6.ぶらぼー16インチ液晶
ここ数年、私のモニタでの常用解像度は1152*864で、1024*768(いわゆるXGA)では足りない。何をするにも足りない。Excelのワークシートを見渡すにも、AirCraftのログ画面を読みこなすにも、Webページを一目で把握するにも。んで、その上デスクトップ上のアイコンスペースを空けておくためにも。足りないったら足りない。
生まれて初めて買ったディスプレイは飯山電気の17インチAG管の奴で、これはなにしろ生まれて初めて買ったPCとセットで手に入れたもので、なにしろ当時はPC本体だけでも結構な値段がしたのだ。といってもDOS/V襲来が落ち着いた後のこと、'91年秋のことなんで、今の状態からすればなんだかなぁとは思うが。とにかく本体に金がかかる以上(参考までに、486DX2/HDD250MB/RAM8MBってマシンだった。Windows3.1ってのはそういうOSだったのだ)、てれびに回す予算はないってんで飯山になったのであった。当時から安かったのだね、あそこは。
このころは1024*768で使っていたのだが、なにより球面収差がひど過ぎるのがずっと気になっていた。画像など当時ほとんど扱う機会はなかったのだけど、むしろ写真ならばそれほど神経質にはならんですんだかもしれない。
実際に扱うのは表計算でありワープロでありDBであり、特に表計算、たてよこたてよこがきちんと碁盤の目でないといらいらするのよ。魚眼レンズじゃあるまいし、周辺でぐにゃぁって感じでひずむのがとにかく嫌だった。今にして思えばフォーカスも甘く、一応1200*1024(いわゆるSXGA)まで対応はしていたのだが、とてもじゃないそんな解像度じゃ読めたもんじゃない。17インチの実効面積でSXGAというのがモトより無謀という話もあるが。
数年たって会社を辞めて静岡に移った時、実は最初、コンピュータ関係の技術翻訳で家計の足しをひねり出そうと考えていた。んで実際手をつけてみると、モニタに向かいあうのが苦痛でしかない。だって字のエッジが甘いんだもん。翻訳作業の素人としてはとにかく画面に向かう時間が長いわけで、眼鏡のレンズが汚れているのを嫌うごとく、Zauの画面に傷があるのに我慢がならんごとく、いやなのだ、自分が書いたものがハナからボケてみえるのは。
というわけで、金もないのにモニタを買った。よせばいいのに飯山の(だって安いんだもん)、今度はスダレ型(要するにダイヤモンドトロン型)のやつを買ったのだが(だって安いんだもん)、これが色むらだらけ。白が白くなくてあちこちに斑点が出る。こんなのやだ、と販売店にごねて交換してもらったところが、また同じ。この時点で飯山を見限って、SONYのGDM 17se2Tってやつに替えた。差額しかとらなかった販売店の店長(さすがに直に交渉しなきゃならなくて、店番のにーちゃんでは埒が明かなかったのだが)は太っ腹であった。
この時、1152*864に目覚めたのであった。雑誌などでこの解像度の有用性を知ってはいたが、それまでの飯山のAG管では望むべくもなかった鮮明さ。17インチディスプレイを使いきるにはこれしかないと素直に思い、以降節を曲げていない。
あれから4年。私も節を曲げていないけれども、東京吉祥寺の一応IT大手と言われているはずのウチの職場にあるモニタもやはり、今でも最大17インチである。液晶も増えてきてはいるが、15インチ止まり。で、皆さん一様に解像度は1024*768。これがやはり世間標準なんだろうな、と周りを見るとつくづく思う。
"ディスプレイは紙にかなわん、なぜなら一覧性にかけるから"ってのはその通りで、これをひっくり返すにはまだまだ時間がかかるとは思う。紙ならA3一枚一目で見れるもんね。
が、なにも紙を相手にしなくても、現実に見ている画面で少しでも見通しをよくしたいというのは自然の欲求だろう。私の場合、あくまで17インチのCRTという制約の中で動く限り、1152*864が一番欲求を満たす。CRTでそれ以上を求めるなら19インチってのがあることはあるけれど、価格及び設置面積がね。無理なのだ、自宅でも職場でも。付け加えるなら、重いし高いし。
液晶...? 無茶いうもんではない、もっと高いじゃないの。
という状況に、やっとこさ答えを出してくれたのが本日のZDNetに掲載されたナナオの記事である。あ、ちなみに私職場ではナナオのEIZOブランドになる前の(ってことはまっとうな時代の)17インチモニタを使っているが、自宅のSONYと比べると雲泥の差。ナナオはひどい。発色もフォーカスもダメダメ。というわけで、メーカに対してはほぼ絶望していたのだが...
えらい。16インチ液晶ディスプレイ。ようやく気づいたか、そこに需要があることに。"企画部販売促進課の古田裕之氏"、おっしゃることは逐一ごもっとも。
液晶パネルの歩留まりの悪さとか、生産ラインを変更することのリスクとか、解決すべきハードルは多々あろうが、なーに市場はあるのだ。決めつけ。出しゃぁ売れるよ、心配いらん。実際、職場で何度"液晶にしなくていいの?"と声をかけられたことか。、XGA止まりの画面なぞいらんのだのだと言って断っていたのだが、近い値段で16インチが出てくれるなら、今度は乗るぞ。
そう。"今後,主力は15型から16型に移る"だろう、論を待たず。この液晶がシャープ社との共同開発だってのは私にとってもう一つほくそ笑むネタではあるけれどもそれはともかく、ようやっと"まともな"液晶ディスプレイが出てくれたという感慨が深い。まったく今まで何をしておったのかね、各メーカは。
これでやっと、私のPC環境中の最長老であるディスプレイにも引導を渡せる可能性が出てきたわけである。間もなく丸5年になるのだ、こいつとの付き合いは。こんなに寿命の長い部品は他に断じてないわけで、まぁ実際に相棒をリプレースするかどうかはともかく、今回の発表でようやっと私も、脱CRT時代が来たんだなぁということに得心が行ったのだった。吉永小百合女史に惑わされてではなく、ね。
(2000/10/18)