『特別急行列車』の時代
= 待合室その3=惜別!キハ183系「ゆふデラックス」(前編)
今回久大線から引退してしまったキハ183系1000番台の始祖は1988年(昭和63年)3月に鹿児島線、長崎・佐世保線で運転開始した「オランダ村特急」である。その後、1992年(平成4年)7月に久大・日豊線経由博多−小倉間の「ゆふいんの森U世」に変身して大分地区にデビュー、東急「雨ガエル」を彷彿とさせる緑一色の姿で由布院への観光客を運んだ。1999年(平成11年)から2004年(平成16年)まで、いったん大村線の「シーボルト」に出稼ぎに出たが、再び久大線に戻って今度はワインレッドの「ゆふDX」となり、2008年(平成20年)3月には山吹色(プレミアムイエロー)に装いを改めている。この色は、夜のホームなどで見ると宵闇にとても良く映え、キハ183系の歴史の中で一番似合っていたように思える。
昨年10月に発表された特急「ゆふデラックス」の久大線からの引退、豊肥線熊本口へのコンバートは晴天の霹靂であった。豊肥線といえども熊本−宮地間の運転では、大分地区ではこの列車の姿を見ることが出来なくなる。JR九州には珍しい高運転台も魅力的だったこのプレミアムイエローカラーによる「ゆふDX」、引退発表後はこの列車の撮影に多くに時間を費やした。
<向之原駅での「ゆふDX」と「ゆふいんの森」の交換>
「ゆふDX」は博多−大分間を毎日1往復半するが、車両が1編成しかないため、その日のうちに始発駅に戻ることが出来ない。従って、偶数日と奇数日では異なるダイヤによる運転スケジュールとなっていた。
このうち、奇数日の運転では、久大線向之原駅で「ゆふDX3号」が「ゆふいんの森4号」と交換するダイヤが組まれており、まずはこれを狙った。
15時10分頃、まず博多からの「ゆふDX3号」が到着(営業停車)。以前は2駅隣の小野屋に停車していたが、その後、向之原停車に変更された。

反対側から大分発の「ゆふいんの森4号」が来て一旦停車後すぐに発車する。同じ特急でも「ゆふいんの森」の方が格が上のため、こちらは運転停車である。

15時14分、大分に向けて発車する「ゆふDX3号」。

日を改めて、ホームから撮った向之原駅でのすれ違い。

夕刻大分駅を出発する「ゆふDX6号」発車前の4号車パノラマシートにちょっとお邪魔してパチリ。

パノラマシートの後ろはフリースペース。後方の客席と仕切るのれんと木製の桟が目立つ。右手前に運転席に入るドアがある。

17時51分、宵闇の大分駅高架ホームを発車、博多に向けてスタートダッシュする「ゆふDX6号」。お気に入りの夕景写真だ。
<向之原→大分、特急「ゆふDX3号」16分間の旅!>
年が明けた1月5日、「ゆふいんの森U世」以来のキハ183の体験乗車をしようと向之原へ。大分発14時31分の久大線列車に乗り、14時51分に向之原に到着。何度かの撮影で顔見知りになった駅長から指定券を購入する。向之原→大分間は運賃280円、特急券は自由席で300円だが、これだと列車名が入らないので500円を追加して指定席特急券を購入する。

使用した特急券と乗車券、それに「ゆふレディ」が車内で配布した記念乗車証明書の表と裏。

15時10分すぎ、お待ちかねの「ゆふDX3号」が到着 ここで上り「ゆふいんの森」と交換する。
この編成前後の先頭車にある展望パノラマシートを利用するには指定席特急料金にさらに200円をプラスしなければならないが、廃止目前ということもあってか、車掌や「ゆふレディ」も大目に見てくれており、自由席の客が出入りしてもとがめられることはなかった。

先頭車のパノラマシートに到達。室内には数人の乗客がおり、楚々とした「ゆふレディ」が乗客の応対をしていた。

しばらくすると上り「ゆふいんの森4号」が姿を現した。あちらは運転停車で、一旦停車してすぐに発車して行った。

最後部に行くとちょうど車掌が後部運転室から出てきた。運転席内部を見せてくれるよう頼むと、ちょっとだけならとOKが出た。

階段がないのでペダルを踏んで身体を持ち上げ、運転席のパイプ椅子にしがみつくようにして片手でカメラのシャッターを切る。

さらによじ登るとまっすぐ伸びるレールも見えた。さすがに運転席に座ることまでは許されそうもないのでこのあたりで我慢。

右側を見るが、パネルがあるだけで助手席らしきものは存在しない。完全にワンマン運転専用に作られたコックピットだ。

左側の壁面にも何やらスイッチがあった。

全体の雰囲気はこんな感じ。(コックピット内写真はデジタル11ミリ広角レンズ使用)今はもうほとんど見かけなくなった電話ボックス程度の広さか。