60.惜しいぞCE-VRC1
ひょんなことから手に入った、CE-VRC1。☆ ぬ〜 ☆さんのご好意に感謝。
手にするまでは、予断もあってさほど魅力を感じないデバイスだったのだけれど、実際使用してみていろいろ思うところもあった。意外に使い出があり、それだけに惜しい、というような。☆ ぬ〜 ☆さんからの厳命でもあり、以下、レポートを。
なお残念ながら、E25DCで利用可能な組み合わせとして、MPEG4に対してはG.726しか選択肢がない。MPEG4+MP3というモードがあったらなぁというのは誰しも思うところだろうけれど。
使用したソースは、次の通り。サイズはすべて、240x176。
| 項番 | ソース | 設定 | 時間 | 容量 |
|---|---|---|---|---|
| A | Brahms/交響曲第4番冒頭 | Super Fine | 4.5分 | 13.5MB |
| B | おじゃる丸「シャクを取り返す道」 | Fine | 10分 | 19MB |
| C | Beethoven/Vn協奏曲全曲 | Super Fine | 43分 | 124.5MB |
| D | Cに同じ | 録音のみ | 44分 | 36MB |
| E | 天空の城ラピュタ冒頭 | Super Fine | 2.2分 | 6.1MB |
| F | ウルトラセブンアンソロジー抜粋 | Super Fine | 4分 | 11MB |
| G | たま グローブ座ライブ抜粋 | Super Fine | 8分 | 24MB |
使い勝手一般 冒頭へ
操作も設定も見たまんまで、特に迷うようなところはない。取説必須だったCE-VR1に比べれば、はるかに簡便である。
接続としては、付属する二股ケーブルを使って、一般的なAV機器接続の間に噛ませる形。VRC1自体は録画/録音中に一切モニタ信号を出力できないので、本来の接続先(TVだとかアンプだとか)の方で再生の様子を見ながら、VRC1のPAUSEだのSTOPだのを押すことになる(最初これに気づかず、"うがぁ録画中に目隠しくらうんじゃ使えねぇよぉ"などとほざいていたのであった...)。
録画/録音前であればVRC1でモニタ可能だけれど、実際の信号から1.5秒ほど遅れて出てくる。画面も音も同じで(音はさらに若干遅れがち)、テレビとVRC1を両方見聞きしていると、気が変になりそう。リアルタイムモニタにはならんわけで、このあたりいみふめさんが玉砕されたのは実感。ちなみに光量もフルスクリーン化も、どうにもならなんだ...。
で、"表示は遅れるけど録画は問題ないよん"みたいなことが取説に書いてあるわけだけれど、これが額面通りかどうかは、未検証。機構上問題がないとしても、ばちっとタイミング合わせてボタンを押すのは難しいし。※追記参照
また、REC連打で、決められた時間だけ録画を行うモードに入る機能がある。"今から15分撮りたい"って時に、たしかに便利だと感じた。ただし、一回押しのつもりが指先の都合で連打になり、このモードに入ってしまったことが何度かあった。画面を確認すればすむことですわな。
録画 冒頭へ
Fineでは、かなり厳しい。
ソースAをFineで少し撮ってみたが、指揮棒が完全にコマ送りになり、奏者の動きもいかにもぎこちない。弦楽器のボウイングとかフィンガリング、指揮者の表現法なんかを見たいのだけれど、その用途ではまったく使い物にならないレベルだった。恐らくゴルフのスイングとか、そのあたりでも同様だろう、と思う。
で、Super Fineにしてみたところ、ほぼ問題なし。指揮の細かい表現まで全部わかるし、画面一杯の奏者が各々激しく動き回っているのもきちんと出している。よっしゃぁ。
ということで以下、Super Fineを基本にして録画した。ラピュタ冒頭の襲撃シーンも充分鑑賞に堪える出来だし、エメリウム光線もアイスラッガーも、ちゃんと飛ぶ。
ソースCで、ソロVnのビブラートやトリルが歯抜けになる(実際の動きが間引かれて見える)とか、ティンパニのインパクトの瞬間が捉えられずに寸止めに見える、ということはある。しかしこれらは実際問題としてものすごく速い動きであって、普通にドラマや映画を観るなら、ほとんど不満なく鑑賞できると思う。
おじゃる丸は動きが少ないアニメの典型として使ったが、Fineでほぼ問題なく鑑賞できる。全体に若干線が荒いが、電ボもちゃんと羽ばたいてるし。
ただし、ブロックノイズは随所に出ている。境界をうまくぼかしているので、なにやらあちこちが薄汚れたように見える程度で済んではいるけれど。※追記参照
