BROKEN's Advanced Vehicle Laboratory

3rd ROBO-ONE リポート

2.予選 (2003/02/01)

11:00からの開会式に引き続き、デモンストレーションのみの予選とチャレンジイベント(ROBO-ONE Stairs)が開催されました。ここでは予選の様子についてお伝えします。

エントリー93台中、出場は56台

今大会では、エントリー総数が93台で、実際に予選に出場したロボットは56台でした。ちなみに、私が数えた限りでは、予選でまともに歩行できたロボットは28台でした。出場を断念された方の多くはロボット製作が間に合わなかったのだと思いますが、「まともに歩かないけど見て欲しい!」という気持ちでロボットを持参した出場者も少なくなかったということがうかがえます。しかし、第2回大会の出場総数が50台であったことからみると、出場するロボットの数は確実に増えており、予選で上位16位以内にはいることがさらに難しくなったといえるでしょう。

ルールの変更点と審査基準

まずは第3回大会でのルールの変更点と、デモンストレーションおよび試合の審査基準について説明しておきます。今大会での主なルールの変更点は以下の表のとおりでした。

主なルールの変更点
第3回のルール 第2回のルール
参加資格 5歩以上歩けること 3歩以上歩けること
参加資格 横歩きができること (横歩きの規定なし)
足裏 足裏の最大長さは20cm以下 (具体的な数字は無かった)
足裏 吸引吸着装置の禁止 (規定なし)
試合 デモンストレーションには規定演技を含めること (規定演技なし)
試合 2分3ラウンド 3ノックダウン制 1分5ラウンド ノックダウン無制限 

今回のルール変更で最も大きかったのは、「横歩きができること」だったのではないでしょうか。というのは、横歩きを実現するためには、前後に歩くだけの機構より複雑な機構が必要となるからです。このルールにより、第2回大会で使用した機体に大幅な改造を加える必要に迫られた出場者もいたのではないかと思います。

デモンストレーションおよび試合の審査基準ですが、これは毎回、開会式でさらりと説明されるのでメモを取ることができずに困ることろです。ROBO−ONE公式ページに載せておけば良いだろうにと思うのは、私だけではないでしょう。

肝心な審査基準と配点は、デモンストレーションでは5人の審査員が各100点ずつ持っており、2分間のデモンストレーションで、歩行、屈伸、ボックスダンス、新しい技、技術力、デザイン等を評価します。(この評価項目と配分については聞き取れなかったので、詳しいことをご存知でしたら教ええてください。)試合も各100点ずつで、ラウンド取得数(60点)、技の美しさやパワー(10点)、自律性(10点)、積極性(10点)、マナー(10点)を評価します。したがって、決勝トーナメントの試合ではダウンを奪ってラウンドを制したとしても、デモンストレーションとその他の点数で逆転される可能性があります。(が、逆転した試合はありませんでした。)

(ほりさんからの追加情報 2002/02/10)

決勝トーナメントでのデモンストレーションの採点は、歩行時の速度および足の上げ方など30点、横歩き20点、屈伸10点、攻撃力10点、新しい動き10点、技術力10点、外装デザイン10点だったそうです。

予選結果

続いて予選の結果です。予選上位18名の順位と得点は、次の表のとおりでした。
(全順位と各ロボットの写真がROBO-ONE公式ページの第3回大会予選結果に載っていますので、そちらもご覧ください。)

