
移籍話が持ち上がってから約一ヶ月、7月15日にレオナルドはパリに到着。スペイン語、英語と日本語をちょっと^^;話すレオは知性豊かで礼儀正しいプロフェッショナルとして、ジョルカエフ移籍で攻撃陣が手薄になっていたパリ・サンジェルマンで暖かく迎えられた。しかし、するどいパリのサッカー・ジャーナリストからは「なぜ、日本に行ったのか?」とのツッコミも記者会見で出た。レオナルドの選んだ道はちょっと風変わりだと・・・。レオナルドは、
「日本は非常に人情に満ちた国でいい経験をした。偉大なサッカー国ではないけどレベルも並ではない。技術的にも自分がそこですごした時間は無駄ではなかった」
ときっぱり答えていた。レオナルドは会見を終えると、その足ですでに始まっていたPSGのキャンプに合流。レオナルドにシーズン・オフはない・・・。
8月11日、新しいシーズンの始まり。PSGはアウェイでストラスブールとの試合を迎えた。レオナルドはライーとロコをFWに置いた中盤の左で登場。前半35分にシュートのこぼれ球をDFふたりを交わしてシュート。PSGはこの1点で開幕戦を飾った。レオナルドのコメントは
「バレンシアでも鹿島でも最初の試合にゴールをあげたので、これは良いきざしだ」
レオナルドのパリでの生活はこんな風にして始まった。そして、8月の末に行われたロシアとオランダとの親善試合には呼ばれるという移籍効果?も早速現れた。セレソンの試合では10番をつけ活躍。約一年ぶりに選ばれたことが本当に嬉しかったようだ。
「10番のポジションで自由にプレーさせてもらえたことが嬉しかった。フランスへ行くチームはまた違ったものになるだろうけど、自分もそのひとりとなれるように期待しているよ」
レオは小さなケガには悩まされることはあってもすっかりパリの選手として欠くことのできない存在となっていった。(事実、レオナルドの調子が落ちるとPSGは勝てなくなるという状況がこのシーズンの問題でもあった。) ポジションはロコをワントップぎみにおき、ライーとレオナルドが第2アッタカー的に攻撃に絡んで行くという布陣が成功し、PSGは「秋のチャンピオン」としてシーズンの半分を折り返すことになった。(11勝2敗6分 レオナルドは7得点)
このシーズン、パリはカップ・ウィナーズ・カップでも戦っていた。まず最初に迎えた山場はガラタサライ戦。10月17日、イスタンブールでのアウェイ戦はブラジル代表の招集がありレオナルドは出場出来ない。パリは4−2で試合を落としてしまう。次の試合は2点以上の差で勝たなければならない非常に厳しい状況に追いこまれしまった。ホームの試合は10月31日。在欧州のトルコの人たちも多数駆けつけたパルク・デ・プランスは異様な雰囲気に包まれていた。立ち上がり10分、いきなりレオナルドの前のスペースにボールが転がってきた。敵からの絶好のセンタリングになったボール。レオナルドは走りこんで左足でシュート! 先制! そして、前半の24分、ゴール前30メートルの位置からレオナルドのFK。バルデスが見事ヘディングでシュートを決めた。前半はレオナルドの1得点、1アシストで2−0。後半もレオナルドのアシストでロコが得点をあげ、ライーの追加点もあって4−0で勝利。準々決勝にコマを進めることが出来た。レオナルドのコメントは
「試合前にどうしてみんなが悲観的になっていたのかわからない。2点のビハインドは厳しかったけれど、負けるとは思っていなかった。チームとして攻撃陣の4人が一点ずつとれたのは良かった。」
リーグ戦の方は首位で冬休みを迎えたいところ。レオナルドには練習中にGKと激突をして顔をケガしたり、試合中に低血糖で気分が悪くなったりと散々な出来事が続く。チームも折り返してから1勝2負2分とさえない。最悪なのはレオナルドが12月8日の練習中に肉離れをおこしたこと。全治6週間。順調に回復をしても1月15日の欧州スーパーカップのユベントス戦からの復帰となってしまった。