コマ送り度合い以外の画質については、暗部のグラデーションが弱いことが目につく。ソースGは暗いステージにスポットライトというもので、ライトが回っていないところはほとんど黒つぶれ。また、エッジはほぼ例外なくジャギーが出ている。コントラバスの弦とか、ウルトラ警備隊の制服とか。
暗部もジャギーも気にはなるけれど、どうにもならんというほどのことでもない。色調が全体に眠いのは、Nancyのせいというより液晶起因だろうし、全体として許せる範囲内の画質だろう。
いずれにせよ機体の能力としてはいっぱいいっぱいらしく、Super FineでもFineでも、リモコンで再生音量を一段階変えただけで、2秒間弱、動画再生が止まる(音再生には問題なし)。進行バーを表示させても特にコマ落ちがひどくなるということはないが、バースクロールで任意の位置に飛ぶには、かなりの時間待たされる。早送り/巻き戻しも同様に待たされるので、流し見を原則にした方が気が楽である。
総じて、アップデートしたCE-VR1よりも、さらに"見やすい"方向にシフトしていると感じた。MPEG4でもろに見えたアラを、Nancyはうまくごまかしている、といったところか。
録音 冒頭へ
まず、完全に予断で過小評価していた点。
MI-E21市ヶ谷レポートに書いたが、録音レベルはオートのみで、過大入力が来たらレベルを下げ、小さい入力が続けば上げる、という話だと思っていた。これだとダイナミックレンジが必然的に狭まってしまうので使い物にならんと思っていたのだけれど、そうではないらしい。一般的なLINE出力レベルに合わせて、完全決め打ち固定になっているようだ。
ソースDはBモード生放送だけあって、ダイナミックレンジはかなり広い。もともとVnソロからフルオケ斉奏まで音量の幅が広いわけだが、これを録音しても、録音レベルの揺らぎは微塵もない。ちょっと制限をはみ出しているようで、ff(フォルティッシモ)は割れてしまっているけれど、そこをレベルで調整している形跡はまったくないのだ。pp(ピアニッシモ)もあくまで美しく小さいまま。割れてしまうのはソースのせいなので、一般的にはまず問題なかろう。
MP3としても、どこに出しても恥ずかしくない立派なものである。VBRでエンコードされていることはたしか(取扱説明書 AVガイド P.86)だけれど、ソースDのサイズからして、平均128kbps弱は出ているらしい。聴感上も問題なく、ツィンマーマンのテンションの高い美音も、N響にしてはよく鳴っているけれどでもやっぱりN響だなぁというあたりも、きちんと感じとれる。
これなら、実用になる。素晴らしい。MP3あれこれに書いたようにアナログソースのMP3化についてはいろいろ悩んでいて、結局札幌からMDを介して三鷹に運んでエンコードという手段なのだが、これはなにしろ時間がかかって大変。CE-VRC1でお手軽エンコードも当然考えてはいたが、音質的に使い物になるかどうかはMI-E21ファーストインプレの追記で悩んでいた。入手してみないとわからなかったわけで、☆ ぬ〜 ☆さんのおかげで決着。
ただしMP3が素晴らしいというのはカード録音の話であって、同じものを録画したソースCについては、明らかに思いっきり、音質が落ちる。上の帯域が大幅にカットされて、楽器の音が実体なく、風呂場で笛を吹いているような音に近づいてくる。ビットレートで平均96kbpsも出ていないだろう。画像を見ずに音だけ聴くと、ちょっと辛い音質である。映像とコミであれば、充分楽しめはするけれども。
とはいえポピュラー系ならさほど気にならず、"たま"のライブ録画は久々目頭が熱くなるくらいのものである。当然、普通の音声ならまったく問題ない。おじゃる丸だのラピュタだのにしても、とにかくステレオであるだけで、充分価値がある。CE-VR1で録画したおじゃるのライブラリが40本ほどあるけれど、いやぁステレオっていいわぁ、できるものなら全部置き換えたいと思ってしまった。
再びカード録音時の録音レベルについて。たしかにオーディオ機器のLINE出力は一定の範囲内にあるはずだけれど、ソース(たとえばCD)に入っている音圧はさほど揃ってはいない。ポピュラー系のソースならばらつきは少ないが、クラシックだとそうはいかなくて、ソース毎にffのレベルはかなりまちまちである。一般に小人数(弦楽合奏など)の方が、大人数(フルオケとか)の場合より、音圧は高い。演奏自体のダイナミックレンジが小さい分だけ無理ができるわけで、特にアナログLPの場合だと、この話は顕著になる。
そういうわけで、CE-VRC1のように録音レベルが固定だと、アナログLPを録音する場合LINE出力側を調整してやる必要が出てくる。これは間にカセットデッキでも噛ませて録音モニタのスルー出力を使えば、いかようにも調整できるわけで、私の場合札幌の環境なら問題ない。