予選上位18名と得点
予選順位 得点 Entry No. ロボット名 製作者名(敬称略) 第2回大会決勝順位
1 475 089 R-Blue 4.1 吉村 浩一 3位
2 468 005 Metalic Fighter 森永 英一郎 優勝
3 419 046 Brownie02 山口 雅昭 ベスト16
4 411 028 マジンガア こうじ -
5 409 070 Shilf-H2 井藤 功久 -
6 399 015 HSWR-02 中村 素弘 準優勝
7 389 031 剛王丸 II 津藤 智 ベスト8
8 382 060 Adamant-3rd 滝沢 一博 ベスト8
9 365 003 雑魚 山崎 文敬 -
10 358 021 GVZ-R01 坂本 隼人 -
11 356 023 FD改 下平 昌俊 -
12 351 071 A-Do 菅原 雄介 ベスト8
13 346 004 Lilac 2 柴田 善広 -
14 340 007 YOSHI 吉川 芳秋 -
15 339 033 Weird-7 かづひ -
16 331 057 九拳弐参弐豪 KUHP -
17 322 069 U-Knight しもささ よういち ベスト16
18 321 038 AAR-2 青木 英二 -
19位以下は省略

決勝トーナメントに勝ち進めるのは予選上位16台ですが、今回は予選4位のShilf-H2と予選11位のFD改が決勝トーナメントを棄権したため、17位のU-Knightと18位のAAR-2が繰り上げで決勝トーナメントに進みました。

第1大会、第2回大会とルールが少しずつ変わってきているので一概には比較できないのですが、第1回大会の予選突破ボーダーラインが246点、第2回が259点、そして第3回が321点となっています。第1回大会では満足に歩行できないロボットが予選を通過してしまっていたのに、今大会では安定した歩行ができて規定演技をこなしても、まだ予選突破に至らないくらい、参加者のレベルが上がってきていることがわかります。

ROBO-ONEの顔とも言えるR-Blueは第1回、第2回、第3回と3連続で予選を1位で通過しており、安定した強さと美しさは誰が見ても納得できるものだと思います。また、前回優勝のMetalicFighterも予選3位以下に50点近くの差をつけて予選2位になっており、今回の優勝候補の一角であることを強く印象付けています。

予選の注目すべきロボット

予選に出場したロボットは全部で56台ですから、これら全部は紹介できません。ここでは予選で私が注目したロボットを紹介します。順番はバラバラです。

たけぞう (Entry No. 44)

(ガンダムの)ザクの頭にちょんまげがついており、袴をはいています。歩行も起き上がりもこなしましたが、予選順位は20位で決勝トーナメントに残れませんでした。

召使い (Entry No. 40)

たけぞうは袴をはいていましたが、召使いは服とズボンと帽子までかぶっています。中身はベステクのフリーダムなのでしょうか? 外装をつけると仇になることが多いようですが、召使いはしっかり歩行をこなしていました。

M2 (Entry No. 78 )

M2の製作者Jin Sato さんはカナダからの来日です。M2には、CFRP製のボディやLinuxを搭載した制御ボード(L-Card)、自作のモータドライバなど、随所に非常に高度な技術が使われています。しかし、要素技術に力を入れすぎたからなのか、ソフトウェアが間に合わず、機体の紹介だけに止まりました。次回の大会ではその実力を見せてもらえることを期待しています。

雑魚 (Entry No.003 ) と YOSHI (Entry No.007 )

雑魚とYOSHIは、同じ基本パーツを使用した、いわば兄弟機です。雑魚はスカイブルー、YOSHIはパープルの塗装を施しており、どちらも決勝まで残りました。機体の基本スペックの高さが伺えます。他のロボットが比較的大きな足裏を使用しているのにもかかわらず、この2体は小さめの足裏を使用しています。 制御ソフトの中身はロボットの外見からではわかりませんが、予選のデモンストレーション時に、雑魚はCPG(※)により歩行パターンを生成している、との説明がありました。

※ Central Pattern Generatorの略。神経生理学の実験から考察されている、脊髄にあるであろうパターン発生器のこと。近年では神経細胞を数式でモデル化し、神経細胞同士の相互作用によりある種のパターンを発生させて、これをロボットの制御に応用することが一部で流行っています。(が、パラメータの設定が難しく、なかなかうまく動かないのが現状です。)

剛王丸 II (Entry No.31)と Adamant-3rd (Entry No.60)

