姥の湯旅館
(宮城県鳴子町)
| 温泉に入りたくなって、一人でふらっと鳴子に出かけました。鳴子温泉駅の観光案内所に行くと「内湯めぐり手形」なるものを発見。手形を見せると一緒に渡された旅館一覧から気に入ったところのお風呂に入ることができるというもので、普通にお金を払って入浴するよりも格安なので、早速これを購入しました。 さて、どこに行こうか? 鳴子は温泉のデパートといわれるだけあって、いろんな泉質の温泉があります。しばし考えて硫黄泉で露天風呂もある「姥の湯(うばのゆ)旅館」に決定。 駅から歩くこと約10分。姥の湯旅館に到着です。昔から綿々と営まれてきたようなちょっと古色蒼然としたいかにも雰囲気のある旅館です。入ってみてびっくり。なんと泉質がそれぞれ違う4種類のお風呂があるではありませんか。これは全部入らなくては、と気合が入ります。 まずは硫黄泉。浴室はそれほど広くなく、また古びています。2,3人でいっぱいになるくらいですが、誰も入っている人はなく、貸切でした。さっそく湯船に。あ、あれ?お湯がほとんどない!ちょうど清掃した後で、湯の入れ替え中だったようです。 湯船には膝下までぐらいの深さしかお湯がたまってません。でも、まあ、せっかく来たんだからと気にせず入ります。ほとんど寝湯状態です。うーむ。これは一番風呂というよりは0番風呂だなあ、などとどうでもいいことをぼんやり考えました。寝ているとひたひたと次第にお湯がたまってくるというのは、新鮮な感覚でなぜか愉快です。それにしても硫黄の香りのすごいことすごいこと。心なしか硫黄の香りも鮮度がいいような。温泉に入っているんだなあと実感します。 次に入ったのは、単純泉。ここも貸切です。無色透明のお湯を想像していたのですが、赤みがかった温泉でした。舐めてみると鉄の味がします。これで単純泉というのだから、やはり鳴子は侮れません。床もそこかしこ赤くなっています。ここで髪を洗ったのですが、茶髪になるのでは?とここでもどうでもいいことを考えてしまいました。ケロリンの黄色い桶がいい味を出しています。 3番目は露天風呂。ナトリウム炭酸水素なんとかかんとかという温泉です。塀と建物に囲まれた石造りの風呂です。それほど広くはないのですが、天気も良かったこともあり開放感がありました。おじさんが一人先に入っていて、世間話をします。聞くとおじさんは遠洋漁業の船乗りで一度航海に出ると数ヶ月は船上の人になるとのこと。陸に上がったらやっぱり温泉が一番だねえと言ってました。 ちょっと怖い話を一つ。おじさん曰く「性格の悪いやつは船に乗れねえんだ。海に放り込まれちまうからね。」 わたし「えっ、どういうことですか?」 おじさん「だから放り込まれるんだよ。そりゃ、もうおしまいってことさ。そういう話、よく聞くよ。今は、ほら、フィリピンあたりで外国人船員を雇うだろ?彼らを大切にしないとあっという間だ。怒るときは怒んなきゃいけねえけど、でも、やみくもにいばっちゃあダメだねえ。船を動かす以上、やっぱりさあ、上下関係はあるけど、基本的な部分は対等でねえと・・・。」 さすがに、「おじさんは放り込んだことあるんですか?」とは聞けませんでした。 私なんかは、即、放り込まれそうです。 そして、最後の風呂へ、と行きたいところだったのですが、露天風呂で長く浸かっていたせいで、ここでギブアップです。残りは次回にしましょう。 姥の湯温泉。なんでも、その昔、源義経の奥の方がここで子供を産んで「うぶ湯」としてここの温泉を使ったそうで、「うぶ湯」−「うば湯」−「うばの湯」というのが名前の由来のようです。鄙びた系の旅館ですが、鳴子の奥の深さを実感しました。 |