月刊小笠原諸島 Monthly Bonin Islands 


小笠原現代日本語事典 Dialect バックナンバー

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31 こみばえ
 
ミカンコミバエ[蜜柑小実蝿]のこと。ミバエともいう。ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis)は1925年頃、サイパン島から熱帯果実に入って父島に侵入したといわれている。コミバエはかんきつ類、バナナ、パパイヤ、マンゴーなどに寄生するので、1968年小笠原諸島の日本返還後、寄生する果実などは諸島からの持ち出しは原則的に禁止されていた。東京都は農業振興の支障になると1968年から研究と根絶事業を開始、1985年根絶が確認され、禁止されていた果実などの内地出荷が出来るようになった。その後もコミバエ再侵入警戒調査が東京都小笠原支庁と国土交通省小笠原総合事務所により継続。コミバエ誘引剤をいれたトラップ(写真)が小笠原群島各地に設置され、定期的に調査されている。(2008-12-14)
写真はコミバエ再侵入調査トラップ

30 そんみんじょうせんしょうめい

そんみんじょうせんしょうめい【村民乗船証明】村民乗船証明書のこと。2008年4月から東京父島間の定期船おがさわら丸の運賃が値上げされ、値上げ分は燃料油価格変動調整金という名目で随時値上げできるようだ。その値上げ分の村民への負担軽減策として、小笠原村が村民に助成金(1往復2千円)をだすという。竹芝桟橋で帰りの乗船手続きの際、小笠原海運から村民乗船証明書が出され、帰島後1か月以内に役場に持参して補助金を受取るというもの。小笠原海運と小笠原村間で直接行えば簡単に済むものを、村民個人にいちいち役場に出頭させるのはなぜか、窓口事務担当者もわからないと言っていた。(2008-06-11)

写真は村民乗船証明書

29 けいかいみだしひょう
 けいかいみだしひょう【境界見出標】国有林野と他者の所有地との境界[きょうかい]に埋め込まれた境界杭付近の木や柱などに掲示されているプラスチック製の赤いプレート。近くの地面に「山」と刻まれたコンクリート製杭があり、杭には記号番号が記されている。小笠原諸島父島、母島では市街地から車道沿い、山中の遊歩道沿いによく見かける。山中では木には赤ペンキを塗って目立つようにしてあり、山道の目印と勘違いして迷う観光客もいる。父島の小笠原郵便局向かいにもあり、このプレートと境界杭が市街地にもあるのが小笠原諸島の特徴。無人島が近代になって正式に領有されたので、海岸、河川以外の土地は全て国有林野とされ、そこから先住移民の私有地、官庁、開墾され民間に払い下げられた畑などが国有林野から除外され、国有林野の村の面積に占める割合は非常に高い。(2007―10―17)

写真は境界見出標と境界杭

28 おがさわらこうきあつ
おがさわらこうきあつ【小笠原高気圧】以前は、日本本土を夏に覆う高気圧は小笠原高気圧と言われた*1。その後、その高気圧は小笠原諸島に中心があるのではなく、北太平洋上の広大な高気圧の西部*2であるとされ、現在は太平洋高気圧とTV,新聞などで広く言われ小笠原高気圧という用語は使われなくなっている*3。しかし、最近の研究*4では、8月に日本付近で発達する高気圧をチベット高気圧、太平洋高気圧とも独立した小笠原高気圧とし、夏季モンスーンにより形成されるもので日本の夏の気象を解明するものであるという。小笠原高気圧という用語を復活させましょう、「森田さんのお天気ですかア?」の森田さん。
*1 《用例》「日本の夏を支配する小笠原高気圧」山本三郎(1971)登山者のための気象学
*2 天気予報技術研究会編(1996)気象予報士のための天気予報用語集
*3 《用例》「太平洋高気圧の勢力が強まった日本列島は」東京新聞2006-07-15社会面12版28p見出し「猛暑続き3人死亡」記事中
*4 榎本 剛(2005)盛夏期における小笠原高気圧の形成メカニズム 天気2005-07

