Vol.13-41
薔子の部屋の目ざまし時計は4時をさしている
「あーよく寝たー
もう夕方じゃんー」
ベッドからおき出してー
そう言えば昨日、朝まで彩、帰ってた来なかったけど
何時まで仕事してたんかしらー?
ドアを開けキッチンの方を見ると
彩がテーブルでマンガを描いている
「あら、薔子いたんんだー
帰ってこないから外泊かなーって思ってたー
薔子の方が先に帰ってたんだねー」
「もしかして、あんた帰ってからずっと
漫画、描いてたの?」
ツカツカと彩のそばまで歩き
「うん、六時頃帰ってからソッコウ取りかかったわよー」
薔子はガタンと冷蔵庫を開けて
「ちゅうか、あんた漫画やめたんじゃなかったっけ?」
「転職したばっかでいろいろ大変だったから休んでただけー
やりかけにしたままでやめらんないしー」
缶コーラをプシュッ!と開けて
「まぁ、仕事はちゃんとやってんだから
モンクないけどねー」と言いながら
薔子は後ろから彩の絵を覗き込み
「ちょっと!あんた!その絵ひどすぎない!!
いくらギャグだって言ってもさー
やっぱ、あんたやめた方がいいよー」
コーラを飲みながら向かい側の椅子にすわり
「下手だからって、いい加減に言ってるんじゃないのー
悪いけどーあんた芽、出ないよー
私くらいのレベルになると一目、見て
その人がどこまで伸びるかわかるのよ」
薔子は彩が怒るかと思ってたがー
「私もわかってる…
才能ないよね…」
静かな声で彩は言った
「たかだか16ページ描くのに
こんなに手こずるなんてー
自分でも、びっくりしたわ」
「ムリなことわかったんなら、もうやめりゃいいじゃん
もともと漫画、好きでもないくせに無理して頑張っても
あとでこの世界の厳しさ知って
諦めた時には何も残らないよ…
後悔する前にやめちゃいなさいー」
と薔子はコーラをゴブゴブ一気飲みした
「でもねー
それがねー
たぶん、もう
やめらんないのかもしんないー」
というと彩はペンを置いて
自分で自分の右手をつかんだ
「あの手の感触が残ってるから…」
そして、そっと瞳をとじてー
「きっと一生、消えない気がしてるの…」
自分の右手をさわり、瞳をとじ
そして、ほんの少し微笑んだ彩を見て
薔子はー
「あんたさー
アタマ、やばくないー?」
と呆れた声で言い
空になったコーラの缶をパコパコと握りつぶしたー