おいしい水
正津 勉
歳晩に行く処なく近場の山へ来て
気も晴れずぶっくさとひとり頭を垂れ
頭に浮かぶくさぐさを思うとなく
思っている頭に浮かぶがままに
年が改まるといったところで
何が改まるというものでもない
きのう欲したものをきょう欲して
きょう悔いたことをあす悔いる
天の下に新しいものなどなく
人は何も変わりようもないのだ
だぼハゼはどこまでも同じだぼハゼ
バカは死んでもバカのことわり
頭が少し薄くなったが彼は昔の彼
皺が少し目につくものの彼女は昔の彼女
面目なくして面白くもない日々
また夢かと舌打ちをして朝日を仰ぎ
腹を立てたり頭を下げたり
昼はあわただしく動きまわりぱなし
昨晩は浅草神谷バーで電気ブラン
前々日はどこぞで誰やらと沈没
すでにして忘れられた者であれば
忘れられることこそが幸せというもの
塵の巷にあって肝要なるは作り笑い
信じるべきはただイワシの頭
でもって新しい年の願いひとつ
いま少し多くひょいひょい山に遊んで
ごくごくと喉を潤したいもの
おいしい水を掌にうけて
(05・12・31)
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