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y:
いろんな作曲家を取り上げている中で、レヴヴェルタス(1)についてはどう考えていますか?
b: 彼はメキシコの作曲家だけど、作曲家としての彼の名前はあまり知られていない。
y: 彼のスペイン人民戦争に参加した作曲家としての生き方を含めて、あなたは惹かれるものがあったんですか?
b: いやいや、私はまだ死にたくはないよ(笑)彼はバイオリンの勉強しにアメリカに行ったんだ。そしてメキシコに帰ってきたあとに、シンフォニー・オーケストラを作りたいと考えた。ところがシンフォニー・オーケストラを作っても演奏する曲がメキシコにはない。で、自分で曲を作ってしまおうってことになった。1940年頃に彼は亡くなったが、彼が実際に作曲をした年月というのはたった10年間だけだった。彼は政治的な活動家でもあった、スペイン独立市民戦争に参加してその曲をつくった。大変な酒豪で、それが原因で死んでしまった。
y: 彼の政治的な活動、つまりミュージシャンが政治的な活動をすることについてはどう思いますか?労働者のための音楽というか。
b: とても大事なことだと思う。結局音楽家というのは、現実の生活からちょっと離れたところで抽象的な行動することが多々あるので、現実的な生活とリンクすることがとても大切だと思う。
y: 現実の生活とのリンクから、マーチング・バンドとか、舞台音楽を意識することはありますか?
b: ときどきね。私たちは30年代40年代に生きているわけではないから、状況が違う。そのときとまったく同じことを今するというのはあまり関心がないんだ。例えば当時、ご飯が食べられないから闘うとか、社会を変えるために闘うとか、そういう状況とは全然違うので、今そういうことをしても仕方がない。社会をみたとき、ストライキもなければ何もない平和な現在、当時と同じような態度で音楽活動をしたり、宣伝をしたりする人がたくさんいるけど、それはとても愚かなことだと思う。今でもそれを歌うロック・ミュージシャンとか、ポップスは人々に人気があるが、それで金持ちになってしまったら、一体何を信じて聞いていたのか、わからなくなるよね。
y:あなた自身の中では、音楽はどんな風に変わってきたのですか?
b: 最初の頃は驚く程の勢いでまっすぐ進んでいた。一本道を馬のように。今はもっと民主的に、オープンで、もっと多くのスタイルや異なるものを取り込むようになった。みんなを喜ばせようとは思わないが、音楽を通して人々に語りかけたいと思っている。
y:みんなというのは観客のことですか?
b: そう。できれば知的な人々、広い視野を持った人々だといいけどね。ただ、私の音楽というのは特定の人たち、例えば、子供だけを対象にした音楽というのではなくて、子供も80歳のお年寄りにも通じるような音楽というのを作りたいと思っているんだ。コンサートにはたくさんのレベル、年齢の人がやってくるんだね。
y:ステージでのパフォーマンスというのはバンドの人たちとアイディアを出し合うんですか?それとも独りで決めるのですか?
b: 曲自体は95%私が書いているけれども、ステージの場合は「コレクティーフ」という名前が入っていることをよく考えて欲しい。つまり、みんな何かを必ず提案しなければならないということ。その集合体としてステージをやっているんだ。雇用者と労働者の関係ではなくて、みんながそのバンドの人間なんだ。
y:バンドを維持するのは経済的に大変だと思うんですが。
b: 確かに。私が全部責任を持ってやっているよ。でも、やっぱりここでも「コレクティーフ」という言葉がキーワードになっていて、「全部平等に」という思想のもとにやっている。例えばギャラも公平なんだ。
y:ブロイカーさんの音楽は昨日のステージ(2)を見て、初めてわかったという気がします。そのパフォーマンスも含めてブロイカーさんの音楽だなと強く印象としてあります。もちろん音楽だけを聴いてもすばらしいんですが、パフォーマンスを見ないとダメですね。
b: そう望んでいるよ。ステージを見なくても、もちろん音楽だけでも十分力のある存在だと思っているけど。
y: 最後に、メディアがLPからCDになって作品の作り方が変わりましたか?
b: 基本的には作曲する側の態度の違いはよくわからないが、LPのときは、40分しか録音できなかった。すぐにスクラッチしてしまうし、音もよくない。クオリティに関しては全然今の方がいいし、80分も録音ができる。素晴らしいことだと思うよ。私は個人的にはLPの方が好きだね。なぜなら、ハコのジャケットも一つの要素として楽しむことができるから。今のCDでは小さすぎてダメだね。匂いもLPの方がいい匂いがする(笑)。
y :ありがとうございました。サインをお願いしていいでしょうか。(鞄からアルバムを取り出す)
b: わあ、これもってたのかい?これはオルガン・アルバムだよ。オリジナル・ジャケットだから、オルガンに入れるとちゃんと演奏されるんだよ。
y: あの、もうひとつこっちにもいいですか…。
b: いいよ、何枚でも(笑)
2001.04.22 吉祥寺にて
※注釈一覧
1.レヴヴェルタス(Silvestre Revueltas)
民族主義的な作風で知られるメキシコの作曲家。
2.昨日のステージ
2001年4月21日(土)東京・吉祥寺STAR PINE'S CAFEにて
●クレジット インタビュア/山下恭弘 通訳/若林雅人
●謝辞:eyewill(http://www.eyewill.co.jp/)田中淳氏のご協力に感謝致します。
山下恭弘(やましたやすひろ)
音楽愛好家、デザイナー。
原一男、小沢昭一などのインタビューが掲載され、惜しくも1996年に廃刊になった『上落合通信』発行者。
村上タカシの杉並区立和泉中学校を舞台とした『IZUMIWAKU』のドキュメンテーション、art magazine VOIDのデザイン等
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