
研修のカリキュラム
CSR(企業の社会的責任)研修
1.いまなぜCSRか
2.CSRの歴史
3.CSRの内容
4.国連のグローバルコンパクト
5.CSRの審査
〔長野東ロータリクラブでの講演要旨〕
ご紹介いただきました青木です。よろしくお願いします。
私は,毎朝,年中無休でニュースとニュース解説〔今日は・・・〕をメールで一部上場卸売業とフランチャイズのお店の関係者150名ほどに配信しています。今日で2060号となりました。夜はGREEというブログに日記を書いています。モントリオール在住の外交官の奥さんやカンボジァでNGOに従事している青年など何人かの友達がいます。昼間は毎日ではありませんが,企業の指導にでかけています。
ロ―タリークラブのみなさまですから今日のテーマである「CSR・企業の社会的責任」について,いまさらなにを?と疑問の方もおいでかと思います。また,会社の経営者でない方もおいでのようですから,企業ではないから自分には関係ないよといわれるかも知れません。
ただ,ご案内のように規制緩和ということで,この5月1日から会社法が改正,施行されて,資本金1円のままの株式会社もOKになる。有限会社は設立できなくなる。(ただし,いままでの有限会社のまま特例有限会社として残ることはできる)有限責任社員だけの合同会社もOKになる。会社の利益金処分案は株主持分変動計算書に変わる,役員賞与は費用化される,コンプライアンスやコーポレートガバナンスの見地から株式会社の内部統制システム(情報保存管理,リスク管理,効率的な業務執行,コンプライアンス管理など)の構築が取締役会の専決事項となったことなど大幅に改正されます。
いままでは会社,とくに株式会社は,世間的にも信用のおける存在であったのですが,
今後はベンチャー企業や役員一人といった小会社など種々雑多な企業が会社という存在になり,外からみると非常にわかりずらくなります。
また,資料1の新聞記事の一番下にもありますが,2004年6月にストックホルムでISOの技術管理評議会が開催され,CSRのガイドラインを策定することが決定されました。
2008年にはCSRはISO9001や14000と同様ISOの国際規格になる見込みです。すでにISO26000と規格番号も決まっています。
また,その上の欄にあるようにCSRについて東京商工会議所が行ったアンケートによるとCSRについて「理解の高い企業は大企業は68.8%なのに中小企業はわずか9.4%となっています。しかし,とくに製造業の場合は,大企業を中心に,取引先の法令遵守体制をチェックする動きが相次いでいますので,今後ますます企業はCSRに関する対策を要求されることになると思われます。
例えばトヨタは.部品・資材メーカーから設備,工事,物流も対象に取引先へ環境ガイドラインを設定。4月から要請先を現在の450社から1000社に増やしました。
生産や物流で発生するCO2低減のほか,企業の社会的責任(CSR)への配慮も要請するようにしました。
また,経済同友会の調査よると,昨今、企業経営者が直接関与した不祥事が頻発しているが、「企業不祥事の主たる原因は経営者にある」との認識が約7割に達しました。
一方、直接関与していない場合でも、63%の経営者が「不正行為はないと確信しているが、正直なところ不安がある」と回答。
こうした不安感を受け、コンプライアンス体制の見直しや社内点検など何らかの予防策を講じる経営者が増加し、「何もしない」は3年前の23%から4%に減少しました。
企業の社会的責任(CSR)については、「CSR」という言葉が一般的でなかった3年前に比べ、企業の社会に対する責任として経済面(収益確保、配当、納税等)のみならず、「人権」「環境」などを挙げる経営者が増加。
また、69%が「CSRは経営の中核課題」とし、「利益の還元」「払うべきコスト」との意識はやや薄れています
社会的責任投資(SRI)については、3年前に「知らない」「聞いたことはあるが、内容は詳しく知らない」が52%を超えていましたが、今回は17%に減少し、認知度は向上しました。
さらにCSRは会社だけでなく,あらゆる組織に対して要求されますので,病院など会社でない組織にも関係がないとはいえません。