この2機の共通点は、今大会からROBO-ONEに始めて登場したマスタースレーブ方式です。マスタースレーブ方式とは、人間(マスター)の動きがそのままロボット(スレーブ)の動きになる操縦方式です。この方式については技術動向のところでもう少し詳しく述べたいと思います。 私は、これからこの操縦方式が流行りそうだと予想しています。

Fischertechnik (Entry No. 48)

フィッシャーテクニクというのはLEGOのMindstormsのようなブロックキットで、これで歩行ロボットを作ったようです。 第2回大会のときは、Mindstormsを使ったロボットがありましたね。 倒れそうでいて倒れず、ちゃんと歩行できていました。私には、どうも顔が「先行者」に見えてしまいました(笑) < ネタが古い

Shadow (Entry No.08)

第1回大会で優勝した藤野さんのロボットです。ロボットの雰囲気はTA-17(陸戦五式?)そのままに、全身ラジコンサーボ、ボディはABS樹脂でフルモデルチェンジをしており、コンパクトかつ低重心で、格闘戦用ロボットであることが見て取れます。しかし、非常に残念なことに、(どんなトラブルだったのかはわかりませんが)デモンストレーション開始時にトラブルに見舞われ、調整している間にサーボモータが焼けたようで、棄権となってしまいました。控え室で動きを見せてもらったときには、このすばやい動きなら試合で負けるはずが無い、と思えるくらい良い動きをしていました。

Lilac2 (Entry No.04)

ABSのボディにエアシリンダーを装備した、ラジコン操縦で動く、オリジナリティあふれたロボットです。同じようなロボットが多い中、Lilac2にはある種のこだわりを感じます。炭酸ガスのボンベを背負っており、両腕に装備されたシリンダーから繰り出される連続パンチは、今大会に参加したロボットの中でトップでしょう。製作者の柴田さんには、今後もこのスタイルを貫いて欲しいところです。

Weird-7 (Entry No.33)

通称キョロちゃんです。このロボットのすごさは、斬新な発想と明確なコンセプトにあるといえるでしょう。ボディは木材で、大変シンプルなつくりになっていますが、起き上がりもこなし、さらには前転までやってのけます。材料費が安くて済むのも大きな特徴です。シンプルなつくりにもかかわらず、規定の演技をこなし、起き上がり、前転で実力をアピールした結果、決勝トーナメントに駒を進めました。

飛びぬけてスゴイロボット

R-Blue 4.1 (Entry No.89 )

R-Blueの何がすごいかというと、まずはデザイン。そして性能。ROBO-ONEの記事を書いているサイトを見ると、どこを見てもR-Blueの写真が載っているくらい、人気・実力を兼ね備えたロボットです。今回は3点倒立という大技を披露して、観客をあっと驚かせてくれました。 ロボットの名前がBlueなのに、今回は真っ白な塗装での出場でした。 

初期のR-Blueでは黒い機体に青色LEDが光っていたのですが、TVに移り栄えがしないとか、ガンダムチックにしたかったとか、そういう理由で白くなったようです。

Shilf-H2 (Entry No.70)

Shilf-H2は、とにかく小さいのです。いまのところ、世界最小のヒューマノイドなのではないでしょうか。ROBO-ONEに出場しているロボットの平均的な身長は、およそ30〜35cm程度なのですが、このShilf-H2は25cmくらいなのです。ROBO-ONEに出場するロボットの大きさは、多くの場合、使用しているラジコンサーボの大きさで決まっています。しかし、製作者の井藤さんは、制御基盤からモータドライバ、ギア、ボディにいたるまで全部自作して、ほかの人が真似できない小ささに仕上げています。 

Shilf-H2は小さいだけでなく、すばやい動歩行やジャンプ、切れの良いパンチもみせてくれます。 世界最小・最軽量、ジャンプもできるShilf-H2は、「究極」と呼べるのではないでしょうか。

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