冬河原
正津 勉
そこに郷里の町の名前がのる
豪雪で死者と躍る見出しの紙面から
ぼんやりと快晴の多摩川を車窓にしていて
ひょいと次の駅で降りていた
遠く団地の群や工場の影
ジョギングやゲート・ボールや
大声で走りまわる犬と子供どもたちや
ホームレスのブルー・シート
風はちょっと冷たくあるが
降りかかる陽ざしは穏やかそのもの
そこら汚いゴミやらナニやらが散らばる
流れはそこそこ川らしくもあるか
礫を投げたり空を仰いだり
もの淋しい気というか寄る辺ない
いおうようのない感情をどうしようもなく
溜息ついたり舌打ちしたり
ふっつり糸が切れてから
遠くずっとはるか空のどこだかを
吹かれてゆく凧よろしく
ふらり右へ左へふらり
そのときどう何をせんとして
わたしはというと突然わけがわからない
ちょうど頭の大きさほどある石に取りつくや
えいッやッと差し上げているのだ
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