そもそも日本の場合は『三方よし・・売り手よし,買い手よし,世間よし』という近江商人の家訓や二宮尊徳の「道徳なき経済は罪悪,経済なき道徳は寝言」渋沢栄一の「事業という以上は自己の利益すると同時に社会,国家も益することでなくてはならぬ」といって社会性を強調されています。
でも最近はご案内のホリエモンのように儲ければなにをしてもいいのだ,村上ファンドのように会社は株主のものだ。などいう議論もでてきています。
また,成果主義の名のもとに社員のリストラは当たり前という風潮も一般的になりつつあります。
しかし日本はアメリカとはその風土も人間も違っており,運命共同体でなければその存立基盤も危うくなりそうです。
そうしたなかでCSRが国際規格化されようとしているのはまさに時機にあったことといえると思います。
オランダのフィリップ社の元会長やキャノンの元会長が中心になって1994年に発表されたスイスのコーで開催されたコー円卓会議。(コー・ラウンド・テーブル)
2002年にガイドラインが示され,現在はオーストラリアのヘンダーソン女史が理事長であるアメリカを中心にしたGRI(グローバル・リポーティング・イニシアティブ)
2004年に提唱された日経連の「企業の行動憲章」。これは,コンプライアンス,企業倫理,情報,安全と品質,人権と労働,環境,社会貢献,の6項目(計45項目)がある。などはそれぞれ下に書いたCSRの定義を具現化したものです。
まさにCSRは企業評価の新しい基準といえます。
社会・・地域社会への貢献,消費者に対する方針,取引先とのCSR管理体制の共有
環境・・企業の環境対策情報の公開,環境問題への取り組み姿勢
従業員・・雇用の安定と新規雇用の創出,教育・研修体制の強化,倫理規定の作成
企業統治・・汚職防止の対策,利害関係者からの独立性の維持,経営と監視の分離
こうしたことは企業としてはすでに実践しているよということが多くあると思われます。社会貢献は当たり前でも公表することではないという感覚があったためか,外部からは見えにくかった。いまはそのよさを外にアピールしていくことが求められています。
自動車メーカーによる度重なるリコール隠しや、食品表示の偽装など、最近は大企業であっても、本当に信用できるのか不安を感じている人も多いのではないかと思われます。
「自社の利益を優先している企業」と「社会の一部として、社会に責任をもって活動する企業」では、消費者への企業姿勢が自ずと違ってきます。
CSRは、常にアカウンタビリティ(説明責任)が要求されます。それには、商品の安全性や環境への配慮、社会貢献、従業員への配慮、そしてそれらが、積極的に情報公開されることなどが含まれます。
例えば、次のような事柄です。
ある食品がどのような履歴を経て生産されたのか、遺伝子組み換え食品や過剰な農薬が使われていないか。
その商品が作られている工場では、有害な物質を出さないか,全て管理されているかどうか。
誇大な広告をしていないか。
社会の一員として、近隣コミュニティとの良好なコミュニケーションを持っているか。
従業員が快適に安心して働くことのできる環境になっているか。
これらの情報が公開されていれば、消費者は安心して商品を購入できるでしょう。
つまり、社会的責任を重視しているかどうかを判断し評価することが、商品を選択するときのひとつの大きなポイントとなるのです。
また,同じような商品で、同じような価格であれば、消費者はより良いイメージを持つ企業の商品を購入するでしょう。
企業が自らも市民として、市民と共に活動することで、それが市民からの共感を得ることになり、ひいては他社との差別化ができることになります。
CSRを重視することによって、社会からの評価と共感を得た企業が大きく飛躍し、生き残っていくという時代がすぐそこまで来ています。
日常業務のなかのCSR行動についての例は,資料4−5にあるとおりです。
これはCRT(コー円卓会議)日本委員会のCSR体制構築テキストの全56ページのなかの一ページです。
1の企業の責任から2.企業の経済的及び社会的影響 3企業の行動 4ルールの尊重 5貿易の自由化の推進 6環境への配慮 7の不正行為の防止までの項目に関して,それぞれのステークホルダー(顧客,従業員,株主,取引先,競合他社,地域社会)に対して会社はどう関わっているか,また関わるべきかをまとめたものです。
