1997年の夏は激動の日々だった・・・
今、こうやって当時のことを振り返ってみると、レオナルド自身はミランへの移籍に何の異存もなかった、むしろ大きなチャレンジと感じていたようです。ただ、自分ひとりで決められることではない、パリとの契約を残している為にクラブ間の話し合いが最終決定になる・・だから、自分は決定に従うしパリに残ることになってもパリのことは好きだからいいよ・・・というようなニュアンスだったことが良くわかります。でも、記事を追っかけていた私はレオの気持ちを今ひとつ掴みかねて疲れ果ててました^^; 個人的にはミランに移籍して欲しくないという気持ちがあったためにかなり自分勝手に解釈しようとしていたわけで・・・なぜかと言うと、このオフにロベルト・バッジョが追われるような形でミランを出たといういきさつがあったから^^; あの「厳しい」ミランへワタシの弟クンを出していいものであろうか・・・いじめられないだろうか?ジョルジーニョ兄さんもライー兄さんもいない・・・あぁ〜、心配だぁ〜!
というようなわけで「私にとっては激動の日々」でした。

そんな1997年の夏の話です。


ボリビアでのコパ・アメリカが終わる頃から「レオナルドはパリを出るのではないか」というウワサが出てきた。このコパでレオナルドは好調ぶりをみせつけていた。ブラジルの10番としてレオナルドは勝手知ったるセレソンの仲間とPSGでのプレーとは一味違ったプレーを見せ輝いていた。それが欧州の他のクラブの目にとまらないわけはない。そして、バカンス明けでパリに戻ってきたレオナルドの周辺は急に騒々しくなって行く。

7月22日付け  レキップ紙

「レオナルドはミランを選んだ」  レオナルドにバルセロナとミランからオファーが来ているという話が明らかになった。

7月23日付け  レキップ紙

レオナルドのインタビューから 

「ミランと僕の間にはほとんど何も問題はないのだけど、ミランとはサインをしなかった。僕には権利はない。ミランの幹部ともバルセロナの幹部ともコンタクトを取った。でも、クラブ間の問題は僕のかかわるところではない」
「最終的にウイというのもノンというのもドゥニソ会長(PSGの)だと思っている」
「ミランやバルセロナのようなクラブチームの誘いを断るのは難しい。プロとして大きなチャレンジになる。パリに残ることを含めてすべての可能性を考えている」
「パリを出ることは考えたことがなかった。こんなオファーが来るとは思っていなかった」

というような話が新聞に出るようになって、さらにはイタリアのスポーツ新聞「ガゼッタ・デロ・スポルト」の一面にレオナルドが出たりして・・・なんだかレオナルドが手の届かない存在になって行くような気がしてきたものだった。
毎日のようにガゼッタ・デロ・スポルトにも移籍の話が出ている。しかし、なかなか決定しない移籍、または「移籍破談」。フランスではシーズンが始まってしまった。イタリアもまもなく開幕だよー。

レオナルドがミランのガリアーニ副会長と食事をした・・・
移籍金で折り合いがつかない・・・

毎日、こんな話ばかり。言葉のわからなさも手伝ってイライラする日々。日本に来るレオナルドに直撃インタビューだ!なんて冗談も言っていた・・・。

その日本に来る前のインタビュー。

8月8日付け  レキップ紙

(欧州のビッグクラブから注目されているけど、何が変ったのか?)

「僕にチャンスがやって来た!ってことだ。僕がトップレベルのクラブでプレーをしてブラジル代表でもプレーをしているからだ。94年は肘打ちで退場になって自分でも何が起こったのかわからなかった。あの頃はついていなかった。決勝に出られなかったことはとてもつらかった。でも、今、もう一度チャンスをつかんだんだ。今度こそ放したくない」
「一ヶ月ぐらい移籍交渉の話が続いている。移籍はチャレンジだろうが、僕はパリにいることに満足している。でも、僕にも向上心がある。ミランのようなクラブからオファーがあればいろいろと考えるよ。それは普通だよね」
「僕の移籍問題は3つのクラブの話し合いに任せている。僕はどこでも良いからプレーをしたかった」

(代理人を持たないのはなぜ?)

「それは僕の性格で、何でも自分で知らないと気がすまないからだ。エージャントがいたからといって問題が解決できないこともある。それに、家族の将来のことを決めるのは自分自身だってことを忘れてはいけない。エージェントは子供のことや引越しのことなんて考えてくれないから」
「もう終わりにしてくれ!ってクラブに言ったよ。一ヶ月っていうのは長すぎる。立場を明らかにして欲しい。」

(PSGに残るなら給料を上げてくれと交渉したか?)

