この話は第6回電撃ゲーム小説大賞にて、最終選考候補作に選ばれた話です。
受賞は逃したものの「電撃HP]という雑誌に一挙掲載され、そこで人気を集めたことから電撃文庫より出版されることと
なりました。
現在は第11巻まで出ていますが、このシリーズは連作短編形式で各巻毎に短編が6〜8話くらい(+プロローグ&エピローグ)
入っているので、この先何巻まで出るのかは正直分かりません(^^;;;
#まだ続きが出そうな気もするけど、ここで終わってもおかしくはないというか……また、このシリーズの最大の特徴はこれらの短編が必ずしも時間軸通りには並んでいないということです。
例えばある話で「前に行った国でこんなことがあった」なんて話をしていても、その「前に行った国」の話はその話より後に
入っていたりすることがあります。
ですので、1回目に読んだ時には分からなかったことが最後まで読んだ時に、あるいは次巻以降を読んだ時に
「ああ、そういうことだったのか」
と初めて分かるなんてことはよくあることだったり(^^ゞ
おそらく話の並べ方には作者の意図があるのでしょうから、1回目は話数通りに読んだ方がいいと思いますが、2回目以降は
時間軸の前後を考えたりしながら好きな順番で読むと、また違った面白さや新たな発見等があるかもしれません(作者も
第1巻後書きでそう書いてますし)
#そういえば、各巻ともプロローグとエピローグは同じタイトルになっていますが、必ずプロローグが「b」でエピローグが
「a」になってるんですよ。そしてもちろん、話のつながりも「エピローグ→プロローグ」です。
でもプロローグのみを読んだ時と、その後エピローグを読んでからあらためてプロローグを読んだ時とでは印象が変わる
ことが多いですし、やはり最初は順番通りに読んだ方がいいと思います(^^)
特に7巻と8巻はエピローグがかなり長い上、重要な話となってますからね(^^ゞ
話の内容については、第1巻の後書きで作者がこう書いています↓
「簡単にどういう話かご説明しますと、主人公のキノが、相棒のエルメスと旅をします。あちらこちらの国を、
見て回ります。……以上です。」
「…はぁ?」と思われるかもしれませんが、確かにそういう話なんですよ(^^ゞ作者は続けてこうも書いてます↓
「何だそりゃおい全然説明になっていないぞと貴方は思われるかもしれませんが、本文を読み終えたとき、何となく
分かってくれるような気がします。そんな話です。」
ちょっぴり補足しますと、主人公であるキノは15、6歳位の髪の短い人間で、パースエイダー(注:銃器のこと)使いとしては
かなりの腕を持っています。
そしてエルメスはキノが乗っているモトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)なのですが、意志を持っていて
喋ることもできます…といっても、どこの国の人もエルメスを見て驚いたりはしないので、もしかするとこの世界のモトラドが
喋るというのは当たり前のことなのかもしれません。
#(注:〜)は各話で最初にこの言葉が出てくる時必ず入る注釈です。この他にホヴィー(注:=『ホヴァー・ヴィークル』。
浮遊車両のこと)というのもあります。
第1巻は全てキノとエルメスの話(厳密には5話だけちょっと違いますけど)ですが、第2巻以降はこの他にキノの師匠
(はっきりそうとは書かれてませんが多分そう)の話や、第1巻の4話で出会って別れた20代前半ほどの青年シズとその
従者で喋る犬の陸(これはエルメスが驚いていたので珍しいのでしょう…多分)の話が時々入ってきます。
キノ達が訪れた国を後からシズ達が訪れる、なんてこともありますが(逆もあり)そうすると同じ国でも様子が変わっていたり
するので面白いです。
この話に出てくる国は実に様々です。
自然と共に暮らしている国もあればかなり機械化が進んだ国もあり、平和な国もあれば殺伐とした危険な国もあり、
また栄えている国もあれば滅んだ(あるいはそうなりつつある)国もあり…そんな国々にキノ達はやってきて、特別な理由が
ない限りは3日滞在した後去っていきます。
#なぜ3日なのか、それは第1巻の2話(と5話)で「キノ」が語っています。
キノにとって特に印象に残っている国がどこかは分かりませんが、私がそれを挙げるとしたら第2巻8話の
「優しい国」でしょうか。
ここはかなり旅人の評判が良くない国で、キノが行ってみると言ったら全員に止められたといういわくつきの国なのですが
(そこまで言われて逆に興味を持ってしまう辺り、キノってやっぱいい性格してるよなぁって感じですけど(笑))
いざ入ってみたら、なぜか皆笑顔で歓迎してくれたばかりか色々と親切にしてくれたのです。
初めは「別の国に来たのか?」と思った二人もそのうち慣れ、ホテルの経営者の娘であるさくらにいろいろ案内して
もらいながら、楽しい3日間を過ごしました。
そして3日目、キノは「もう1日2日滞在したい」と申し出るのですが(ちなみに今のところ、特別な理由もなしにキノが
3日以上の滞在を望んだのはこの国だけです)ホテルまで迎えに来た兵士に断られて仕方なく出発します。そして…………
この先は書きません。ぜひ、実際に読んでほしいと思います。
#ちなみに、各話のタイトルは必ず日本語と英語の両方でつけられていますが、必ずしも両者の意味は一致しません。
そして、「優しい国」の英語タイトルは「−Tomorrow
Never Comes.−」です。
そういえばこの作者、本を読む時は本文より先に後書きを読む人なんだとか。
そして何度も「後書きにネタバレがあって困った」という経験をしていることから、
「もし自分であとがきを書くようなことがあれば、絶対に本文のネタばらしは含まないようにしよう」
という決意をしたそうで、確かにどの巻でも後書きにネタバレはありません。
ありませんが……その代わり、巻を追う毎になんだかわけ分からんことになってきてると思うのは私だけでしょうか?(爆)
8巻なんかぱっと見ただけでは後書きだと分からないですし、そうかと思えば9巻はぱっと見どこにでもある普通の後書きで
「何があったんだ!?」と逆に驚いたし(笑)
そうそう、この「キノの旅」は一度アニメ化されましたね。
我が家では見られる環境になかったため、一度も見たことはありませんが、今まで何十回と読んで自分の中で徐々に
形作られてきた「キノの旅の世界」を「映像」という形で見るのはなんだか怖い気もするので、おそらくDVDを買うことはないと
思います。ゲームもあるそうですが(それも『優しい国』が舞台らしい)こちらについても今のところ買っていません。
最後に、今回の名台詞ですが…厳密には台詞ではなく、第1巻の最初のページに出てきた言葉です。
一見矛盾した言葉に見えますが、その実かなり「深い」言葉だという気がします。
2巻以降でも各巻別の言葉が書かれていますが、それらもやはり「深い」ですね。
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