1・【一瞬、目の中に希望が見えた。治癒の転機のスイッチが入った、と思った】

Hさん、三十四歳。主婦――。
腰椎に転移。足のしびれのため、歩くどころか、膝を立てることさえできない。ご主人に抱きかかえられてA・Hオプショナル治癒研究所に来た。
 息子はまだ小学生。このまま死に向かうのは、あまりにも不憫であった。しかしこのままでは、あと一ヵ月ももたないだろう。すでに目に力はなく、食事は液体のものを、一日、コップで一、二杯飲むのがやっとだった。サプリメント(健康補助食品)も十分に使えないような状態にある末期患者。

なんとかしたい――。

 がん症状緩和のための特別処方薬を飲み始める。ヒーリングタッチを行ない、頭のチャクラからはじめ、七つのチャクラに生命エネルギーを入れてみた。このヒーリングタッチの方法がいつでも自宅でできるように、ご主人にもやり方を教えた。こうしている間にも少しずつ笑顔が戻っている。
 一瞬、目の中に希望が見えた。治癒の転機のスイッチが入った、と思った。

 帰り際、車椅子の彼女に、「いいご主人ですね」と話しかけると、「ええ、ほんとにそうなんです」と微笑んだ。苦しみ、悩みぬいた末に、壁を破った人の顔だった。

 医者になって良かった――そう思った瞬間――




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