空 写真は小笠原諸島の空

27 しちきん

しちきん【七金】七島信用組合の通称。2003年父島に小笠原支店が開設された。信用組合の略は「しんそ」、「しんくみ」*、個別信用組合の略称は「〇しん」で「〇きん」は「〇〇信用金庫」を指すのが通常である。しかし「しちきん」と呼ばれている。一方、七島信用組合自身はは「しちしん」*2と名乗っている。この食い違いは「しちしん」は言いづらいことだけでなさそうだ。小笠原村では金融機関の誘致が念願であり、東京都と小笠原村の指定金融機関の富士銀行(当時)の誘致要請など、金融機関という言葉が先行していたことによると思われる。JAバンク系に組織統合される以前に小笠原島農業協同組合が金融を扱っていたが、金融機関とは思われていなかった。
* ボンビバーン6・7月号(2007)表紙 「しんくみ情報誌」
*2 七島信用組合ちらし(2006)感謝!みなさまと共に50年 しちしん(2007-02-26)(2007-07-11一部改)


7金 写真は七島信用組合

26 かいじょうしさつ
かいじょうしさつ【海上視察】国や都の政治家や役人などが地元の役人などの案内でプレジャーボートや漁船などで南島など父島や母島の周囲の属島に上陸したり、国立公園の海中公園地区を船上から眺めたりシュノーケリングをしたり、ホエールウォッチングやイルカウォッチングをしたり、時には釣をしたりすること。「視察」は「民情視察」*や「水害地の視察」*2に使われるが、小笠原諸島では「観光」や「自然の中で楽しむ」ものが主で、観光客のそれとは区別し難いが、海上視察の場合は観光客との乗り合いではなく、傭船でなされることが多い。
《用例》「小笠原諸島返還35周年記念式典ご来賓日程表 2/8 9:00海上視察(青灯台発)」
〔類語〕潜水調査 「石原知事が沖ノ鳥島視察 日の丸掲げ、潜水調査」(共同通信ニュース速報見出し2005-05/20)同本文「シュノーケルを着けて潜水し、海中の様子を調査した。」
* スーパー大辞林(三省堂Web Dictionary)
*2 新明解国語辞典(同)(2006-10-31)(2006-11-19改)


25 いっぽんじめ
 いっぽんじめ【一本締め】新年会、忘年会、懇親会、打ち上げなどという各種宴会の終わりに座の進行役から指名された者が、席を立ち上がり(座の他の者も全て立って)短い口上を述べ「よー」という掛け声で座の全員と一緒に両手をたたくもの。宴会の終わりを示す儀式で、1拍とする手締めの1種。「小笠原一本締め」、付随して「牛の一突き」とも言う。手締めは「取引・相談の成立を祝い、掛け声に応じて、シャンシャンシャン、シャンシャンシャン、シャンシャンシャン、シャンと聞こえるようにおこなう拍手」*の10回拍手するのを通常、一本締め、一本締めを3回繰り返すのを三本締め、1拍を1丁締めとするが小笠原諸島では1拍を一本締めとし、通常の一本締め、三本締めはほとんど行われない。
*見坊豪紀主幹(1998)三省堂国語辞典4版(2006-03-12)

