Zaurus部屋 品書きへ


40.ビジショウレポート−ダメ押し篇−

 まずは講演レポート。5/24 13:30-14:00、「純国産OSザウルス開発秘話と今後の展望」と題し、日経BP/日経モバイル編集長 真下氏がインタビュアー、シャープ株式会社モバイルシステム事業部技術部副参事 白石氏がインタビューイという形式で進められた。
 冒頭、真下氏から白石氏の紹介。「Zaurusを一から作ったすごい人で...普段は奈良の奥まったところに居てなかなかお会いできない」
 事実、ポケコンから電子手帳を経てPV-F1へという流れは、完全に白石氏が一人で開発していたらしい。もともとコンピュータ好きで、子供のころからランドセルにフォートランのマシンを突っ込んで歩き回っていたという氏ならではの発想/パワーか。
 PocketPCやPalmとの比較については、今ひとつコメントの切れが悪い。まぁ、他機種との比較ではあまり生々しいことも言えまいが。
 携帯電話にPDA市場がどんどん食われているのではないかとの指摘に対しては、"液晶の大きさと入力の操作性でPDAに分がある"というコメント。うーん、食い足りない。"膨大な情報を人間へ繋いであげるパイプ役なのに、そこが携帯電話では細すぎる"それはそうなんだけど...。液晶利用の可能性をさぐる質問に対しても、"ブラウザと写真/動画なら大きい方がいい"との返答だったが、既存の使い方あるいはその延長線上にはない、新たな可能性を聞いてみたかった。
 理想のPDAを問われて、"ただ集めてくるとか入力したものが見られるではなく人間の思考の手伝いをするもの"...思考するPDAといった意味だろうか。

 Zaurus OSの開発についての話題としては、"まずOSをがっつり作り、世の中の流れにそのつど対応したものを素早く出せるように、必要な部分を的確に変更していく"というポリシーが示された。また、"もともとアプリケーションはどんどん外部に書いてもらおうというつもりでOSを組んでいる"ということで、確認が必要なので若干遅れがちなところもある情報公開を、今後継続してどんどん進めていくそうな。
 現在はもちろん白石氏お一人で開発しているわけではなく、ここでZaurusチームの集合写真公開。白石氏を含め男性12人、女性1人。みなさん若いわかい。氏は全体の統括・調整・指揮で、それぞれのコンポーネントが組み合わさった時にうまく動くように設計を組む建築士役ということである。
 メンバーのモチベーションをどのように高めていくかという話になって...
 白石氏(白)「入社1-2年ってのもおりますし」
 真下氏(真)「はいはい」
 白「例えば彼女ですが...」
 真「えぇ、彼女はなにをやっている人なんですか」
 白「えぇと彼女はですね、ミュージックプレーヤとビデオプレーヤのGUI部分を作ったんです」

 ...ここで私の体勢が崩れたのはいうまでもない...ほんっとに失礼な話で申し分けないのだが、てっきり事務をやっている方だとばかり...だってほんとに若いし、なにやら制服のようなものを着ているし...意外や意外ってごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

 白「...で、なにか面白いものにしてよといったらですね...普通イヤがりますよね、なんでいきなり私がそんなことやらないかんのって...でもまぁ、上の子達と相談したりしながらいろいろ考えて..."ユーザが見た目を変更できたら面白いんじゃないか"って話になって。"あぁそんなんできるのぉやってやって"といったら、Windowsのツールなんですけどね、作っちゃいまして。それをユーザの方がダウンロードして、お子さんの写真を背景にしたりして、実際に楽しんでらっしゃいます」
 ニヤニヤ笑いが止まらない私。そういうことですってさ、OSAさんアレックスさん注:聞き覚えで書いてるんで、会話部分は忠実な再現ではありません
 という具合に、メンバー個々の独自な発想を重視しているそうな。自分が"こうだ"と決めたらそうする...Zaurus(OS)の仕様について、担当部分に関しては個々がほとんど決定権を持つという表現をされていた。いやがうえにもモチベーションは上がるわけで...うーむ、えぇ話やぁ。

 他に苦労談として、電池を抜いても絶対にデータが壊れないようにフラッシュメモリを採用したわけだけれど(これはZaurusシリーズ最初からの話である、為念)RAM搭載機にスピードの点で負けないようにソフトを組むのが大変だったし、もちろんアプリがクラッシュしないように細かい細かいところまでがっつり組む当たりに苦労があったという話。
 いつか誰かが、白石氏の考える"理想のPDA"にあたるものを作ってくれて、60歳くらいになった氏が"そうや、これが作りたかったんやぁ"となるのが夢、とのこと。


 業務用情報収集を経て、講演第二弾。「コンビニにおけるコンテンツ販売への期待」ファミマドットコム 副社長(急な都合でプレゼンテータが変わったりしたので、お名前失念)。
 こちらはまぁタイトルの通りなので、特に目新しい話はなし。全国5000店舗あるファミリーマートには、一日約800人が来店、ということは1日約40万人。客層としても10代についで20-30代の男性が多く、Zaurusユーザ層とマッチする。これを取り込めばおいしかろうという話。東京では95%以上の店舗に既に設置、あとは東海地方などに500台ほど。月曜(5/21)から稼働している。今のところなにもキャンペーン打っておらず、利用数はそこそこという程度らしい。
 Famiポートのシステムって、トヨタ自動車の運用センターに各コンテンツプロバイダからコンテンツを集約→センターから各店舗のボックスに衛星通信でダウンロード→Famiポート内のHDD(80GB)に溜め込む→売上情報などは有線でファミリーマート本部へ、て流れだそうだ。このあたりは多分、Webのどこかで発表されている情報だろう。しかし、操作の最初で待たされるのはなんなんだろう...コンテンツ類は今後拡充予定、検索性も高めるとのこと。
 Bluetoothの話はやはり出た。これをインターフェースとして店内でWebに繋ぐとか店内の他の端末に繋いでプリントアウトするとかいった方向。詳細はこれから詰める段階だが、これは結構おもしろそうで期待大。
 あ、5/29からキャンペーン。MI-E1を10台プレゼント他、だそうな。


