Zaurus部屋 品書きへ


69.腐蝕

 2002年3月25日の購入以来、風邪一つひいたことのない頑健なヤツが、突如コミュニケーションを拒否する。徐々にモノも言わなくなる、飯も食わなくなる。だんだんと、押せど叩けど反応もなくなる...


 MI-E25DCは、一年三ヶ月の寿命であった。田端サービスセンターの診断では、液体混入による基板腐蝕。

 前科はある、そりゃたしかに、前科はある。二代目MI-E1は、私の枕もとでビールをかっくらって、頓死したのであった。そういや魔鏡だって、液体混入には違いないし。
 しかし今回はとにもかくにも、身に覚えがない。前の晩のE25DCは、本棚に安置。よしんばそこらでコップがひっくり返ったにせよ、微塵も影響は受けなかったはずなのである。


 考え得る唯一の解は、湿気。つづまるところ、私の胸ポケットで夏場を一回半過ごしたことで、電子小物としての限界が訪れた、ということである。
 基板交換となると修理費3-4万はいくということで、泣く泣くあきらめ、伝手を頼って代替機を入手する運びとなるわけだが、それはまた別の話。ちょいと、"胸ポケット 汗"なるベタなキーワードで、ぐぐってみた。

 まずは、ドコモショップ沼津さんさん通店。ここの"知っていると便利な話"の中に、"携帯電話のお取り扱いについて"なるリンクがある。記事の無許可複写・転載はお断りとのことなので、ここでは詳述しない。ごらんあれ。

 より大きくは、国民生活センター。古いものだが、1999年9月6日付の報道発表資料(PDFファイル)に、かなり詳細な調査/実験結果が出ている。
 この資料自体は生活センターのものらしく、危険性の表示やら業界への要望やらという方向にまとめられているのだけれど、本稿ではそこには触れずにおくとして...


 思い返せば、MI-P2Bを床に落として方向キーを潰してしまって以来このかた、事あるごとに、首かけ胸ポケットを標榜してきた私である。まずい。

 そりゃ、夏場胸ポケットがやばいことはわかっている。だからこそ、ポシェット改造までしたのだけれど、これがいまいち長続きせんのよ、運用上。で、E25DCは昨年一夏、私の胸ポケットに常駐したわけで...
 で、今夏のハシリで、おしゃか、と。

 防湿包装の専門家によると、基盤などで湿気を防いで梱包する場合、通常許容最高湿度をRH(相対湿度)=30%と設定するそうである。この段階の梱包は出荷前の状態なので、メーカ保証も含めてかなり安全側に振った数字であるらしいけれど、それにしても...
 ことほど左様に、基板ってぇものは、湿気に弱い。しかるに、前述の国民生活センター資料によっても、夏場胸ポケットは簡単にRH100%になりうる環境なわけである。実際、胸ポケットから取り出して液晶がしっとりしているあるいは水滴が見受けられる、なんてんだと、"100%に限りなく近い"、そうな。

 携帯電話については、各メーカーによってかなりの対策が講じられていて...シリコンゴムによる密閉および電話機内部への乾燥剤配置(このあたりが専門家の活躍領域)など、その効果も含めて、かなりの計算/研究/実践が行われているらしい。シリコンゴムの湿気透過まで計算されているというから、かなり神経が配られているのはたしからしいけれど...
 Zaurus含め、おそらく電話以外のほとんどすべての電子小物について、こういった対策って、まだまだなんではないだろうか。

 である以上、というか少なくともZaurusについては、ばらしたところでそういった対策のかけらも見受けられないわけで、結論として、やぁばぁい、と。
 道具がどれほど短命に終わるかってのはそりゃかなりの部分使い方によるわけで、自分の運用として太く短くでいいんだわいってならともかく(そして、私はかなりの程度そっち系の人なのではあるけれど)...


 腐蝕。

 この二文字は、耳にも目にも、痛い。痛すぎる。なんかこぉじわじわっと、愛器が蝕まれていく様子が...
 本来専門的には"腐食"の字が一般的らしいのだけれど、田端の担当者に話を聞いたとき、脳裏に浮かぶとともにイメージが拡がってしまったのが、"腐蝕"だったもんで...うぅむ。


 日本の夏ってやつぁ...

(2003/06/30)