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3.DialupServer v1.00   小笠原氏

 "ZaurusをLANに繋ぐ話"以来なにか来るなと思ってはいたが、まずは直球勝負のDialupServer。ドキュメントを見つつダウンロードしながらしかし、私の頭の中にはハテナマークが飛び交っていた。

 先日のザウポケオフに行く途中、一度やってみたかった駅のホームからのZaurusによるWeb更新ってのにハマっていた時のこと。FTPクライアントを立ち上げてPPP接続してFTPに入って更新済ませてFTP出て、さてその状態ではPPPは繋がったまま。もしやと思ってWebブラウザ立ち上げたら案の定すんなり入れた。アプリの切り替えさえ出来ればPPP接続自体は保持されるのね、ってことはこの時確認してはいたのだ。

 だがいかんせん内蔵Webブラウザはわがままで、一度自分が接続を仕切ってしまうと他のアプリが起動できない。続いてメールチェックしようとしても無理な相談で、どうしてもブラウザから一度接続を切ってから改めてということになってしまう。内蔵メーラがこれまた融通の効かんヤツで、メールチェック後は問答無用でPPP接続を切ってしまう。残念ながらウクレレトリップさんのWWW天気予報も情報取得後はあっさり切ってしまうタイプで、結局のところ、FTPクライアントで更新した後に上記3つのどれか一つをやるってのがこの時の限界だったわけである。

 さてDialupServerだが、蛇足及び余計なお世話ながら付け加えておくと、Windows9X系で言うところのダイヤルアップサーバとはベクトルが違う。あちらはネットワークにおけるファイルサーバ(主に)サービスをダイヤルアップ接続を介して提供するもの、こちらはダイヤルアップという接続そのものを他のアプリケーションに対して提供するもの、である。

 さてしかし上に述べた状況がはたして改善されるのだろうかと訝りながらトライしてみたが、悲しいことにやはり、現状では他のPPP接続アプリがDialupServerのクライアントとしてうまく働いてくれない。すべてのアプリが"自分で繋いで自分で切る"ことを前提に作られており、ブラウザ/メーラ/WWW天気予報については前述のとおり、いくらDialupServerで事前に接続しておいても、それぞれの仕事が終わった時点で、無情にも切るしかなかった。

 唯一接続を保持したまま他のアプリと行き来できるのはFTPクライアントだが、しかしそれはもともとFTPクライアント単体でできていることなのだった。おまけに、事前にDialupServerで繋いでおいても、FTPする時には結局FTPクライアント側の"PPP接続"ボタンを押してやる必要がある。

 あとはHD-Mailがどういう仕様になっているかなのだが、ハデコR&Dさんのアプリで私が唯一使っていない(あ、HD-Term lightがあったか)ものであり、次版に期待と言ってしまった以上、そしてハデコR&Dさんが業務用MOREで忙しい現状では(言い忘れていたが、林さん及びハデコの皆さん、おめでとうございます)、この実験のためだけに導入してあれこれ要望を腹に溜めるのも考え物である。

 発想としてはブラボーなのだが、MI-C1+611Sという環境で試した限り、未だDialupServerは本領を発揮し得ていない。結局、DialupServerでできることはFTPクライアントで実現できている、という非常に残念な結果になってしまった。他のアプリが接続を仕切りたがるのを強引に押し止める、ということができればよかったのだけれど。小笠原さんはUNIXマシンにシリアル経由でLAN接続という環境で繋ぎっぱなしとのことだが、この環境だと様子が違うのかもしれない。"切れていないのに切れている"ように内蔵ブラウザがだまされてしまう、とか。このあたりはもう少し情報を集める必要がある。

 ただ、FTPクライアントがあるとは言っても、ZaurusでWebを更新するなぞという人間はユーザの中でも少数派だろうから、これを導入していない人の方が多いはずで、DialupServerの存在意義はちゃんとある。しかし"わしが仕切るんだもんね、おまえらには権限渡さんもんね"機能が実現されないのであればやはり、クライアントとなる各アプリが謙虚になってくれるしかない。

