ぼんくら bonkura/2006/2/15 ![]()
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■父の一〇年 …竹下 力
■さらばさるべしさようなら …正津 勉
■山旅ノートから(連作) …上河内岳夫
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さらばさるべしさようなら |
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山旅ノートから(連作)
上河内岳夫
4
盛岡の停車場近くにできた
萬鐵五郎のある美術館のテラスに佇み
イーハトーヴォのすきとおった風に吹かれながら
岩手山を見つめていた夏の終わり
小岩井農場、七つ森、そして鞍掛山
この地名たちが私の心を震わせる
賢治よ!あなたが月明かりのもと提灯で登った
あの山にあした登るのだ
鳥海山は見えるだろうか
(注)「イーハトーヴォのすきとおった風」=「ポラーノの広場」による
5
ヤビツ峠から塔ノ岳へ表尾根を進む
笹のトンネルを潜り痩せ尾根を渡って
その山中で出合った鹿たちの目に
私の姿はどのように映っていたのだろう
近づいても逃げようともしない鹿たち
人間に超人を教えたツァラトゥストラのように
鹿たちに人間の恐ろしさを教えたかった
お前たちは忘れたのか
人間が残忍な動物であることを
お前たちは野生を回復しなくてはならない
抑えきれぬ苛立ちに私はストックを振り上げた