一本締め 写真は一本締め

24 しながわ(ぷりんす)ほてる
 しながわ(ぷりんす)ほてる【品川(プリンス)ホテル】2004年12月父島大村に開業した宿泊施設で、「父島ビューホテル」*が正式の名である。経営者とされる者が島内の建設業者であることからその名を冠し「品川プリンスホテル」と揶揄されて呼ばれることがある。しかし、東京都港区の同ホテルとは全く関係が無い。近年の公共事業の減少と2005年秋に就航予定であったTSL(高速船)による観光客増加とを見込んだ事業転換と見られている。小笠原村観光協会HP*2からこの宿を探すと「自炊コンドミニアムタイプです。船客待合所より30秒!二見湾が一望でき、父島の中心地にあり種々の利便性、抜群!」とある。「ホテル」の通常の意味「西洋式の設備を備えた宿泊施設。洋風の旅館。」*3とは異なる。しかし、「洋風の旅館」以外は「ホテル」を名乗れないことは無く、「日本風の旅館の名称としても用いられる」*4こともある。かつて父島奥村に「小笠原観光ホテル」という和風旅館があった。当時小笠原村第1級の宿であったが、廃業し、今その場所は更地となっている。
* http://www16.ocn.ne.jp/%7Eview1/
*2 「歳時記」の頁にリンク
*3 スーパー大辞林 三省堂 Web Dictionaryhttp://www.sanseido.net/index.aspx(2005-11-26)
*4 新明解国語辞典 三省堂 Web Dictionary(2005-11-27)


父島ビューホテル 写真は父島ビューホテル

23 そんせいかくりつ
 そんせいかくりつ【村政確立】小笠原村[おがさわらむら]という地方自治体が、村長等の執行機関と村議会を持ち、地方自治法上の通常の地方公共団体になること、又はなったこと。小笠原村は、1968年6月26日米国から日本に返還された日に「小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等関する法律」(昭和43年法律第83号)により、旧5カ村(大村、扇村袋沢村、北村、沖村、硫黄島村)と旧東京都小笠原支庁直轄地を包括して設置された。設置された小笠原村は、東京都小笠原支庁長が村長職務執行者として村政も司り、教育委員会等の行政委員会、村議会が無かった。
−び【村政確立日】村長と村議会議員が選出され、村政が確立したのは1979年4月22日である。しかし、22日、日曜日の統一地方選挙により選出された村長と村議会議員が確定したのは、同日深夜であり、村政が実質的に動き出したのは、翌23日(月)であることから、村政確立日を4月23日としているものも多い(*)。これは、長と議員の任期は4月22日に開始されているので正確ではない。
*東京都小笠原支庁(2004)管内概要 平成16年版 p4
〔類義語〕町制施行=町村が合併したり、村の人口が多くなり町になることをいうが、それに該当する村制施行という言葉は、小笠原村にはなく、法による小笠原村の設置がそれにあたる。(2005-03-20)

選挙ポスター 写真は村政確立時選挙ポスター

22 とうけん
 とうけん【東顕】財団法人東京顕微鏡院のこと、又は同院医師らが来島して、年1回行う「成人病ドック」をいう。1979年、同院の公益事業として始められた30歳以上の住民健診で、循環器系(血液、尿、心電図検査等)、消化器系(胃カメラ)検診を行った*。その後婦人科健診(子宮、乳がん)も追加され、老人保健法施行により実施主体が小笠原村になり、又結核検診も一緒に実施され、名称も「小笠原村住民健診」*2に変え続けられている。なお、同院も「医療法人社団こころとからだの元気プラザ」となり、「とうけん」は使われなくなりつつあるようだ。
《用例》「東顕が今度来たら、胃カメラを飲む」
* 小笠原村・財団法人東京顕微鏡院(1998)小笠原村健康な村づくり「成人病ドック」20年のあゆみ
*2 小笠原村総務課(2004)「小笠原村民だより」No.489(2004-10-30)(11-07改)


21 ぽんこつしゃ
 ぽんこつしゃ【ポンコツ車】ポンコツ車の字義通り、「老朽化、あるいは破損して、役に立たなくなった車」*であるが、小笠原村では「自動車の投棄を規制する条例」(昭和48年条例第19号)により、自動車、オートバイ、バイクを廃棄する場合は、島外搬出を所有者に義務付けている。この条例は、通称「ポンコツ車条例」と呼ばれ、搬出は貨物船で行われている。近年は、古タイヤも搬出させている。料金は有料で、排気量と大きさ又個人用、業務用で異なるが貨物船に支払い、「個人が搬出する場合は、村が料金の一部を補助し」*2ている。
《用例》「ポンコツ車搬出 搬出予定日時 4月7日 持込場所 第2物揚場 お問い合わせは環境衛生係へ」(抄)(2004年4月小笠原村掲示板ポスター)
* スーパー大辞林[用例](三省堂Web Dictionary2004/01)
*2 東京都小笠原村総務課(2001)小笠原村村民便利帳(2004-05-23)