これはほんの一部分ですが,こうした全体像に関して審査を行い,ランクをつけてその実践状況を客観的にチェックするのがCSR審査員の職務です。
大企業の場合は日経連の「企業の行動指針」中小企業の場合は東京商工会議所の「企業行動規範」に準拠した審査を行います。
審査は3人でチームをつくり要求項目を審査します。
ダイヤモンドクラス・・要求項目100%を達成
ゴールドクラス・・・80%以上の分野において,それぞれ80%以上の項目を達成
シルバークラス・・・60%以上の分野において,それぞれ60%以上の項目を達成していると認証され,3年ごとに更新されます。
私は2月に4日間,朝9時から夜9時まで,さらに講習の最終日にはテストがあり,幸い審査員の資格を取得してきました。あとCSRの推進指導をわずかの企業ですが,行っています。
一方,国連のグローバルコンパクト(世界経済における企業のリーダーシップ)は国連のアナン事務総長が提唱され,2000年から発足したもので,これは審査はありません。国連に趣旨に賛同した。という文書を提出すればOKになります。人権,労働,環境,腐敗防止の10原則全部を取り組むことは必要ありません。
ただ一年に一回の報告義務はあります。
現在94か国,2875団体が加入しています。1.フランス・404,2.スペイン・286,3.アルゼンチン・203,4.ブラジル・151,5.フィリピン・139,6.アメリカ・122,7.インド・116
日本は17.でまだ大企業の44社が参加されているだけですが,従業員20数名の会社も一社参加されています。そして名刺に表紙掲載の「国連のロゴ」を使って営業活動を行っておられます。ぜひこれについては,費用もかかりませんし,一層の企業イメージのアップのために加入をご検討いただけると幸いです。国連広報センターへ申し込みます。
新聞記事の最後にありますが,「積極的に基準を守り,当社はこのように社会貢献をしているとステークホルダーに胸をはっていえることが企業の信用や評価となるし,またそれが新規に顧客開拓の好機にもなり,ひいては企業だけでなく地域の発展の元にもなるのだ。という点をご理解いただければと思います。
なお,最後のページに世界的なグローバル企業であるデュポン(株)の企業理念をご紹介しました。(わが社は,業としての目標や戦略が変わっても,理念は変わることはない。と明記し,4つのステークホルダー(顧客,地域社会,株主,社員)の重視。
中心的価値体系として・・安全・衛生環境の配慮,業務倫理基準の遵守,社員については,育成,評価,活躍の機会の公平な処遇。さらに社員の自発性,創造性の最重視をあげています。)
欧米でのCSR意識の高まりを受けて、日本でもCSRに対する関心が高まってきました。当初は、CSRは外国から押し付けられた、新たなコスト要因だという反応もありました。
しかし、CSRが求めているのは何もNPOに寄付をしたり、地域のためにコンサートを開催したりということではありません。もちろん、そういった社会貢献活動もその一部ではありますが、それだけではありません。
多くの企業には、企業理念があります。通常、企業理念は「お客様から信頼される会社。」とか「サービスを通じて、豊かな社会を築く」など、社会と会社との関わりを考慮して作られています。
CSRに取り組むということは、CSRレポートを発行することが目的なのではなく、社会にどのように貢献していくかを考え実践し,そして結果として企業が社会の一員として生き残っていくことが真の目的です。
それぞれの企業におかれても,企業と社会との関わり再認識されて,もう一度「自社の企業理念の見直し」をされて,新たな経営戦略に位置づけられることが必要かと思われます。
今日は時間の関係でCSRについて,ほんのアウトラインだけをお話しましたが,意のあるところだけでもくんでいただければ幸いです。もし,疑問な点,やってみるかと思われる方がおいででしたらいつでもお伺いされていただきます。
今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。以上で私の話をおわらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
以上