「契約書があるんだから、ファンやフロントが残って欲しいと思うなら残る。お金の追加を要求したことはない。僕はこういうことを利用するようなタイプの任伝じゃない。何もほしくはない」

セレソンのアジア遠征からパリに帰ったレオナルドを待ち受けていた試合は、4点差で勝たなければチャンピオンズ・リーグ出場が夢と消えてしまうというステアウア・ブカレスト戦だった。

8月27日付け  レキップ紙

「自分でも良くわからない。とても複雑なんだ。2つのクラブの間で決着をつけようとしているみたいだけど、もう決めなくてはならない。僕は今、自分のサッカー選手としてのキャリアでも、自分の人生でも、特別な時を生きている。彼らの議論は次から次への変る。僕は早く終わらせるように急がせた。僕が去ろうと去るまいと、今夜はPSGに勝ち上がりをプレゼントしたい」

そして、このブカレス戦で奇跡を演じてから、移籍話は一挙に終わりを迎える。

8月29日付け  ガゼッタ・デロ・スポルト

・ガリアーニACミラン副会長
   「レオナルドが来る可能性は50%」
・デニソPSG会長
   「出て行きたいという選手の意思を無視してチームに引き止めたりはしない」
・シーモーネ(このシーズンにミランからPSGに移籍)
   「PSGにとっては彼が去っていくのは残念だけど、彼のような選手はミランのユニフォームを着るべきだ」 
・レオナルド
   「移籍の実現が難しいのはわかっている。でも45日も交渉を続けているのは長い。たぶん、複雑なことがあるんだろうけど。でも早く決めたことを知らせてほしい。もし、来週中に移籍が実現すれば、モンツァに行ってF1イタリアGPを見たい」(あらあら^^;)

フランスでは奇跡のスタアウア戦の後ということでレキップ紙の一面を飾ったのが・・・

「レオ、我々のところに残ってくれ!」

ところが、日本時間8月30日早朝、現地時間の29日夜、レオナルドのミラン移籍が正式に決定。

8月30日  レキップ紙

「移籍が決まって嬉しい。」
「ここパリは本当に居心地が良かった。でも、この二ヶ月は長かった」

(ブカレスト戦の後での急展開について)

「秘密の会合なんてないよ。僕の移籍よりもチャンピオンズ・リーグへの勝利の方が優先した。デニソ会長の要請でブカレスト戦に出ることになった。続いてミランとの話し合いで2日間で合意に達した」
「監督のリカルドが僕を残そうとがんばった」

「ミランはとても強い。伝統もあるし、でも、一番重要なのはカペッロ監督が「僕を必要だ。他の人じゃダメだ」と繰り返し言ってくれたことだよ。これが僕の心を動かしたんだ」

「僕は自分の自由な考えを持てた。お金のことは重要じゃない。考えられないようなクラブを選べるなんて僕にチャンスが振ってきたと思った。僕のモチベーションは新しい賭けに成功したいという感情だ。人生ではいつもより高いところを目指さなければならない。もし成功したら、さらに素晴らしいでしょう。」

8月31日、パルクでファンと選手に別れを告げ、9月1日、レオナルドはミラノへ旅立っていった。ミランでの背番号は30番。にこやかに記者会見をするレオナルド。フランスへ行ったときに話題になった語学力には「スペイン語」「ちょっとの日本語」に「フランス語」が加わっていた。インタビューは何語が良い?と聞かれスペイン語でインタビューに答えていたレオナルド。

そして、翌日、レオナルドがパリのサポーターに宛てた公開書簡がパリジャン紙に掲載された。

「人生ではしばしば自分でコントロールできないことが起きるものです。今回の決定もやむを得ないことでした。僕はPSGでしたように、ミランでもまたもうひとつの大きな挑戦をしたい。僕はピッチの上で自分に送られた声援に値するような活躍が出来るように願っています」

また移籍後のインタビューではこんな話もしていた。

「お金のために行ったと考えている人がいるのは分かる。確かに僕のふるさとのブラジルでは問題も多い。世界中にはお金に困っている人たちがたくさんいるのは知っている。彼らにとって将来は暗く、見通しもない。僕がたくさんのお金を得たのは皆が知っているけれど、この僕が何を言えるだろう? 僕が16歳でサッカーを始めたときにはお金のことなんて全く考えていなかった。夢を見ていたんだ。満員のスタジアムでフラメンゴの選手としてプレーする夢を。サッカーでお金のことを考えていたら、ピッチの中では絶対に成功しないだろうね。」

「サッカーは商売ではない。そんなのは本当じゃない。スポーツは音楽のように感情も大切。僕が感じていることをどう表現するか?が大切。たとえば空を見上げるときに愛情のこもった目で見るでしょう。?ほら分かるかな? サッカーも同じだよ」

こうしてレオナルドの新しい挑戦が始まった・・・。


弟思いの姉としては、ミランの偉大なる諸先輩たちとうまくやって欲しい、イタリアの辛らつなメディアの餌食にならないで欲しい、ミランの成績がレオナルドの位置を脅かすようなことにはなってほしくない・・・・この移籍はワールドカップに出たいというレオナルドに不利にはならないだろうか・・・心配だらけ。でも、ファンとしては応援するしかないのよねぇ〜・・・・・・・・だから、今まで以上にがんばれ!と厳しいことを言う姉にもなるのであった。

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