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セリエA観戦はいったい何試合目だろうか? 今までに訪れたスタジアムは、デッレ・アルピ、サン・シーロ(ジョゼッペ・メアッツァ)、リナート・クーリ、ルイジ・フェラリス、オリンピコ、アルテミオ・フランキ・ディ・シエナ、アルテミオ・フランキ・ディ・フィレンツェ、アトレティ・アッズーリ・ダイタリア、ロメオ・メンティの9スタジアムかな!? メッシーナのスタジアム、サン・フィリッポが記念すべき10スタジアム目だ。 しかし、事前にこれほど何も調べなかったのは初めてだ。チケットの値段も交通手段も何も調べなかった。サン・フィリッポが今シーズンからの新しいスタジアムで情報が少ないと言うこともあったけれど、ホテルで聞けばいいや、なんとかなるわと言ういい加減な気持ちでいた。カルチョどころかサッカーを生まれて初めて見る友だちを連れて行くのにこれでいいのか? 不安な態度はしめさないようにしようっと(^^;
試合当日、スタジアムへはどうやって行くの?とホテルの人に聞いたら「タクシーで行くしかない」」と言う。こういう場合、問題になるのは帰りだ。流しのタクシーがほとんどないから呼ぶしかないのだが。携帯電話もないし、最近は携帯の普及で公衆電話も少ない。それに、イタリア語が出来ないのにどうやって呼ぶんだ!? でも、こういうことってこっちの人は心配してくれないというか考えてくれないんだよね。私がホテル勤めだったら、なんとか方法を考えてお客様にご案内すると思うが(^^;
とりあえず、親切そうに無線タクシーの電話番号をメモってくれた。グラッツェ! 今までも何とかしてきたから、なんとかなるだろう。問題は、日が落ちるのがすっかり早くなったきていることだ。暗い中、知らないところを歩くのはいやだな。
試合まで2時間もあったけれど、タクシーで出発。カターニャから来た道を逆に走っていく。そして、スタジアムの「ス」の字も見えないところで、「ここから歩いていくか? 高速に乗って回っていくか?」と訊かれた。歩いていくほうを選択した。帰りはきっとここまでこないとタクシーを呼べないだろうし。見れば歩いている人も多い。バイクや車をどこかに駐車して歩いているのだろう。人が増えるにつれ、「ヤナギサワ、ヤナギサワ」という声がかかる。ナカタ・コールを経験したことがない友人T子は、あまりにも言われるので笑っている。
しかし、スタジアムはどこだろう? ダラダラと坂を登っていくが姿が見えない。もう10分は歩いたぞー。1キロは先だろうか? なんとなくエコパを思い出した。結局20分ぐらい歩いてスタジアムへ到着。山を切り開いたところに作ったようだ。屋根もないシンプルな作り。本当に4万人、入るのだろうか? 前の鹿島スタジアムぐらいの大きさに感じる。サッカー専用だからピッチは近い。でも、残念ながら私の席はサッカーは見やすいが写真には遠い位置だ。すいていれば勝手に移動してしまうけれど、今日はダービーだ。そうはいかないだろう。
すでにレッジーナのティフォージは檻の中に入れられている。白いカッパを着ているのか? なんだか白装束のようで不気味。徐々に応援合戦が始まる。あまりにも大きな声に友人T子はびっくりしている。
試合開始30分ぐらいになって両チームの練習が始まった。スタメンだけだ。俊ちゃんはいるがヤナギはいない。カメラを持って前の方へ移動して見ていた。そばに立っていたおやじが「ナカムラかヤナギサワか?」と訊くので「ヤナギサワだ!」と言うと嬉しそうであった。
さて、試合である。
ん〜、キックオフから前半は退屈だった。レッジーナの方が少しはマシかなと言う程度でどちらも攻撃の形になってないように見えた。メッシーナはなんか間延びしている。暇だから友だちにオフサイドの説明をしたりしていた。なんとなく先制されそうだなぁ〜と思っていたら失点。0−1である。「あぁ〜」とため息をついてみせてから、友だちには「メッシーナとしては良くないけど、ヤナギのファンとしては、この方が出場チャンスがあるので良い」と小声で説明。ん? 小声で言わなくても誰もわからないって!
ハーフタイムのアップが始まった。レンズ越しにヤナギを見つめる(^^; 髪が長い。日本代表に呼ばれてないことがよくわかる。パチパチと写真を撮っているうちにハーフタイムが終わってしまった。後半はドキドキである。いつ試合に出られるだろうか?
