「夏の魔術」シリーズ
「お兄ちゃん、ひとり旅?」
田中芳樹さんといえば「銀河英雄伝説」や「創竜伝」が有名ですが、このようなほのぼのとした(いえ、話自体は決して
ほのぼのではないのですが、イラストを描かれているのがふくやまけいこさんなので)小説も書いています。
私は銀英伝も創竜伝も好きなのでそれなりに読んでいますが、このシリーズに出会ってからはこれが1番好きになりました(^^)

主人公(田中さんの「もっともお気に入りの共演者(コンビ)」)は19歳の大学生能戸耕平と、12歳の小学6年生立花来夢です。
「小学生と大学生」だとものすごい年の差に聞こえますが、実際のところ7歳しか離れてないんですよね(^^ゞ
夏も終わりに近づいたその日、とある無人駅で出会った2人はその後「奇妙な体験」(ちなみに、それには来夢が幼い頃に
失踪した両親が関わっています)をすることになり、そこである「超常の能力」を得てしまいます。
#ちなみに、能力のことを耕平君は知ってますが来夢ちゃんは知りません。
その後季節は過ぎ、その体験の記憶も能力のことも日常生活の中に埋もれていきかけていた頃に2人は再会し、再び
奇妙な事件に巻き込まれてしまいますが力を合わせてそれを乗り越え、そして確かな絆で結ばれるのです。
なお「奇妙な体験」が何か、また「超常の能力」がどんなものかについて知りたい方は実際に読んでみてください(^^ゞ
ただ、描写の仕方によっては私が手に取ることすらできないようなホラー小説になっていたかもしれない話が、田中さんの
巧みな表現のおかげか(あるいは耕平君や来夢ちゃんのおかげか)私でも読むことができるような小説になっていると
思いました。
……とはいえ、ホラーであることには違いないんで、今後もしアニメ化or映画化なんてことがあったら私は怖くて見られない
可能性が高いですねorz

ちなみに、このシリーズは全4巻出ています。
「夏の魔術」はタイトルの通り夏(夏休み)の話、2巻目の「窓辺には夜の歌」は秋の学園祭シーズンの頃(舞台は耕平君の
通う大学です)、3巻目の「白い迷宮」は冬(冬休み)の頃の話、そして最終巻である4巻目が3月後半(来夢ちゃんが小学校を
卒業する直前)の話である「春の魔術」です。
ただし1〜3巻までは後に加筆修正された改訂版が出版され、4巻はその続きとなっているため、私のように改定前しか
持っていない者が4巻を読むと「?」と思う部分が多少あったりします。

1番分かりやすい違いは「携帯電話の有無」で、改定前は3巻で「ポケベル」の話が出てくる(といっても誰も持ってなく、
しかも耕平君は「ポケベルは嫌い」と言ってます)携帯は存在すら出てこなかったのに対し、改訂版は1巻目から登場人物の
中に携帯を持ってる人がいたらしく(改訂版を買っている姉もそう言ってました)4巻でも「あの時は携帯が通じなかった」
いう話が出てきます。
あと話の内容以外で分かる違いは「出版社」「背表紙の説明(?)」ですね。
改定前は徳間書店から出ていたのに対し、改訂版は講談社から出ていますが、出版社が変わった理由は結局ネットで
検索しても分かりませんでした。
それから背表紙、改定前は「書下し長編ファンタスティック・スリラー」などと1巻にのみ書かれていましたけど、改定後は
全巻に「長編ゴシック・ホラー」と書かれています……え〜と、何がどう違うんでしょうか?(笑)
とりあえず、機会があったら改訂版を手に入れて読み比べてみるのもいいかなと思っています(挿絵も改訂版では新しく
なってるって話ですし)

最後に、上の台詞ですが。
以前は「夏の魔術」における、耕平君と来夢ちゃんの出会いシーンの台詞にしていましたけど、4巻を読んでこのページを
修正するに当たり、来夢ちゃんの台詞だけに変更しました。
何故かというと、「春の魔術」の最後にこの台詞が再び出てくるからです。
もちろん来夢ちゃんが声をかけた相手は「夏の魔術」の時と同じく耕平君ですが、それに対する耕平君の返事は前と違う
ものでした。
ここにはあえて書きませんけど、このシリーズの最後の台詞にふさわしいだろうというか「ああ、やっぱりな」と納得できる
ものだったというか……まぁその、「末永くお幸せに」って感じでしたね(^^)