガラスの彫れ具合を見ながら、ノズルを持つ手を微調して丁寧に仕上げていきます。
また、少し話は変わりますが、"段彫り"という技法があります。例えば丸い彫刻をしたものに、さらに、それを含む四角い彫刻をしたとすると、丸い部分は2度彫刻され、四角い部分は1度の彫刻になるので、そこに段差が生じます。これが"段彫り"という技法で、より立体的な仕上がりになります。
レストランのパーテーションなどに見られる芸術的な彫刻は、作者の感性を基に、このような圧力の強弱や段彫りといった技法の組合せにより作成されています。
4.素材
以上のような当方の作成方法から、素材はガラスだけとは限りません。
大理石やひのきの表札、本ホームページ内で紹介しているアルミ名刺入れなどが例です。
ただし、フィルムを密着させる必要性から、表面が粗い素材には対応できません。
5.結び
さて、どのようにして作っているか、少しだけでも分かっていただけたでしょうか?
注意して見ると、結構、街の中にもガラス彫刻の作品を発見する事が出来ます。このとき、作り方を知っていると、芸術的な作品になればなるほど、難しそうだな、などという別の見方ができて面白いと思います。是非じっくりと見てあげてください。
なお、分からない点は随時更新していきたいと思いますので、ご指摘ください。
= おわり =