2003年 5月10日


 単三中性線欠相

「単三中性線欠相」と言う言葉、皆さんはご存じだろうか?

これは別に医学用語とかでは全然なく、皆さんの家庭でも起こりうる現象なのだ。

症状をまず説明すると、突然壁の電源コンセントの電圧が通常の交流100Vではなく0V以上200V以下の電位に変動してしまう事で、これが起きるとそのコンセントに接続された電気製品は、場合によると過電圧で壊れたり、最悪は加熱して火災を招く事もある。

実は先日、この単三中性線欠相に似た現象(実際にはちょっと異なってはいるが、症状は同じである)が起きてしまい、家の中の何台もの電気製品が一瞬で壊れてしまったのだった。

今回はちょっとこの「単三中性線欠相」について説明する。


通常の家庭に引き込まれている商用電源。

一般には100Vの電源ラインであるが、最近の住宅等では屋外から100V専用の電源ライン(単相二線式)を引き込んでいる事は少なく、実際には200Vと100Vとのラインが混在している単相三線式の電源ラインを引き込んでいる事が多くなっている。

別にこれは200Vの電気製品を使っている事に限った話ではなく、ここ10年程度の間に新築された家庭で、電力会社の契約アンペア数が大きい(40〜50A程度以上?)場合には、引き込み配線の容量的に有利な単相三線式になっているのだ。


ではこの単相三線式の仕組みはどうなっているのか?

従来の単相二線式の場合には、接地側の電線(中性線:N)と電圧側(L)の二本で構成され、単純にL−N間に交流100Vが掛かっているのみだった。

これに対し単相三線式の場合には、接地側の電線(中性線:L)以外に二本の電圧側の電線(L1とL2)が配置された三本の電線で構成されている。

この場合、100Vの電気のみ必要なのであれば、L1とNとを、或いはL2とNとを各回路(安全ブレーカーで分離さられた系)に接続してやれば交流100Vが供給でき、さらにL1とL2とを回路に接続するとは交流200Vの供給もできるのだ。
(100V供給の場合、L1−NとL2ーNとは、それそれの消費電流のバランスを考えて振り分けられるのが普通である。)

この事を詳細に書くと、接地されたNに対してL1とL2の電位は、その位相が180度違っている事になる。直流的に表現するとN端子が0Vに対して、L1端子が+100VとするとL2端子は−100Vとなる。

だから、「うちの家庭では100Vのコンセントしかない!」と思っても、分電盤を開けてサービスブレーカー(電力会社の契約によって容量が決まっているブレーカー)や漏電ブレーカーあたりの配線を見ると、赤・白・黒の3本の電線が配線されていたりして、この場合には単相三線式の引き込みがされている事になる。


このような単相三線式の場合、前述したように通常L1−N間或いはL2−N間の電位は100Vであるのだが、もしサービスブレーカーや漏電遮断器のあたりでNの電線がはずれて屋外の電線と切断された状態になってしまうと何が起きるか .....

普段は100V+100V=200Vの関係が保たれているのだが、N端子がはずれるとその関係が保てなくなってしまい、L1−N間で構成された回路に接続されている電気機器と、L2−N間で構成された回路に接続されている電気機器との消費電力の違いで、各々の回路の電位が100Vではなくなってしまう。最悪の場合には、片側が0V、もう片側は200Vと言う状態になってしまう事もありうる。
この現象が「単三中性線欠相」と言う現象なのだ。

これは先に書いたようにNの端子がはずれないまでも、緩みが起きたりしてNの配線抵抗値が上昇したりしても同様の結果になり、電気製品を使う側からすると非常に怖いものなのである。


まぁ、単相三線式を引き込んでいる最近の家庭では、漏電ブレーカーに単三中性線欠相を検出して保護する機能(電圧を検出して異常電圧になると切断する機能)が備わったものが使われているはずなので、漏電ブレーカー自身が正常動作すれば保護してくれるはずである。

実は私の家の場合、10年以上前の住まいで、まだこの単三中性線欠相保護機能が付いていない漏電ブレーカーが使われていたようだ。そのため、今回の被害を被ってしまったのだった。


と言う事で、皆さんも分電盤開けてみて、もし単相三線式の引き込みだったら、この単三中性線欠相保護機能付きの漏電ブレーカーが使われているか確認した方が安全である。

さらにそのブレーカーも、もし10年以上使っているのであれば、正常に機能する保証はなくなっているため、安全のため電気工事の人に交換してもらう事をお勧めする。



このページへの、無断のリンクはご遠慮ください。

「ひとりごと」の部屋のトップページに戻る

 Logo CYH