ポンコツ車 写真は放置されているポンコツ車

20.おがさわらでんぽう
 おがさわらでんぽう【小笠原電報】父島島内の事故、事件、政治をめぐって人の口から口へ伝えられる情報。誇張されたり、デマであったりして正確でないが、広まり方が早い。電報では、内容が正確には伝えられないこと、伝播の速さから電報と呼ばれたと思われる。テレビ、ファックスの普及から近年は、この言葉が使われることは少なくなったようである。しかし、情報の伝達方法としては、電話、インターネットという手段も利用され、現在も存在とその意味は変わらないと思われる。
《用例》1 かつて,「小笠原電報」という小笠原地域に関する速報かと勘違いさせるような言葉がよく聞かれました。今さっき,起きたことの話が,瞬く間に全島に広がって伝わるというものです。もちろん,「電報」の内容はいささか大げさになったりして,事実とは大いに違った内容になってしまうものが多くありました。(「小笠原CATV」の盛衰とその存在意義;前納弘武編(2000)離島とメディアの研究−小笠原篇)
2 一般的な「小笠原のニュース」は地元の人々が「小笠原電報」と呼ぶ対人コミュニケーションによって「瞬時」に村内に広まっている(視聴番組の変容と新聞閲読行動;同前)
[類語]おおむらでんぽう【大村電報】戦前及び小笠原諸島返還後から1970年代に主に旧島民によって使われていた、小笠原電報の以前の言葉で意味は同じ。大村は、二見港を擁し、官庁、商店等がある小笠原諸島の主村で、明治期から太平洋戦争末まで父島北部にあった。(2004‐01‐18)

19.かんのうひょうか
 かんのうひょうか【官能評価】国税局が酒造会社の酒の品質について行う評価。小笠原ラム・リキュール鰍フ製造する酒類(ラム酒、パッションリキュール酒)について、東京国税局鑑定官室が、数人の鑑定官により、香りの短評、味の短評、総合品質ランク(A〜D)、総合コメント(辛い、酸味が強いなど)を行う。
官能とは「感覚器官の働きによって得られる充足感。〔主として性欲について言う〕」(新明解国語辞典)というのが一般的理解だが、元々は「耳・鼻・目など,感覚器官の働き」(スーパー大辞林)であり、酒の官能評価は、鼻、口、舌によるもの。酒の好みは人様々で、誰にでも好まれれば売れるし、独特の味が好きな人は、特定の銘柄を好み、そこそこの販売量を維持するであろう。財務省が一々評価するものではなく、酒飲みが評価するもの、余計なお世話という気がするが。
「酒類はし好品で、その品質は人間の目、鼻、口等を使って判定します。これを官能評価といい、その方法は科学的な手法により行われます。鑑定官には、官能評価を行うユニークな仕事もあります。」(国税庁のHP)。感覚器官の働きによる評価が、どうして「科学的な手法」なのか理解に苦しむが、官能評価を行う鑑定官には、国家公務員採用T種試験(技術系)があるので、かなり難しそうだ。(030913)