後半開始から、メッシーナは選手交代をした。枠は後ふたつ。ムッティ監督はどうするだろうか? メッシーナは前半より攻め込む回数が増えたけれど得点に結びつかない。わりと静かに観戦していた私の周辺の人たちもイラだってうるさくなってきた。不満が高まるのはわかる。私も不満だ。早くヤナギを出してくれ!後半開始間もない時間からメッシーナは控え選手のアップが始まった。こういう風に全員でやられると次が誰かよくわからない。ウォーム・アップを黙々と続けるヤナギが気になって試合が見られない。スッロがケガをしたのも気がついていなかった(^^; 「ヤナギが呼ばれた!」と友人に言う私。他の観客もその様子は見ていたようで、あぁ〜、ここから私の悲喜劇が始まったのだった・・・・。
私の横の席には息子づれの男性がいたのだが、いきなり、私に向かって「フォト、フォト」とイタリア人のバカでかい声で言うのだ。その声で周辺10人ぐらいの人の視線が私たちに集まる。ひぇ〜・・・。カンベンしてくれ。ヤナギサワ、ヤナギサワと大騒ぎである。これってヤナギに対する期待なのか、私をからかっているだけなのか? 少し疑問を感じたが、前者だということにしておこう(^^;
ヤナギがボールタッチする度に大歓声が起きるが、「フォト、フォト!」と騒がれる・・・・。かえって写真が撮れないよ。試合にも集中できない。お願いだ、黙ってくれぇ〜、おじさん。しかし、すっかりテンションが上がってしまったおじさんは・・・・・止まらない。
FKを得てゴールが決まった。立ち上がって大喜びだ。こうなったら周囲の雰囲気はオセオセである。俊ちゃんもいない。相手にFKを与えても恐くない。 それにしても、ヤナギのポジション・・・・。大変だ。左サイドに張っているが相手ボールになると、ほぼDFラインまで下がってくる。すごい運動量である。しかも、メッシーナのボールになって上がろうとすると、ヤナギをマークしている選手がシャツをひっぱっているのである。まだ、ボールがヤナギのところに来てもいないのに。しかも、ヤナギ、振り回されている(^^; 負けるな、日本の男の子!
レッジーナのFKがゴール近くであった時、ヤナギは「イタリア人」のようなジェスチャーでチームメートに何か言っていた。おー、すっかりイタリア! しかし、ヤナギがボールを持つとドキドキしてしまう。ミスをしたらどうしようかと思う。余計なお世話だとは知っているが、まわりの期待と好奇心をヒシヒシと感じて平静ではいられない。
決勝ゴールに結びついたシーンは得意のパターンだ。綺麗にクロスが上がると信じていた。そしてそこにぴったりの選手が! やったー!!!!! またまた立ち上がって大喜び。まわりの人たちが私に向かって大きな大きな笑顔を見せてくれた。前の席に座っていたマダムとハグ! しばらく立ったまま大喜び。しかし、フォト、フォト・コールは終わらない。でもさ、メモリーカードがフルになっているのよ・・・・。とほほ。
後はこのまま終わって欲しい気持ちとヤナギのゴールが見たい気持ちで見ていたが、やってしまいましたね、ヤナギ。あの絶好のチャンス。はずした瞬間に、又、いっせいに私を見て口々に何かを言っている人たち。何を言われているのかわからなかったけれど、きっと「決めてくれよー」ぐらい言って私をからかっていたのであろう(^^;
4分もロスタイムがあって試合終了。帰る道すがらも「ヤンギサワ、ベーネ!」などと褒めまくられて私はご機嫌であった。
さて、どうやってホテルまで戻ればいいのだ? とりあえず、ダラダラと坂を下りてタクシーを降りたあたりまで戻ろう。近くにマックがあったはず。しかし、マックに電話はなかった。うーん、もうちょっと歩こう。バールを探そう。まだかなりの人が歩いているのが救いである。しかし、日は暮れてしまった。あれ、バスが走っているぞ。なんだよー、スタジアム往復のバスがあるんだ・・・。ホテルの人のいい加減なこと! バスは渋滞につかまって動いてなかったから、合図して乗せてもらおうとした。しかし、運転手さんがNO!と言っている。ケチ!
歩いている人も少なくなってちょっと心細くなってきたところでバールがあった。「タクシーを呼んでください。私はイタリア語が話せません」と怪しいイタリア語でお願いしてみた。お店のおばさんが公衆電話からかけてくれた。タクシーが来るというのでホッとして、グラニータと水を買う。道路わきのテーブルに座っていたら、通って行く人たちが、また、「ヤナギサワ」と声をかけていった。渋滞していたためタクシーが来るのに時間がかかったが、無事にホテルに帰りつくことが出来た。
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