要するにレベルの揺らぎさえなければあとはなんとかなるわけで、アナログ入力のMP3エンコーダとしては、かなり使えるものなのであった。
汎用性 冒頭へ
さて、悲惨としか言いようのない項目。基本的に汎用性というものはゼロ、全くなし、である。
録画した動画ファイルを手持ちのCF(IO DATA 128MB)にコピーしたところ、タイトルが「著作権保護されたムービー」となり、再生不可。同じくMP3は、タイトルが「再生不可ファイル」となって、これも不可。わかっちゃいたけれど、やはり一度は自分の目で見ないと。※追記参照
つまるところ録音/録画に使用したSD/MMCでしか再生できないわけで、取説にも明記されている既知の事項ではあるものの、やはり残念。
PCでも、やはりダメ。以下すべて、ThinkPad i1124(Windows ME)のMedia Playerでの話。
まず動画について、音声のみ不完全(音飛びはなはだしい、扇風機に向かって話している感覚、実用性なし)ながら再生可能。絵は出ない。
MP3でも似たようなもので、生成される拡張子ZMSのファイルでは、「この形式はサポートされていません」。拡張子をMP3に変えると「ストリームをレンダリングするためのフィルタの組み合わせが見つかりませんでした」で、結局再生できず。
どう使う? 冒頭へ
モノとしては思った以上にまっとうであった。動画も音楽も、まともに使えるレベルのものが作れる。はっきりいって、どんどん作ってどんどん溜め込みたくなるレベルである。
CE-VR1と違ってZaurusを占有するデバイスなので、留守録には不向き。E21とE25DCを両方お持ちの向きには、専用にSD買い足して留守録マシンにするという手もあるだろうが、まぁ通常はビデオデッキでごく普通に留守録、だろう。
通勤中にドラマを観たいといった場合には、帰宅後留守録ビデオからVRC1への録画ただしその間は食事なりなんなりなにか他のことをやりながら、ということになるだろうか。そのあたりの運用はやや柔軟性に欠けるので、一発モノより、何度も見直したいモノを相手にした方が活きるという気はする。
録音については、CDからのエンコードであれば、PCを使った方がはるかに速いし楽だし取り回しもきく。CD以外のソースであればVRC1は威力絶大で、私は札幌行くたびに聴きまくりの録りまくりになるだろう。ぬはははは。
動画のサイズは、Fineで1分あたり2MB、Super Fineで同じく3MB。容量1.5倍、だけれど、品質の差はそれどころではない。大抵の場合、迷わずSuper Fineだと思う。320x240がほしい場合とか、ケースバイケースではあろうけれど。※追記参照
MP3はモノによって変わるだろうが、まぁ1分1MB見ておけば大丈夫だろう。普段128kbpsでエンコードしている私にとっては、馴染みやすい数値である。
いずれにしてもSD/MMCに一定の空き容量は必要なわけで、ソースCのときにはSDの中身をPCに退避したうえで初期化して録画。たかだか40数分だの1時間だの(Fineだとそんなものだろう)でいちいちこれではかなわん、というあたりで、大容量SD必須という話になるわけである。とぉこぉろぉがぁ。
なんといっても厳しいのは"メディアと心中"であることで、今回は128MB SDでテスト的に録画/録音したわけだけれど、作ったファイルはこのSDでないと再生できない。512MBの再発売を手ぐすね引いて待っているのだが、そうなると作ったファイルが無駄になってしまう。差し替え? それはしたくないのよ、特にSDでは。小さすぎて持ち運びやっかいだし。そういうわけでとりあえず、CE-VRC1の本格運用は512MBを待つしかない、というのが現状である。
じゃぁ512MB導入してあれこれあれこれファイル作って、さてSDがクラッシュしたら全部おしゃか、かや?...SD/MMCカードって、一枚一枚にユニークなIDが(内部的に)振られているんだろうか。MACアドレスじゃあるまいしそれはないようにも思えて、そうすると同じ型番のカード間なら使い回しが効くのだろうか。※追記参照
もしこれが可能なら、まぁ最悪の事態ではない、と言える、かなぁ。でももっとでかいカードが出たときは困っちゃうし、どうにもこの件については、これぞという運用が見えない。ライブラリを作り溜めても、将来再生できなくなるかもしれない...いやだなぁいかにも。
アナログ信号を扱うわけで、コピーガードは基本的に役に立たない。コピーガードCDからでもお手軽にMP3が作れてしまうし、ビデオやDVDも自由自在である。※追記参照で、繰り返すが、それらが充分に高品位...