18.しのうこうしょう
 しのうこうしょう【師農公商】一部の商工業者が村内での自己の存在を江戸時代の「士農工商」(*)の階級制度になぞらえて言う。師は漁師、農は農業者、公は公務員、商は商工業者を指し、小笠原諸島での国都の補助制度が第1次産業に手厚く、商工業者には何もないことへの不満を表している。
《用例》「「師農公商」というのは…振興開発事業も国の施策として行われている関係上、…農業団体、水産業団体に対し直接補助が行われるような体系もありますので…そういう部分での目立つ部分があります。」(小笠原村議会平成14年第4回定例会会議録)
*「武士と農民と職人と商人。江戸時代の封建社会を形づくる階級を当時の階級概念によって順位づけたもの」(日本国語大辞典縮刷版第1版,小学館)(2004-09-27改)

17.たいふうようじょう
 たいふうようじょう【台風養生】台風の来襲間近に、建物、資材、樹木などに様々な防護や片付けをしたり、漁船、ボートを陸揚げしたりして備えること。台風対策。元の「生命をやしなうこと、健康を維持すること」(*)から「施工箇所の周りや物品の表面を覆って汚れから保護すること、工事現場に設ける危険防止のための柵や幕などを用意すること」(*2)と転化、建設業者が多い故、台風に対する用意に再転化し、平成9年の台風来襲以来、常用化したと思われる。*新装改訂新潮国語辞典7刷,*2新明解国語辞典(三省堂e辞林)
《用例》「台風養生の様子。(中略)一面のガラスには、ベニア板で完全に囲まれ、窓ガラスなど、被害が出そうなところは、補強されています。」(台風情報・天気予報2002/7/26小笠原チャンネルのHP),「台風16号は明日接近(以下略)。近くを通るだけなので”台風養生”しなくて済みます。」(今日の小笠原2002/09/01 まるひのHP)

台風養生
写真は台風養生

  
写真は普段のとき


16.うどのたいぼく  
 うどのたいぼく【独活の大木】ウドはウコギ科の多年草で高さ1.5m,北海道〜九州,朝鮮,中国等に分布,若い茎は風味のある山菜で,畑にも植栽され,小笠原には無い。ウドノキはオシロイバナ科の常緑高木,大きいものは高さ20m,径1.2mになり,小笠原及び奄美大島以南の琉球,台湾,オーストラリア,ミクロネシア,ポリネシア等に分布,名は材がやわらかく腐りやすくて役にたたないのでいう。ソフトウッドという先住移民の名もある。「うどのたいぼく」という諺はウドに由来し〔茎が高く生長するが食用にはならなくなり,また茎が柔らかくて用途がないことから〕体ばから大きくて何の役にも立たない人のたとえ。「うどのたいぼく」の諺の由来を,母島石門山の壮観な大木のウドノキを見て草のウドでは無くウドノキからと信じ,一部に広められている。諺は既に1666年江戸時代初期には使われており,ウドノキは中国には分布していないので,ウドノキ由来説は誤り。(2002.06.02.)

ウドノキ 写真はウドノキ(1984母島桑木山)

15.ひ  
 ひ【非】軽自動車税非課税の略記号。軽自動車税とは軽自動車等の所有に対して課税される区市町村税で、主たる定置場所在の区市町村で課税される。対象となるのは、原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車、二輪の小型自動車。原則として軽自動車等の所有者に課税される。原動機付自転車(バイク)等の非課税対象となる所有者は国か地方自治体である。小笠原村では、小笠原村が課税しているので、用例のようになる。所有者は国の機関、東京都、小笠原村のいずれか。千代田区では「千代田区 ひ 1234」となり、内地でも「ひ」ナンバーのバイクが走っているが気付かれず、小笠原諸島では変わったナンバーのバイクが走っていると観光客が発見?して問合せることがある。
《用例》「小笠原村 ひ 274」という全て赤字のナンバープレートを着けたバイクは、軽自動車税非課税であることを示している。
ひバイク 写真はひバイク