 恐らくは"接続時間をなるべく短くオペレーションをなるべく減らして"ということで、各アプリは自前で接続をコントロールする仕様になっているのだと思う。その方向自体は間違っているとは思えない。願わくは、切るか切らないかを事前にユーザに設定で選ばせてほしい。あっちに行ったりこっちをやったりするたびに繋ぎ直すのは私もとてもとても嫌なのだ。いくらPIAFSのネゴが携帯やアナログモデムより速いと言っても、たいていの場合メールチェックにかかる時間の方がネゴより短かったりするわけで、あの待ち時間をアプリの数だけ我慢するのは苦痛である。

 というわけで、こむさんからニアミス的タイミングでそのものずばりの発言があったもので思わずザウポケ慶事板に先に書いてしまったのだが、MOREブラウザは本当に欲しい。勿論ちゃんとPPPクライアントになれるヤツ、である。そういったアプリが増えてくれば、あるいは新型がそれを前提にしたアプリを載せて来るようであれば、DialupServerの発想も活きてくるのだろう。

(2000/10/23)

(2000/10/24追記)

 上記をUPした後、作者の小笠原さんにメールで以下の点を問い合わせてみた。

1.DialupServerの機能は、FTPクライアントによって実現されているのではないか
2.LAN接続の場合とZauから直接電話でPPP接続した場合で挙動が異なることはないのか
3.MOREによって、他のアプリ(本体/MORE含め)のPPP接続をコントロールするもしくは乗っとることは可能なのか否か

 これに対して非常に丁寧な返信をいただいた(それにしても午前4時18分の発信ってのも凄まじいが)ので、内容をダイジェストして記しておきたい。

 大前提として、DialupServerはzxLinuxのネットワーク関連機能を開発するための補助ツールであった。zxLinuxにはネットワーク機能が全く実装されていないので、この部分を補完する形で小笠原さんがカーネル開発を進めるにあたり、PPP接続を保ったままでzxLinuxを起動できる環境を実現することが必要で、そのために作ったMOREとのことである。つまり、これだけ取り出して論じるのは筋が違っていて、あくまでも(小笠原さんの)zxLinuxへのコミットの一環として扱うのが正道。

 ただ、接続部分の各アプリからの分離/接続設定ファイルの一元管理/接続時間や料金の集計といった付加機能を加えれば面白いものになるというヴィジョンはやはりお持ちであった。現状zxLinuxの方に目が行っているので当分はDialupServer単体のversion upはないとのことだが。その意図で、応用への示唆も含め、ソースとセットでの公開になっているとのことである。

 というわけで私からの質問に対しては、

 1.についてはご存知なかったとのこと。かなり意外ながら、どうも一般にあまり知られていなかったらしい。FTPの後で"あれ、まだ繋がってるよなぁ"なんつってアプリ切り替えた私がアホなのかも。

 2.は、異ならない。彼我の立脚点が違っていた。

 3.は、小笠原さんによると、ブラウザは別として、"乗っ取りを考えるくらいなら自分で作った方が早い"とのことである。やはり自前で接続を管理するアプリに対してそれを乗っとるってのは大変、だろうなそりゃ。

 大筋、私が最初にリリースした文のベクトルは間違っていなかったようでほっとした。現時点では、"応用を考える"というのは"PPP接続分離を前提としたMOREを作る"ということと等価である。

 ぶしつけなメールに対して懇切丁寧な返信をいただいた小笠原さんに、改めて感謝。なにしろリリース当日に書いてしまったので、自分の思考あるいは想像力がどこまで行き届いているのか正直不安もあったのだが、すべてに裏打ちをいただいたことで非常に安心できた。なんぼなんでもそろそろUNIXに手を出さんとまずいな、という気は強まる一方ということもあり、今後の"小笠原パッチ当て"zxLinuxには期待したい。というより、いざリリースされた時にそれを正当に評価できる自分になっておかなきゃなぁ。

 (追記終わり)