「ついてない。こんな肉離れは初めてのことだ。これでバカンスも台無しだし、どうやってこのケガに対応したりいのかわからない。思ってもみなかったことだ」
とレオナルドにしては珍しく弱気でイライラしたコメント。
年が明けてレオナルドにとって、最も印象的な試合になってしまったのが欧州スーパーカップのユベントス戦だった。どんな試合であれ優勝すること、勝つことを義務づけられ精神的にも強いユベントス。かたやパリはバカンスとそれに続く暖かい地方でのキャンプ明け。結果は6−1というホームではあってはいけない惨敗。レオナルドはケガのためほとんどの時間(後半20分に交代出場。すでに試合は決まったも同然だった)、ベンチからこの試合を見ていたわけだが、後に「この試合で受けた精神的ダメージからなかなか立ち直れなかった。リーグ戦への影響も大きかった」と話している。
PSGは年明けから連勝することが出来ない。レオナルドもポジションが若干変った部分もあったとはいえ無得点。イヤなムードが漂よう中、CWCの方は準々決勝でAEKアテネを破り準決勝の相手はリバプールと決まった。リバプールはプレミア・リーグの強豪でお金持ちチーム。選手もマクマナマンをはじめとして有名人が揃っている。簡単に勝てるわけはないというのが大方の予想だった。
しかし、4月10日、パルク・デ・プランスで行われた第一戦では、パリは相手のお株を奪うような攻撃を見せ3−0で勝利した。レオナルドも大活躍。この日はロコと2トップを組み、中盤とともに高い位置からプレッシングをかける作戦だ。コーエをはじめとした中盤が走り回ってリバプールのサッカーをさせない。開始11分、PSGの猛攻が続く中、リバプールのDFラインの裏へ出たロングボールをレオナルドが折り返し、受けたロコからルロワへ。ルロワがゴール前に上げたセンタリングをGKジェイムスがパンチングでクリア。しかし、このボールが再びコーエのもとへ。コーエはゴール右にいたレオナルドにパスを送り、レオナルドはすかさずシュート! レオ自身、半年ぶりのゴール。大喜びのレオナルドはもうほとんど壊れている状態^^; ファンのもとに駆け寄って喜びを爆発させる。この後、リバプールの時間帯になることはあったが、43分にレオナルドのアシスト(ヘディングのアシスト!)でコーエの追加点が生まれた。
後半に入って最初のチャンスはリバプール。しかし、マクマナマンのヘディングゴールはオフサイドで取り消し(実はオンサイドだったとか^^;)。しかし、このピンチを脱したPSGは残りの時間帯を自分たちのペースで過ごし、最後にはルロワの駄目押し点で3−0の勝利! 決勝が見えて来た。相手はロナウドのいるバルセロナか、バティのいるフィオレンティーナか?
準決勝の第2戦は防戦一方となり、スコアも2−0となり、パリのファンは地獄を見たような気分を味わった。レオナルドも屈強はリバプールDFにつぶされている・・・。しかし、耐え忍んで決勝に進出。相手はバルセロナに決定。
しかし、この決勝がなんとも不完全燃焼の試合になってしまった。パリに多くのチャンスはなかった。それでもレオナルドに訪れた2度のチャンス。レオナルドはうまくシュートを打つことが出来なかった。そして、パリはロナウドのPKによる1失点で負けてしまった。表彰式の間、涙が止まらないレオナルド・・・。
挽回のチャンスはある、そんなに圧倒されているわけではない、と思い続けながら応援をしていた者の気持ちとプレーをしていたレオナルドの気持ちも同じだったようだ。「わたしはずーっと勝てると信じていた。試合が終わってとても悲しかったから、がっかりして、思わず泣いてしまったんだ。でも、このチームのファイティングスピリットは素晴らしいよ。次ぎのマルセイユ戦のことを考えないとね。でも、たいした問題じゃないだろう。わたしたちはこのバルサ戦でたくさんのエネルギーを残してしまったから」
レオナルドの次の目標はリーグ2位となってチャンピオンズリーグへ進出すること。その決定はリーグ最終戦まで持ち越されてしまった。レオナルドの心境はいかに・・・?