14.よこもちりょう  
 よこもちりょう【横持料】運送業界の用語で、荷物の輸送途上に車両、船舶への積替えにかかる費用のこと。小笠原諸島では、荷物の輸送を東京‐母島間の定期船で行う場合、東京‐父島間のおがさわら丸から父島‐母島間のははじま丸に積替える費用として生じる。小笠原海運/伊豆諸島開発(前者は東京‐父島間、後者は父島‐母島間の海運会社)の送状には、〈父島仲継料〉と記されている。東京都の運賃補助制度はあるものの、補助対象品目、補助率等の制約があり、母島への貨物の送料は、父島より高くなり、母島の物価に反映されるものもある。
《用例》おがさわら丸からははじま丸への積替えはほんのちょっとの移動だ、父島に着いたものを動かしても取らないんだから、ははじま丸の横持料は、ただにしてもいいんではないか。(ある母島島民の意見)

13.きょじゅうしょうめい  
 居住証明【きょじゅうしょうめい】居住証明書の略。小笠原村役場が住民票のある人に対して発行する証明書で、父島-東京又は父島-母島間の定期船の往復切符を買う際に運賃の島民割引を受けられる。1回限りの証明書とカード式があり、証明手数料は同じ額で、カード式(2年間有効、写真付)の交付を受ける人が多い。「割引証」、「島民証」と呼ばれることも多い。

居住証明 写真は居住証明

12.とくちんけん
 とくちんけん【特賃権】特別賃借権の略。1968年小笠原諸島返還に合わせ、「小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律」が施行され、農地法の施行は停止され、農地解放は行われず、戦前の小作権は、権利者の申し出による特別賃借権として保護された。特賃権は帰島しなければ行使できない。帰島した住民の住んでいる父島、母島以外の島も、帰島困難とされた硫黄島、北硫黄島にも特賃権者はいる。父島、母島には不在地主(帰島しない旧島民地主)の土地を特賃権により耕作又は管理している旧島民もいる。特賃権は売買できないが、相続される。農地法の施行停止は暫定的とされたが、返還33年経ても、停止を解除する計画は未だ無い。
《用例》硫黄島・北硫黄島に関する特別賃借権等の調査結果(小笠原152号小笠原協会2001-03-31)借地の権利は特別賃借権によるもの〈小笠原旧島民帰島希望調査概要報告書 東京都総務局三多摩島しょ対策室1972‐08〉

11.そんかん
 そんかん【村館】村民会館の略。以前は「そんみんかいかん」と略さずに言われていたが、最近定着している。省略型としてはABCDをACとするのが多いが、AD型。小笠原諸島返還後、地域福祉センターとして父島次いで母島に建設された。父島では別の場所に再整備、父島村民会館は廃され死語となりつつある。母島では、へき地保育所、体育室、図書室、社会福祉協議会などあり、選挙投票所、会合、柔剣道、珠算等に利用されている。公民館、図書館のない村の総合福祉コミュニティ施設。
《用例1》現在村館で少年に健全育成の一環として柔道剣道の指導を有志の方々のご協力のもとそれぞれ稽古に励んでいるところです(警視庁小笠原警察署母島駐在所一同:平成13年1月;鏡開きの式のご案内)
《用例2》入園したての子は特に、登園してからお母さんが村館庭に残っていますと、気になって恋しくなってしまうこともあります。(母島保育園:平成13年4月;4月えんだより)

 村民会館 写真は母島村民会館

10 たんきたいざいしゃ

 たんきたいざいしゃ【短期滞在者】住民票を小笠原村に置いていない、建設作業員を指す行政用語。小笠原村の広報紙『村民だより』に毎月の住民基本台帳登録者数(人口、世帯)とともに、父島母島別に掲載されている。島の人口は小笠原諸島返還後、復興事業で増減する建設会社の作業員総数を含めないと、実態にあわず、建設会社に聞取りで調査している。建設会社の宿舎にいても、住民票を置いている者は含めない。小笠原村に転入手続きをしない限り、何年居ようと短期滞在者である。全て男性である。十数年前頃から、飲食店、民宿等でアルバイトをする若い女性が増えているが、この女性人口は調査されていない。国勢調査で把握されているか、不明。父島母島にいる国都の公務員、教職員は全て住民票を置いている。

