1999年
プロデューサー・下山のMEISOの記録。
『光の庭の子供たち』#02−cafe−

「cafe 」編

「世田谷美術館」編 「cafe 」編 「アースセレブレーション」編



5月15日
8月のcafeに向けてのスタッフ顔合わせ。チラシ用写真撮影。
カメラマンは、大木裕之監督の秘蔵っ子(死語)、アサヌマ
モデルはアキラ君、ヨッチャン、ジュン君。サービス精神旺盛ながらあきっぽい彼らの一瞬の表情を捉えなければならないため、撮影に当たっては「かなりのプレッシャーでした」と。50分間で36枚撮り10本以上というマシーンのような手際で写す写す。
モデルも乗りにのって、ダンスワークショップのような状態になり皆で大笑いしながら無事終了しました。

撮影終了後、会場構成のコバヤシタカシ君、舞台監督のトヨシマさんらと打ち合わせ。
特にトヨシマさんには、テクニカル面一切お願いすることになるので、細かな点まで繰り返し確認する。


5月16日
ゲストとして出演依頼していた鍵盤ハーモニカ・アンサンブル、P−ブロッ野村誠さんより、出演承諾のtel.
「船橋ダンスワークの会の日常の活動にも興味があるから」と、ダンスワークショップも見学に行きたいとのこと。感激!!
これはすごいことになってきた・・・。
5月22日
定例ダンスワークショップ。P−ブロッ野村誠さん、林加奈さんが飛び入りで参加してくれたおかげで、とても盛り上がった。優しいおにいさん・野村さんは女の子たちからモテモテ。
ワークショップ終了後、中嶋夏さんを囲んで、船橋ダンスワークの会の今後の展開について皆で話合ったが、
ワークショップとデモンストレーションを繰り返しながら展開させていく、というプランについては夏さんにあまり理解してもらえなかった・・・。悲しい。

夕食を食べながら、野村さんと林さんにいろいろとおハナシをうかがう。
「アーティストだけの世界に閉じこもっていてはツマラナイ」という野村さんのおハナシに一同深〜くうなずく。

船橋駅に向かい歩いていると、いきなり「ちょっとやっていこうか」と野村さんが言い出した!
船橋駅前で路上演奏がはじまった。街の風景に溶け出していくサウンド。最後の曲「ふるさと」で、踊りまくって幸せ絶頂の一日が終わった。


5月23日
チラシデザイナーのシラハマさんから、チラシ第1稿がメールで届く。チラシは単に販促のためではなく、作品のコンセプトをビジュアルに提示するとても大事なもの。デザインに関してはデザイナーにお任せにするつもりだが、『光の庭の子どもたち』のコンセプトをどんな風に説明したら分かってもらえるか、あれこれ考える。


5月28日
鼓童・ネギシさんよりメール。今年8月に佐渡が島で行われるフェスティバル『アースセレブレーション』に『光の庭〜』の参加が決定したのこと。やった〜!

6月 6日
シラハマさんとチラシについて打ち合わせ。電話で「第1稿はちょっとキレイすぎる。単にカワイイとか美しいというだけでなく、怖さやグロテスクさも含んだ多義的なイメージにして欲しい。」などという抽象的な注文にみごと応え、素晴らしい第2稿を作ってくれた。
モデルのジュン君は某高校の3年生。21歳。船橋ダンスワークの会にずっと参加してくれているメンバーの一人。めったにカメラを見てくれない彼の貴重な表情をとらえてくれたアサヌマ君、そして僕の無理な注文に応えてくれたシラハマさんに感謝。
↓これが決定版!


6月10日
チケットHP先行発売開始。HPをジオシティーズからニフティにお引越し。受け付けをはじめたとたんにメールのラッシュ!ほとんどの方が、出演者とスタッフに励ましのメッセージをつけてきてくれる。
これまた感謝!

7月 3日
立川の特別養護老人ホーム「至誠ホーム」に野村誠さんのワークショップを見学に。
車椅子に乗り、お世辞にもアクティブとは言えないお年寄りと、いろいろな楽器を使ってセッションしていく。
「お年寄りだから静かなのが好き」というのはぜんぜん当てはまらないということを知った。
みなさん小さな楽器よりも大きな音のでる大太鼓や銅鑼などがお好きなようで、嬉々として叩きまくっている。
そのリズムがまたカッコイイ!
目からウロコが落ちるというのがふさわしい一日であった。

7月 5日
P−ブロッの野村誠さん林加奈さんと打ち合わせ。会場構成のコバヤシくん、舞台監督のトヨシマさん、ほか当日スタッフの人々も参加。
野村さん林さんとも、コバヤシくんから出された会場構成案に活発に質問し鋭く注文をつけていく。観客とパフォーマーとの関係性に対するお二人の問題意識の高さにあらためて感心した。
お二人は鍵盤ハーモニカを取り出し、音出しを始めた。Xpに響くサザエさんのテーマ
野村さんたちの案も取り入れ、新たなプランをつくることになった。