であるが故に、これ以上ないほどの厳しい縛り。フリーにしてほしかったのは山々なのだが、あまりに高品位な生産物を体験してしまい、これじゃぁある程度やむを得なかったのかもしれないな、という気もしている。手持ちソースを変換することしか考えていない私にしても、ふっと妙な気になったりするくらいだから。
ともあれこうなったら、縛りの中でなんとか運用を考えるしかない。少なくとも一発モノでない限り、VRC1で作ったファイルが一次ソースになるような使い方、たとえばLINE出力可能なマイクでの生録とか好きな映画の放映録画とか、は避けた方が無難だろう。要するに手持ちソースの一時持ち出し用、くらいに考えておけば、いろんな意味で腹も立たんし、精神衛生上もいいかな、と
せっかくの能力を、但し書き付きでしか発揮できない。不幸な話である。メーカーとしてもさぞかしフリーにしたかったろうなぁと思うと、言挙げする気にもならん。ただひたすらに、惜しいいかにも惜しいと長嘆息するばかりなり、である。
と、嘆いていてもはじまらん、とにかく512MB SD入手次第、フル稼働予定。次に札幌に行く6月半ばまでに、なんとかなってほしいもんだなぁ切実に。
(2001/05/23)
本文中の記載に対し、いろいろな方からご意見ご質問また情報をいただいた。改めて感謝いたします。ありがとうございました。で、いくつか追記。
まず使い勝手について、さきほどまたおじゃる丸を録画したところ、取説の記載どおり、録画開始のタイミングはばちっとオンタイムであった。モニタの遅れには影響されないようだ。
320X240 Fineでのおじゃるはとても快適だけれども、10分間で38MBという容量を許容できるかどうか、だろう。SX560で撮るMotion JPEGよりは、はるかに小さいのだけれど。音声ステレオだし。
次にコピーガードの件。せきとばさんにいただいた情報だと、コピーガードCDからの録音は可能だったとのこと。PCによるリッピングを防止しているだけのはずなので、これは思った通りだったが、未検証だった。
対して☆ ぬ〜 ☆さんによると、プロテクトのかかったDVDは録画できないとのこと。うぅむ、ウルトラセブンのパッケージにも"複製不能"(禁止じゃなくてね)とあったので、てっきりプロテクトあるものと思っていたが...違ったようだ。お詫びして訂正いたします。
いずれにせよ、"アナログ信号"云々は不適切だった。ここらはKeiさんからのご指摘。該当部分に打ち消し線...て、Zaurusじゃ見えないんだよなぁ...
NancyファイルがPCで再生できないかという話は、今回の用途ではNG。NOAのプレーヤでCE-VRC1で録画したファイルを見ようとすると、"このファイルは再生できません"の無情の一声ではねられる。"J-Phone、ムービー写メール対応携帯電話で撮影されたビデオデータおよび、ザウルスMI-E21で撮影したカメラ映像やビデオメールをPCで見るためのプレイヤーで、ザウルス専用コンテンツデータは見られません。※ザウルスMI-E21本体のプレイヤーは現在ムービー写メールに対応しておりません"というキャプションのとおり、結局このプレーヤはビデオメール用ということだろう。
最後に、違うSDでは本当に再生できないかという話。とりあえずVRC1で作った短いファイルをKeiさんに送ってテストいただいたところ、E21ではプレーヤのリストになにも出なかったとのこと。
同じ型番ならという話もNGで、これはさる筋からの情報。SDには1枚毎に異なるIDが振られていて、このIDを使ってスクランブルかけているということらしい。掛け値なしにメディアと心中ということで、取説の標記は全くの額面通りであった。
同じ方針からだろうが、本体メモリへの録音も不可、である。そもそもメニューに項目がない。
ということで、やはりライブラリ作りには不向きである。つくづく、惜しいデバイスだ。
(追記終わり)