9.ゆうしょううんそう
 ゆうしょううんそう【有償運送】国土交通省の許可を得て、母島で行われている自家用自動車による、有料の運送事業。平成初期から、4,5台が主に観光客の送迎に運行してている。自動車の両側ドアに有償運送と文字を書き、太線で囲み表示をする自家用車が使われている料金は距離制であるが、安く設定されており、乗客一人ひとりから徴収する。タキシーメータを付さず、トリップメータで計算する。琉球列島の小離島に前例があり、タクシー、レンタカーが無い離島の特例措置として認められている。

8.すたーふるーつ
 すたーふるーつ【スターフルーツ,Star-fruit(英)】ゴレンシ、五斂子、Averrhoa carambola カタバミ科。西マレーシア原産の熱帯果実。果実は長さ10‐20cm、幅7‐10cmで上下に五稜あり、黄緑色、酸味があり生食される。形から五斂子[ごれんし]の漢名がある。横断面は五角の星形で、スターフルーツの英名がある。小笠原諸島には、1985年父島の亜熱帯農業センターに導入。その際、誤ってスターアップルと伝えられ、童謡「パッション・パパイヤ・スタラプル」(町田昌三作詞)も創作され小学生に歌われた。いまだにそう呼んでいる大人もいる。2000年作製の小笠原農協のチラシ「小笠原の農産物」では、「ゴレンシ(五稜子)」と漢字を誤植されている。島ではなかなか正しく呼んでもらえない不幸な果実である。
{参考}スターアップル,Star-apple(英)はスイショウガキ、Chrysophyllum cainito アカテツ科の中米原産の果実で別なもの、1971年亜熱帯農業センターに導入されている。
 写真はスターフルーツ

7.へいふく  
  へいふく【平服】式典等で背広、ネクタイ、Yシャツ、スーツを着ないこと。「(礼服を着るには及ばないという意味で)普通の外出着の称。例、男子の背広、女子のスーツなど。」(新明解国語辞典5版14刷)とあるが、例は内地とは指すものが異なる。小笠原諸島では普通の外出着は、夏期(5-10月)は半袖ポロシャツ、Tシャツ等1枚で、下着を着ない。他の季節はカッターシャツ、長袖、セーター、ジャンバー等長袖のものが着られる。
「←→礼服」(同)とあるが、礼服という言い方はしない。平服でない場合は履き物もサンダル、運動靴から革靴に変る。
《用例》式典関係者はYシャツにネクタイ、一般の方は平服にて、ご来場頂きますようお願いいたします。(平成12年度小笠原諸島戦没者追悼式典のご案内)

6.ぐりーんぺぺ  
 ぐりーんぺぺ【グリーンペペ】ヤコウタケ(夜光茸)のこと。Mycena chlorophos キシメジ科。傘の直径は数oから3p、高さは1-2p、白色で表面に光沢があるぬめりがあり裏側のひだも白い。淡い緑色を傘、ひだ、柄全体で自発光している。弱い光で、昼間や月が明るい時は見つけづらいが、暗闇では近づけた手がよく見える。湿った森林の朽ちた木に寄生する。12-2月の低温期、8月の乾燥期、雨降りの最中を除けば、特定の場所ではよく見られる。ダイサンチク(インド竹)の枯棹にもよく出る。きのこになる以前の菌糸がまとまって竹棹が光っていることもある。戦前小笠原諸島採集のものが新種として発表されたが固有のものではなく、八丈島では栽培種のフェニックスの幹によく生えることで知られている。
小笠原諸島返還後に父島に帰島した旧島民の子弟が命名し、親族の経営する店名にも使われた。戦前は「ひかりきのこ」と言われていた。