7月10日
ちばMDエコネット千葉工業大学建築学科の研究室がワークショップを行なうと聞き、千葉工業大学へ。
エコネットは、知的障害児が働く場が作業所(「聖者の行進」みたいなところ)のように、障害者だけを隔離するのではない労働の場をつくるために活動しているNPO。船橋ダンスワークの会とは同じ人々が中心メンバーになっている。
このたび船橋市に300坪の土地を借り、皆でデザインし運営していくエコネット・スペースを始めるにあたり、千葉工業大学の研究室とのコラボレーションを展開中。
今回のワークショップは、研究室の学生とエコネットの子どもたちが一緒に絵を描きながら自分たちのスペースのイメージを作り上げていく、という試み。
通常の都市デザインがいわゆる“健常者”主体であったのに対し、障害者・子どもとともに時間を過ごし身体感覚を共有しながらデザインをすすめていくというやり方は、実に先進的な手法。アンテナの高い人の取る行動には不思議な共通性がある。

7月14日
横浜の特別養護老人ホーム「さくら苑」に野村誠さんのワークショップを見学に。
こちらは前回見学した至誠ホームとは異なり、フリーセッション形式ではなく、参加者といっしょにホームの歌を作る、というワークショップ。朝日新聞の「天声人語」で紹介されたのはこちら。
“見学”といいつつしっかり参加し、楽しませてもらった。
このワークショップをオーガナイズしているアーツフォーラムのオオムラさんのお話を聞き大感激した。船橋ダンスワークの会も単なる福祉やヒーリングを目的とせず、新たなる芸術作品の創造も目指しているわけですが、ここにも偉大なる先輩がいたかと!
確信を深め勇気が出た出会いとなった。
7月16日
解体社の演出家・清水信臣さんと打ち合わせ。役者2人を伴って現れたかと思うと、ものすごいスピードで電源の容量・位置、採光をチェックしていく。さすがクロアチアはじめ海外しかも劇場以外での公演経験が豊富なだけある。
この日はHPを見てボランティアで参加を申し出てくれたウィンさんファイさん(ハンドルネームね)が初参加。
とても初めて会ったとは思えないフレンドリーな方々で感激した。

清水さんの提案で、2枚のスクリーンは最初何も無いところからスタートして、徐々に運び込んでいくという構成にすることになった。


7月17日
大木裕之監督の作品『心の中』の上映を観に、青山はスパイラルホールへ。野村誠さん、林加奈さん舞台監督のトヨシマさん、照明のネギヤマさん、コバヤシくん、ウィンさんファイさんも。
会場に着くと、いきなり長蛇の列に驚く。聞けば1時間前から並んでいる人もいたとか。入り口でスタンスカンパニースズキさんに会い、招待券をいただく。やった!8月1日のイベントの件についてお話すると、「いい所でやりますね〜。」と感心された。『心の中』は12月にシネマ下北沢にて公開予定。
肝心の作品のほうは、自分のパフォーマンスが想像以上に大フィーチャーされていてとても冷静に観れなかった。うおおおん。
終了後ロビーで、ディレクターのカワグチさんをはじめでいろいろな人に会ったが、ろくに挨拶もせずに帰ってしまった。
その後思考力が復活し、恵比寿・オオタファインアーツで開催中の『バイターズ展〜売女の休日』にコバヤシくんと行き、ズボビンスカヤ嬢にお茶をいれていただく。


7月20日
いよいよロケ。
ちばMDエコネットの夏祭りの様子を撮影する。「撮影する」といっても、外部から眺めるのではなく、監督やスタッフもエコネットの人たちといっしょにお祭りを楽しみながら、その“空気”のようなものを映像で掴み取るのがねらいである。
解体社の清水信臣さん、P−ブロッの野村誠さん・林加奈さん、川野直輝くんをはじめスタッフもほぼ全員加わりエコネットの皆さんといっしょによく食べよく遊んだ。

今回の#02−Cafe−は、スクリーン2台+モニターに投影する映像を合計10時間も用意しなければならないため、今回の夏祭りは準備段階から本編、後片づけまで撮影した。大木裕之監督はこの間ほぼカメラを回しっぱなし。ものすごい体力に感心した。
大木監督の撮影方法は、時に寝転がって子どもにカメラを渡して撮らせたりと、初対面の人はビックリするようなスタイル。かたやエコネットのドキュメンタリーを製作中の桐野監督のクルーは淡々と取材を続け、同じ「ドキュメンタリー」とは思えないような好対照の2チームだった。※写真上が桐野監督チーム、下が大木監督。背番号4(笑)。