 再び業務情報収集後、トドメのシャープブース再訪。一昨日見逃したコーナーをつぶさに覗いてみたら...
 まず、FAXサービス。登録料\1,000、年間サービス料金\3,900。テガルスと違って、こちらは純然たるFAX。専用ソフトをダウンロードして、ちゃんと、手書きでメモを追加したり新規作成したりってのを送ることができる。ただインターフェースとして、ペンでぐりぐりスクロールってのができない。これは改善要望出しておいた。MI-E1以降は確実に動くけれど、それより前の機種は検証中とのことであった。近日サービス開始予定で、クニリサーチインターナショナルという大坂の会社。

 次、グループウェア+営業支援機能の"モバイルIT(仮称)"。こちらはサーバにインストールするデータベース+Webフロントエンドなので、Zaurusからはブラウザでアクセスするだけ。グループウェア画面は見なかったが、機能は一通り。それに、在庫情報/商品価格/得意先情報といったあたりを検索/表示する機能が加わったもの。営業さんには絶対的に必要な部類ですな。7月末発売予定、大阪の立花商会から。

 PCAIT plus for SQLというのは、ピーシーエー社の"PCA商魂・商管2000plus SQL版"(あぁ、指が抵抗を感じる)に対応した、データベースインターフェース。これのZaurus版というのが出て、やはりWebサーバに仕込んでおけば、Zaurusからアクセスして検索かけられますよというもの。うーん、ちょっと用途が限定されるなぁこれは。

 そんでもってこれが本命、MI-E1で、Wakeup On Ring(WOR)がちゃんと動いてる。あきれかえった。メールサーバに着信があると、通知が出され、電源OFF状態のE1がPOW ON、メールを受信後、電源を切る。P-in Comp@ctとZaurusそれぞれに、その機能が"あった"ということ自体驚き。
 株式会社アイコンの製品。もう少し細かくいうと、メール着信とかWeb更新とかがそれぞれのサーバに検出されると、PUSHサーバに対して呼び出し依頼が出される。PUSHサーバはP-in Comp@ctに対してトリガーメッセージを出し、受けたP-in Comp@ctがWOR機能でZaurusを起動。んで、メール受信やらWeb取り込みやらを済ませて、電源を切る。ほわわわぁぁぁ。
 ハード的な機能としてはP-in Comp@ctとE1それぞれに該当するものがあるわけだが、コントロールにはWORのミドルウェアが必要。このシステム、対応はSigmarionとGFORTとE-800、それにZaurusとなっているのだけれど、Zaurus以外のミドルウェアはアイコン社が開発。Zaurusのはシャープさんが自分で作ったそうな。インデックスにはしっかり、"WOR Manager"ってアイコンがありました。起動させましたよ、もちろん。WORのon/off、圏外→圏内移動時の動作コントロールくらいが機能のシンプルなものだったけれど。
 いやいやこれはすごい。もちろんPUSHサーバを含めたシステムなので、個人レベルでほいほいと利用できるものではないんだけれど、企業とかプロバイダとかが採用したら、相当おもしろそう。トリガーメッセージの送出契機は自分で決められるわけで、いただいた資料にもあるとおり、在庫情報の更新/最新株価の通知/製品・販促資料の修正/サーバの無人監視など、用途は無限大。早く出してどんどん売ってください、と熱く語ってしまいましたわ。

 いずれもとりあえずはビジネス寄りの話ではあるけれど(ビジネスショウだしね)、たとえばCASIOのブースなんかではE707のWOR機能が声高に喧伝されているわけで、なんとなく対抗心めらめらだったところにこれだ。データベースアクセス系の話も、特に営業系統なら避けて通れないところだし。
 どれもこれも、ちゃんと動いてはいるんだけれどまだ現物が市場に出ていないというのが、非常に歯がゆい。こういった機能がずばずばとタイミングよく出るかどうかで、受け入れられ方ってまったく違うと思うんだが。"その機能ならこっちにだってある"とか、"対応予定"とかでは、どうしたって弱いのだ。がんばがんば。
 もう一つ、失礼ながらどちら様もそれほど大きな販売網をお持ちではないようだし、知名度という点でもさほど強力ではなかろう。シャープさんにおかれましては、Zaurusの周辺環境をサポートするシステム/アプリ群として、Webででもなんでも、もっとがっつりがっつりアナウンスするべきでしょう。ビジショウに行かなければ知らなかったというんでは、どうにもならん。目処が立ち次第、予告でいいからきちっと情報を出しましょうよ。


 というところで、ビジショウ再訪終了。繰り返しになるけれど、Zaurusを取り巻くいろんな周辺環境というのをこれだけ現実の手応えを持って見渡せたというのは、大きな収穫。同時に、確かにZaurusの底力というか、なんにでも対応できてしまう幅広さというのを感じて、白石氏の言葉を思い出し、一人うなずく私でありましたとさ。

(2001/05/25)