白梅
正津 勉
二もとの梅に遅速を愛す哉 蕪村
病院から一時帰宅した病人を見舞い
いざ帰る段になるや散歩がてらと促す友と
駅への近道に通る寺の境内に来ていた
目前のおおぶりな白梅のいっぽん
そこの床几に座ると相手はふと
ひとりごちこの句を口にのぼすのだ
するともう堪らずわたしは彼をそこにおき
コンビニへ走りカップ酒をふたつ
ふたりとも酒に目がなかった
会えばいつだって飲まずにはいなく
どうしようもなく飲み狂っているのだった
いわゆるウマが合うというやつ
一個をやつに一個をてまえに
このときこちらは覚えていたのだ
あるいはおそらく向こうさんもちがいない
これはこれはと笑いフタをあけて
それと目まぜして捧げるように
そしてそうっと口へともってゆこう
いやそうこのカップ酒のいっぱいばかりが
ふたりのさいごの杯となることを
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