5. ないち
 ないち【内地】日本本土を指し、北海道、本州、四国、九州及びその周辺島しょで、伊豆諸島も含まれる。
〈解説〉「〔属領・植民地に対して〕本土の称。〔日本では、北海道・沖縄に対する本州・ 四国・九州を指す。」(『新明解国語辞典』2版)とある。小笠原諸島では、少なくとも現在は北海道も含まれる。八丈島では、「くにぢ(国地)」が日本本土を指す。小笠原諸島に赴任した人達が、初めに面食らう言葉。 
《用例》1.内地に行った時に買ってくる。2.内地出張。3.内地在住旧島民。

内地ポスター 写真は「内地」表示ポスター

4. ぎょさん
 ぎょさん【漁サン】母島の漁業協同組合売店で売っているサンダルのこと。漁協(で売っている)サンダルの略。鼻緒と底が一体成型の合成ゴム草履。丈夫で滑らず、足に力が入れられるので、漁船の上で使われ、岡で履いていても違和感がないので、漁業者に愛用されている。岡だけで履いていても便利なので、漁業者以外にも広く使われている。鼻緒の跡だけ白く焼け残している足の甲を見ることも、母島では珍しくは無い。母島村民会館や村役場母島支所大広間など、履き物を脱いで参加する会場では、帰りに履き間違えられることも多い。元はこげ茶色、大きさも1種類だけだった。最近は、ぎょさんを履いていることが観光客同士での自慢となり、女性にも人気が出、サイズも2種類、色もピンク、白、ブルー等多彩になった。母島漁協だけでなく、父島の商店でも売られている。
{関連}びーさん【ビーサン】ビーチサンダルの略。

ぎょさん 写真はぎょさん

3.ちゃくはつ
 ちゃくはつ【着発】1.父島・母島間の定期船が時刻表の出港時刻より早く母島を出港すること。2.東京・父島間の定期船が父島に一晩も停泊せず時刻表より早い、入港した日のうちに出港すること。
<解説>着発は国語辞典によると、1.到着と出発。2.弾丸が目的物に届いた瞬間に爆発すること。(新明解国語辞典第5版)とある。小笠原村では、辞典の1.ではなく、2.に近い意味で使われている。定期船が到着して、人の乗降と貨物等の荷役が終了次第、直ちに又は出港時刻を繰上げ、早く出港することである。台風接近時や冬期の荒天時の母島で時にある。父島ではまれ。
《用例》本日のははじま丸は、海上模様が悪いため、沖港入港後、荷役終了次第、父島に向け着発で運航いたします。(小笠原村母島防災行政無線広報)

 定期船 写真は定期船おがさわら丸とははじま丸(左)

2.とじゅう
 とじゅう【都住】都営住宅。略称、住民票にも記載されている。小笠原村からの転入届を受理した市町村から「みやこじゅう」とは何かと問合せられることがある。都内と異なり低所得者用住宅ではなく、太平洋戦争末期本土に強制疎開された旧島民の帰島を目的に建てられ、旧島民が入居の第一優先順位にある。住民の大部分が住んでおり、村議会議員の半数が入居者で、所得による入居制限が無いため、建設業等の経営者も入居している。
《用例》住民票の記載例;小笠原村父島字奥村 奥村都住1-101
{関連}しょくじゅう【職住】職員住宅。国、東京都小笠原支庁、村役場の職員住宅。小中高校の教職員住宅をも含むことが多い。

 都住 写真は清瀬都住

1.まるひ
 まるひ【まるひ】フリーショップまるひ。父島にある日用雑貨土産品等を扱う商店名。写真の現像等もしている。「丸秘」ではない。
《用例》父島に赴任したばかりの公務員A「写真はどこに出せばいいのか」。先任の職員B「それはまるひです」。A「ぎょぎょ!怪しい写真ではないよ。美しい海やハイビスカスの花を撮ったものなのに、どうして丸秘なの?」。B「だから、まるひです」。A「???…」。
{関連}まるひの隣はアサヒ薬局である。

写真はおがさわら丸の見送り船