6時過ぎに野村誠さん・林加奈さんによる鍵盤ハーモニカの演奏が始まるとみんな踊る踊る!!「今日はお祭りなんでファンキーにお願いします」と言っておいたためか、2人とも最初の「サザエさんのテーマ」から飛ばすこと!エンドレスに続くサザエさんに転げまわって踊る人まで。
「水戸黄門のテーマ」は、アキラくんをはじめとする子どもたちのダンスとのセッションになった。鍵盤ハーモニカとの掛け合いはこの日一番の見所。皆笑い転げながらも感動していた。
「イパネマの娘」が涼やかに終わり、皆で花火を楽しんでいたころも一人大木監督はカメラを回し続けていた。

子どもたちは本当に魅力的な被写体だし、お祭り自体とても和やかで楽しいものであったが、それを写しただけでは「作品」とはならない。大木監督がこの空気をどのように切り取り、どのような空間を作り出すのか楽しみだ。

川野くんと野村さんもすっかり打ち解けたよう。言葉は交わさずリズムで会話していた(笑)。

今回の撮影も、明確な指示系統がなく、参加者のクリエイティビティで場が変転してく、広い意味でのワークショップと言えるだろう。


7月21日
大木監督と昨日のロケについて総括。
スタッフ全員がそれぞれのやりかたで障害児やさまざまな人々と遊び、関わりを持ったり持たなかったりという中で船橋ダンスワークの会のコンセプトを、体と知性と感性で感じることができたという点で最高のロケとなった。ただ、ムードだけで「みんな仲間」といった幻想を持ってしまうことは『光の庭〜』が意図するものではない。

8月22日の#03のサブタイトルは「孤島」に決定。『光の庭〜』は、障害児について、共生について、安直なイメージを解体する姿勢を基調としているため、物語性を回避するようなサブタイトルをつけてきた。
しかし、さまざまな次元が交錯する#02を経ての#03は、“まだ立ち現れぬ壮大なもの”を射程にいれてもいいのでは、という点で監督と意見が一致した。
「私という孤島」というイメージは、昨日のロケから発展して生まれたものである。


7月24日
午前。
映像技術担当のフルカワさんと打ち合わせ。舞台設備がほとんど無い会場で、少ない仕込み時間で複雑な作業をこなさなければならない今回のイベントにおける中心となるスタッフ。トヨシマさんから全体の進行について説明し、映像を切り替えるスイッチャー、録音について確認する。これで90%は準備できたも同然!

午後。
Xpにて川野直輝君と音響関係のチェック。川野君は1時間チコク。鉄拳制裁。
前回の世田谷美術館に比べ、Xpはライブ対応だけでなくミニFM局を持っているほどなので、ミキサーも完備してあって、楽勝のようだった。機材面では。
突然ひらめいた様子で曲構成を書き始めた川野君。今回は異ジャンルのアーティストとのコラボレーションなので、かなり燃えているようだ。



夜。
劇団 解体社のアトリエへ。トヨシマさんと照明担当のネギヤマ君もいっしょ。
「ビデオシアター」と銘打ち、4月の世田谷パブリックシアターの公演のビデオ+パフォーマンスをドリンク片手に楽しむというステキな催し。
ただ、公演のビデオは物凄い迫力。“人力SFX”・・・。さらにパフォーマンスは役者ではなく、演出家・清水信臣さんによるテキスト朗読パフォーマンス。これまた映像の迫力深化させるようなもので、その相乗効果に言葉ナシ。
8月1日のための稽古は来週になるとのことなので、立ち会うことを約束別れた。

7月27日
清水信臣さんより当日パンフレット原稿届く。

7月28日
野村誠さんのワークショップを見学に。川野直輝君もいっしょ。横浜の特別養護老人ホーム・さくら苑で行なっている「お年寄りとの共同作曲」をテーマとしたワークショップ。
お年寄りと対等の立場で歌を作っていくというとても斬新な取り組みで、いつ行ってもTVや雑誌の取材が入っている。
川野君もホームのお年寄りと鉄琴を叩いたり、林加奈さんとトーン・チャイムを演奏したりと楽しんでいた。
参加しているお年寄りがあまりにもアクティブのので驚いたし、ちょっとした一言にその人の人生経験が垣間見える点がお年寄りとの共同作業の面白さだと思った。船橋ダンスワークの会は子ども〜高校生が中心なので、同じワークショップでも深みが違う、という感じ。
この日の自然発生的な即興セッションは鳥肌もだった。野村さんから8月1日の曲目と解説をいただく。
7月31日
劇団 解体社のアトリエへ。「8月1日のための最終的な稽古をする」と聞いていたので出掛けたが・・・。ちょっとどうなってんの?!というくらい広大なスペースを使って稽古している!「ガラススペースで・・・」とときおり清水信臣さんが指示を出しているので間違いはないと思われるが、こんな大きなパフォーマンスが観客がぎっしり詰まったXpで上演可能なのだろうか???といきなり心配になったが稽古の最中の清水さんにそんなことは言い出せずに途中で失礼した。まあ、気にしても仕方が無い。解体社のことだ、その場で臨機応変に対応してくれるだろうと思い、明日に備え早く寝ることにした。



← caF トップページに戻る