「運命を決定する重要な一戦。ナント対モナコの結果にかかわらず、わたしたちはストラスブールを破らなくてはならない。チームとサポーターに対する名誉の問題でもあるからね。UEFAカップとCWCには出たことがあるけど、チャンピオンズ・リーグには出たことがないので、是非、戦ってみたい」
「(なぜいつもポジティブなのか?と聞かれて) どうしてって訊ねられても、わたしはずっとこんなふうだからね。対立する状況に出合ったときにポジティブな見方する傾向があるのは本当だ。もしエッフェル塔が気に入らなければ、ルーブルへ行けば良いのさ。わたしの妻はもっとポジティブだけどね。とにかく、何があっても、大声でわめきちらしたりはしない」
「わたしに対してファンが言いたいことがあるのはわかっている。でも、フロントも選手もファンも私に敬意を払ってくれていると感じている。結果を出さなければ契約は完了しない。タイトルなしではPSGを去りたくない」
5月25日、CL出場権であるリーグ戦2位を目指して、ホームにストラスブールを迎えたPSG。2位争いをしているナントはモナコで試合。PSGはレオナルドも含めて(~_~メ)前半のチャンスをつぶしていく展開。0−0のまま前半終了。後半になり、PSGの動きが良くなったかのように見えたのですが、FKから失点。2位獲得に暗雲が・・・。しかし、勝負はゲタを履くまでわからない^^; 69分に同点に追いつき、88分にゲランのシュートで2−1の勝利! 後はモナコでの結果待ちだ。モナコとナントは引き分けのままロスタイムに突入。ナントは最後のチャンスに賭けます。ゴール前のFKにGKも上がってきた。しかし、このCKのボールをキャッチしたモナコのGKバルデスが前線にいたアンデルソンにロングスロー。無人のゴールへ向けてドリブルするアンデルソン。後は冷静にシュートをするだけだった。
こうして手に入れたCLの出場権。8月には予備選が行わることになってた。レオナルドはそれまでの間も試合の連続だ。ブラジル代表での試合が続き、さらには日本、韓国への遠征が続く。そして、この時には露程も予感がなかったことが持ち上がった。トゥルノワ・ド・フランス、コッパ・アメリカでの活躍ぶりのおかげで欧州の別のクラブから注目されるようになり、移籍話が出てきたのだ。(「パリからミラノへ」を参照)
そんな移籍騒ぎの渦中で来日。しかも、その間に行われたCL予備選、ブカレスト・ステアウアとの第一戦には出場ができない。そして、その試合がとんでもないことに・・・。PSGは試合に勝ったのだが、累積警告で出場停止の選手を出したという失態。0−3で負けという裁定が下った。いくら次の試合がホームでも4点以上取ることは難しい。守ってくる相手にどうやって4点以上取るのであろうか?
8月27日、試合当日に出たインタビューから。(リカルド監督のレオナルドに対する気持ち「レオナルドがチームにもたらす全てに、レオナルドが観衆の前で演じる全てに期待しててスタメンを選んだ」について)
「ジーンときちゃうね。チームメートが自分のことを考えてくれるのがうれしい。チームの中で自分が重要なんだということを感じている」
「期待の高さは感じていている。4−0で勝たなければならない試合をしようなんてはじめてのことだ。でも、恐くはない。この事件を知った時にはびっくりしたけど、みんなが反対に奮い立ったんだ。ファンタスティック! 素晴らしいゲームになるぞ!って」
「点も取りたいけど、ゲームメイクをしたい。フォワードのふたりに休む暇なくパスを供給したい。それでさらに自分で点を取れたら、もっと良いけど」
(前のシーズンのPSGでの役目と違って、今回は2人のFWの後ろで自由にやれること・・・コパでのブラジル代表と同じ役目になることについて)
「気にいっている。自分は少しフォワード的なところもあるし、今回はもう少し前でスペースを探すことになるだろう。僕は後方から発進して、ゴールまで走り得点することができる。僕は休みなく、得点への道を開く方法を探し続ける」
「もし勝ったら、ひとつのタイトルに等しい」
満員のパルク・デ・プランス。パリのサポーターを前にPSGは奇跡を起こした。前半が終わった時点で4−0。 得点はライーが2分、23分、このシーズンにミランから移籍してきたシモーネが32分、そしてモーリスが42分。そして、後半にライーの駄目押し5点目が入って5−0で勝利! レオナルドは4アシストと大活躍だった。まったく、次から次にドラマチックなことをやってくれるチームだ、PSGは。
レオナルドは得点こそなかったが、大活躍で試合前の言葉どおり「PSGに勝ち上がりをプレゼント」。そして、この8月27日の試合がPSGとしての最後の試合となった。
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