Zaurus部屋 品書きへ


1.Javaに対応してくれい

 VNC(Virtual Network Computing)というソフトがある。

 いわゆるリモートコントロールソフトで、自分のディスプレイに相手マシンの画面を表示させて操作できるというもの。GPL(追記参照)にのっとったフリーツールで、勿論ソースも公開されている。クロスプラットフォームが売りで、UNIX/Windows/Macintosh/Windows CEにそれぞれ対応し、Java版もあるというご機嫌なツール。

 VNC ServerとViewerがあって、コントロールされるマシンにServerを仕込んでおけば、Viewerを仕込んだいろんなマシンから操作ができる。また、Serverを入れると一緒にJava版も入るので、Java Applet対応のブラウザさえ動くマシンであれば、Viewerがなくても操作可能。

 このツールを私が初めて知ったのは'98年の12月で、既に雑誌の付録CD-ROMなどにも収録されていたようなので完全に出遅れている。当時職場のNetwork管理者をやらされていた私としては知った瞬間に飛びつき、あまりの便利さに馬鹿笑いしたものだ。なんといっても別の部屋にあるサーバを自席から自由にコントロールできるのだ。NTサーバ3台をとっかえひっかえ切り替えながら(複数起動可なので自席のマシンでは単にWindowを切り替えるだけである)、設定変更もリブートもログオンも思いのまま。管理者としては院政を敷く側に回った現在でも、VNCは私のPCにて健在である。

 もっとも私の職場ではWindowsNT/95/98しかプラットフォームがないので、XWindow上でのMS Windows画面あるいはその逆というような、VNCのいわばヘソである部分は使っていないのだけれども。

 さて。

 このVNCが、ZaurusではNGなのである。ブラウザがJavaにさえ対応してればなんとかなったのに。一応MI-C1から職場のServerにRASで繋いでやってみたが、アプレットを記述したHTMLソースが表示されるだけだった(当たり前)。

 思えばかなり以前から、mabさんが"Java Zaurusが欲しい、あまり出ないようだと他に転びそう(大意)"と嘆いていらしたのを思い出す。正直今回VNCを試すまで、私としては切実にZaurusにJavaが欲しいと思ったことはなかった。Java非対応であるが故に見ることができないページは"見る必要がない"ページだとあっさり思い切っていたこともある。だが、VNCのようなツールの話になると問題は別で、これまで試してすらいなかったのだから無くてもいいようなものではあるが、やはり思いついてしまうと"できない"のがいかにも口惜しい。

 残された道はMORE版のVNC Viewerなのだが、確かに元サイトの記述を読んでいくと、"Viewerだったら簡単に作れるよー、Serverはちょっとしんどいかもしれんけどねー"なんてことが書いてあるものの、そのスキルは私にはない。HADECO R&Dさんにお願いすればあるいは検討していただけるかもしれないが、GPL(追記参照)モノである以上フリーの配布とソースコード公開が条件になるので、ちょっとMOREの世界にも馴染みそうもない。

 一方ではZaurus版CodeWarrior発表ということがあり、広く世界で使われた実績のある開発環境がZaurusでも使えるという期待でかなり賑やかに取り沙汰された。それが今年3月の発表以来いまだに顔を見せていない。8月に発売再延期が通告され、評価版すらまだである。いくらなんでも半年というのは長過ぎるのではないか。

 ハード面でいうならば、'96年7月に発売されたMI-10(カラーザウルス)では、"パソコンの世界的標準規格のPCカード[PCMCIA (JEIDA)TypeII]スロットを1基搭載"という触れ込みにも関らず、ATAフラッシュカードについては純正品以外は全滅だったそうだ。Niftyの過去ログを読むと、このあたり赤裸々である。ハード的には確かに規格に則ったのかもしれないが、汎用品が使えないのでは意味がない。現行機種である我がMI-C1においてさえ、ストレージとしてのCFカードに相性問題があり、"PCでは問題ないのにC1で認識されない"という報告が散見される。

 結局、ハード/ソフト両面において、デファクトスタンダードにまっとうに対応しているとは言いがたいのである。

 "オープン"戦略をとってほしいというつもりはない。ザウOSの仕様を公開してもサードパーティーがザウ互換機を作るとは思えないし、ハード仕様にしても同じことである。そうではなくて、"オープン"であることによって豊かに花開いたコミュニティが世界標準となって目の前にあるのだから、そこから目を背けないでほしい。自ら新たな世界標準を切り開くことは求めずとも、自社のマシンなりソフトなりを世界標準に対応させるだけで、メーカーもユーザーも文化的な閉塞状況からは脱けられるのである。

 その意味でBluetooth対応を表明してくれたことはありがたいし、それにとどまらずUSBも使えるようになってほしいし、ブラウザはPNG表示が望まれる。が、それよりなにより、Javaに対応してほしいのだ。"Javaなぞ動かした日にはなにが起こるかわからん、とんでもないアプレット走らせてデータが消えたなぞいうクレームに対応できるか"ということもあろう。たしかにMOREはSZABの仕様に則って作られるのでメーカーとしては安全なのだろうし、ごく最近もNetScapeのJavaVMにセキュリティホールが報告されたりしてきな臭い部分があるのも確かだ。だがしかし、世界中に存在するZaurusとPCの数を考えても、それを懸念して対応を渋るというのは非現実的ではないか。"データ破壊の悪意を持って作成されたコンテンツ"なるものが、Zaurusをターゲットにすることがあるだろうか。本当に心配なら、VMを止める設定をデフォにしておき、その先の選択はユーザーに任せればいいだけの話である。なにしろ来年初頭あたりにはJava対応の携帯電話が出るというご時世(一時今年の秋冬といわれていたが伸びたらしい)、いつまでも"できません"では通るまい。

 携帯情報端末である以上、より広いいろんな世界に通じていてほしい。"Java対応"という窓さえ開けておけば、その先に拡がるのは半端ではなく無限の世界だと思うのだが。

 VNCに話を戻すと、最低でもVGAであるサーバの画面をMI-C1のQVGAで覗いてどれだけ操作できるんだという問題はある。あまり面倒なことをするつもりは実はないのだ。NTサーバの管理経験がある方ならおわかりいただけると思うが、とにかくなにか設定変更するたびに再起動である。そのためだけに昼休みクライアントPCを全て落とすとか深夜まで残るとか休日出勤するとか、その手の苦労はもうまっぴらなのだ。最低限、休日昼間外出先からささっとRASで入ってリブートできるだけでも、便利なんだけどなぁ...

(2000/09/25)

2000/10/19追記

 10/18、"「VNCがGNUからリリースされている」という風に読めてしまう"とのご指摘をいただいた。なるほど確かにGNU is not UNIXがVNCに直接関与しているわけではないので、本文中の"GNU"との標記を"GPL"に改めた。ご指摘くださった鈴木氏に感謝。