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漆工芸品について
ベトナムで現在行われている漆工芸は、アジアに古来から伝わるもので、インド、中国から伝わったものであり、日本や韓国で現在行われているものと同様のものです。時々日本の螺鈿細工の技法を紹介した本や、TV番組をみると、ベトナムで使われている技術とほとんど同じであることに驚きを感じます。
ベトナムでは12世紀ころに、ベトナムの北部のPhu Tho省で漆の栽培が本格的に行われるようになりました。おそらくこのころ、本格的な工芸として漆細工は盛んになってきたものと思われます。
私がベトナムでの漆工芸の技術工程を目にすることが出来たのは、初めてサイゴンで仕事をするようになったときでした。サイゴンの郊外に車で30分くらいのところにソンベという漆細工が盛んな部落があります。、そこで修行をして自分で独立した人が、サイゴンの国際空港の周りにいくつも小さい工場を作っています。初めにそんな工場をたずねるつもりだったのですが、オムニサイゴンホテルの向かいにあるLAM SONという国営会社の工場で、螺鈿細工の工程を見せてくれるというので、そちらのほうを見学することにしました。
漆工芸にはいくつもの工程があり、短くても3ヶ月、長い物で4ヶ月もかかります。その理由は、漆を何重にも塗り重ねて行くからです。
初めに漆を塗る製品(木工芸品または絵の下地の板)を充分に乾燥させなくてはなりません。次に最初の漆を塗ります。充分に漆が乾いたところで、水の中で磨く工程があります。磨きが終わると次に漆を塗り重ねて行きます。そして、上塗りの途中で、真珠貝を糸鋸でカットした模様を貼りつけたり、卵の殻を細かく砕いて貼りつけたりして、模様をつけます。さらに、上塗りを重ねて行き、仕上げるといったような手間のかかる工程があります。途中の工程を短くすると、ひび割れが生じ、商品価値が無くなってしまうのです。
漆工芸会社で聞いた、漆工芸品の取り扱い上の注意を記載します。

1、漆工芸品に太陽光を直接当てないこと。ヒーターエアコンなどの温風を当てないこと。
2、汚れを科学薬品で洗浄しないこと。温水で洗ってもだめ。
3、乾燥した場所に保管しないこと。
以上のことを守らないと、すぐにひび割れが生じてしまいます。


そのころはまだ,日本へベトナムの漆工芸品の紹介などは行われておらず、香港や台湾の家具でしか見たことの無いものでした。確かにそのころ見た漆細工の家具は中華系のデザインがほとんどでしたが、現在は西洋風のデザインや、ベトナムのデザイナーの絵を描いたものなどが、多数出てきています。ベトナム人の手先の器用さは、日本人に負けないくらい、良いものをこれから生み出して行くのだと思います。







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