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2003年6月
: 兼題 「ガラス」

 

Benちゃん'S Pick Up

  梅雨空に鳩羽を映す摺硝子   ナカハラ

空、鳩、硝子…、ダーク・グレイのポエジー。 お見事 !!   by べん



●その他の作品

【ガラス】
kizu:
  〈 ガラスの三形態 〉

  持ち去れるガラスのなかに骨太の男うつりて西日かたむく

        *

  むかしはそこから世界がつくられていった
  今では皆がそこを見透かしている
  神のものである透明

  罅(ひび)となり
  罅が罅をよび
  屈折が全域におよび
  空という青にまでなりはてる

  じゅうぶんに身をおとしてから
  波のように一点に返ってくる
  そのときそこにあく 日

        *

  ガラス工房の炉のまんまるやさつき雨


 
〈 ガラスの三形態2 〉

  ガラス展にならばぬものら六月のビーカー、シャーレ、フラスコの虹

        *

  遠い空振をきいている
  まだ窓枠の中の
  薄いあこがれだった頃

  光に気づいて
  にわかに結晶をならべかえ
  絵を送っている
  地球の裏側にできてゆく聖母子像

  黄色い綿になって
  諍いの家をくるんでいる
  もう土にかえらない 乳母のように

        *

  われが寝て角瓶立ちて雨季の国

《「ガラスの三形態」、まさに「詩歌のトライアスロン」ですね。まねしてみようと思ったのですが、なかなかできません。 ……ナカハラ 》


  カーブミラーまっさおにして夏の海
  半跏思惟してガラス屋の三尺寝
  おもき板買いてしまえり梅雨曇り
  恐竜展ガラスのなかの積乱雲


ナカハラ: 

  〈 ガラスの二形態 〉

  冷素麺割れぬ硝子のなまぬるさ

        *

  Glorify its rarity
  Behind a fence, from a distance
  The aphoristic clarity
  Hates the tepid coexistence

   〈 「英短詩」になってしまいました。 〉

《「冷素麺割れぬ硝子のなまぬるさ」。ふしぎな句です。「割れぬ」が「冷素麺」にかかってもいいのか?、では「なまぬるさ」は?…、言葉はすっきりつながらぬまま前後で交錯する、そんな読み手の戸惑いを誘発する一空間、なかなかこれはいい。 ……kizu 》




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