12.巡礼 承の巻−斑鳩篇−
すっきり起床、6:15。なんなんだこの元気さは。じっくり朝風呂の贅沢。ネット関係一通り終え、ごー。
天王寺から鶴橋経由西大寺へ。さすがの鶴橋も、朝じゃぁほとんど焼き肉匂わなかったよ、しもちゃん。ママチャリ借りて、さて始まり。
とりあえず足慣らしに平城京跡を一回り。朱雀門は、まあどうでもよし。この先に向かって気が急き、とてもこの荒れ野から古を想像するなんて余裕はない。
薬師寺到着、北門から入る。東塔の美しさが圧倒的。フェノロサの"凍れる音楽"って形容は有名だが、なにをおっしゃいますやら、この躍動感はちっとも凍ってなぞいない。あらゆる角度から見惚れる。天気もよく、ぶらぼーであった。
西塔は昭和の再建なんだけれど、色のせいかどうか、東塔の力学的な美しさがちっとも見えてこない。これ、この手の古いものを見るときの一般問題なんだけれど、当初は極彩色だったのよねどれもこれも。欣求浄土だからなんせ。私は単純に苦手。信仰心なぞかけらもないし、色の好みはこちらの通りだし。
さて薬師三尊。大好きな像で、今回目を伏せて近づき間近でやっと対面ってくらい思い入れがあったのだが、どういうわけか今回、最初全く響いてこなかった。日光菩薩から薬師如来、どうも違う。月光菩薩でようやく少々来たが、なんだろうこの違和感。どうもでか過ぎるし、光沢が気になる。もっと落ち着いた黒光りのイメージだったのだけれど先様が変わるはずもなく、これはこちら側の変化だろう。なんだか少々寂しい。拠り所が一つ減ったようで。
平山画伯の玄奘三蔵絵巻、偉業は偉業だろうけれども私は興味なし。第一また別に金を取るのだ。拝観料で十分だわい。
唐招提寺へ。ここはどうしても二本足で歩かにゃならん。立原正秋モード全開。ところがところが...
金堂、解体修理中。ダメージ極大。
実は私はど近眼で、裸眼視力は0.1を切る。小学校一年から眼鏡のお世話になり、10年前に試みにコンタクトにした時、世界が変わった。道が、ビルが、真っすぐなのよ。これだけ度が強いと必然的に眼鏡をかけた視界の周囲は歪曲しているわけで、それを意識していないのは偉大なる慣れというやつでしかなく、要するに私はこの時まで世界を歪めて見ておったわけだ。
そのときいの一番に思ったのが、唐招提寺に行きたい、だったのだ。前年の旅行でここの伽藍配置、特に屋根の重なり合いが生み出すリズム感に(よく言われていることながら)夢中になった私は、コンタクトで歪みも邪魔もなくなった視界で存分にそれを味わいたいと、思い続けて果たせず、はや十年。やっと来れたというのに...
金堂、全体を箱で覆われ全く見えず、とんてんかんがりがりごうごう。それでも講堂からまあまあ味わったが、いやんいやん。未練残りまくり。竣工予定は平成21年、きっついなぁ。
しくしく泣きつつ、講堂内へ。行基菩薩像、インパクト強し。じいさんの像になんで感動するかなわたしゃ。でもほんと、写実の迫力は圧倒的。
新宝殿へ。菩薩形立像、美しさ際立つ。首も腕ももげた重文だが、私的には国宝。ミロのヴィーナス? わたしゃ洋モノはだめなのよ。
唐招提寺山門前レストランで昼食、土産の奈良漬けと味噌を買い、チャリを拾って慈光院へ向かう。結構遠い。途中で一天俄にかき曇り妙に寒いと思ったら、雪が降ってきおった。なにするものぞとしゃにむに進む。
慈光院では穏やかに晴。借景はゴルフ練習場その他でで今一つだが、床の間を背にたった一人で抹茶は沁みた。茶室の一輪挿しに投げ込まれたまんさくと椿がよい。内庭の日だまりでしばし和む。白梅ほころび、苔その他が立体的で恐らく海だ山だをイメージしているのが素直に感じられ、至福。ぼーっっっ。
ここから法の字三連発。まずは法起寺、塔がいい。周囲が田圃で、激しく斑鳩を感じる。十一面観音はガラスの向こうで威圧的、どうにも好きになれん。
法輪寺、塔はでか過ぎて(近すぎて)よくわからん。止利仏師の薬師如来像、飛鳥仏の作者と同一人物なのだから当然ながら見事に飛鳥で、しばし浸る。そう、渡来人の文化だったのだ、発祥は。
ここから法隆寺まで、道が整備されて走りやすく、田園風景の中気持ちいい。まずは中宮寺、如意輪観世音菩薩。美しいと言うしかない。やはり直に対面できてこその像である。
法隆寺西院、塔は安定感はあるもののそれだけ。大体仰々しすぎるのよここは。
宝物殿は初体験、ガラスの中はいかがなものか。ま、これは単なる美術館。法起寺とは事情が違うこともわかってはいるけれど。とりあえずはやはり夢違観音か。飛鳥の六菩薩も好きで、どうも私の好みは飛鳥様式に偏っている。百済観音はどうもわからん。
夢殿は一般公開時期でないので、秘仏は見られない。とりあえず道詮律師像のリアリティに圧倒される。あう、またじいさんの像だよぉ。
本日の巡礼はここまで、夜の部へ。日曜休みの店が多いようなので、法隆寺駅前の本屋でガイドブック立ち読み、当たりをつけた天王寺は阿倍野のエビス屋へ。食いまくり呑みまくり。エビスに続いて根知男山を空け次を所望したとき、店のあんちゃんの顔色が変わった。ふふふ、このペースに驚いてちゃいかんのよ。結局一升近く呑む(ごめんなさい。一言コーナーにこの日呑んだ銘柄を列挙したのは明確に記憶がある分だけで、実際にはプラス2-3杯いってるんです)。帰り際、スタッフ総勢3人、目が点。
勢いで道頓堀周辺をうろつき、ラーメン屋をハシゴしたあげくにようやく帰投。そろそろ人間離れしてねーかと自問しつつ、風呂入って寝る。
(2001/02/28)