前日、グラウンドを囲む道路より、ランニングするバスケ部の下級生とすれ違いながら、
練習するサッカー部の様子をこっそりうかがってみました。
ラグビー部とグラウンドを分け合うサッカー部は、尚志館の前、道路から一番見にくい位置でした。
道路に近い場所でシュートやパスの練習をしているのは、
ポジションと名字を大きく書かれた白いシャツをジャージの上に着ている1年生です。
たとえ上級生がそばにいても、のびのびやっているように見えるのは、ヒガシらしさでしょうか。
4月29日(vs 筑前)
赤と白のイレブンが、時折土埃が舞うグラウンドへ登場しました。
試合開始までの、興奮と気だるさが入り混じった時間―吉田くんは、指でボールを回しています。
整列した最後尾で足をブラブラさせている背番号12は、辰徳くんです。
ベンチ横には、名前入りシャツを着た1年生がずらりと地面に座って観戦。
今年は1年生のみの海外遠征が計画されているように、期待のメンツなのですが、
まだ先輩の戦い振りを見守るようです―大きなFW金子くんと小さな大里くんが目につきます。
大西(康)[9]
荒牧[7] 池田[16]
荒木[15] 相良[10]
寺戸[3]
山形[12] 林[2]
原[5] 吉田[4]
真子[1]
このフォーメーション図が正しいと言える自信がありません。
今の新チームを見ていると、自分がもはや東福岡サッカーの代名詞となっている
4−5−1システムに縛られすぎているのではないか・・・と思ってしまうのです。
地味なつなぎ役という印象があった守備的MFを務める寺戸くんが、時にはCBの位置まで下がったり、
逆に前線へ進出して攻撃参加したり、その存在を見ている側へ訴えかけてきます。
独自のセオリーで4−5−1を確立した志波先生は、取材でこうおっしゃられているのですが。
あんまりシステムとかは関係ないんだよね。
システムっていうのは、その選手の特徴に合わせてそのポジションに当てはめればいいだけであって、
4−4−2だろうが3−5−2だろうが戦い方の問題であって、
その考え方を頭の中にきっちりと持っておけばいいわけ。
それを、システムの中に自分の頭をポーンと入れようとするからおかしくなってしまう。
吉田くんが華麗に攻撃参加するのですが、フィニッシュに力がありません。
また、左を駆け上がった辰徳くんが、奪いにきた相手選手を綺麗にクルッと一回転してかわし
シュートを放ったのですが、これもゴール上。サッカーは最後が一番肝心なのに・・・。
追加点が取れそうで取れないまま、前半は終わりました(このインハイ予選は何分ハーフ?)
ベンチのそばに、何に使うのか(体育の授業?)登るためのロープが何本かぶら下がっていて、
試合中も幼い子供たちが展開に構わず―共に遊ぶ部員もいました―よじ登っていたんですが、
そのうちの一本を持ったまま、志波先生がイレブンに檄を飛ばします。
「与えられたチャンスを生かせなかったら、どんどんなくなってく」
現時点で赤いユニフォームをまとうメンバーに向けられた言葉なのですが、
先生の後ろでは1年生たちも耳を傾けています。その境界線は実に狭いもの。
私などがストレスを覚えるくらいですから、志波先生は言わずもがな。
プレーが雑すぎると指摘するなら、きっと誰でもできるのでしょうけれど。
「うまくできない時は、ワントラップ、ワンドリブルしてもいい」
先生はピッチに戻ろうとする相良くんと康平くんを呼び止め、地面に靴で何やら書いて指示します。
後半、イレブンがボールを丁寧に扱おうとしているのがよく分かりました。
改善されなければ試合後も練習すると、先生はおっしゃったのです。
「ヘーイ!」
大声で叫びながら入ったクロスをキャッチするのは、真子くんです。
康平くんが後ろに下がるなど、ポジションチェンジも行いながら試合を進めていきました。
辰徳くんは、オーバーラップして放ったショットがゴールをはるかに外れたり、
クロスが思ったところに飛ばなかったり、クリアしようとしてミスしたり・・・。
ヘッドでクリアしたボールをうまく荒木くんにつなげた時は、その荒木くんが取られてしまいました。
結局、後半はどちらも点を取れぬままタイムアップを迎えました。
筑前ベンチへ真っ先に挨拶しに行ったのは、辰徳くんでした。
練習かな・・・とビクビクしながら見ていたのですが、選手はダウンへ入りました。
辰徳くんは出場組で一番早々と上下黒ジャージをまとい、素足で身体を鎮めていきます。
おなかをさらされた時には、これも血のなせる業かとドキドキしましたけど!(笑)
にしても、どうしてジャージを下げて履くんでしょうか?(なんて年寄りくさいコメント・・・)
大里くんが辰徳くんや林くんの背へ一生懸命体重をかけて、筋肉をほぐすお手伝いをしています。
なぜかデンソーカップの中四国選抜12番のウェアを着た林くんと尚志館へ引き揚げた辰徳くんは、
ややあってから、両手にシューケースを下げ、その上右手に紙袋、
更に東福岡の手提げカバンを片方のひもだけ右肩にかけて登場し、ミニストップへ向かいました。
ほんの1ヶ月見なかっただけなのに、男前になったと酔ってしまったのは、髪を切ったためでしょうか。
4月30日(vs 筑陽学園)
東海大学第五高校は、赤間駅南口から300mほどの場所にありました。
荒牧くんが先制点を決めたあたりからの観戦となりました。
前日の好天が一転しての雨で、グラウンドはぬかるみ、選手はみんな泥まみれです。
荒木[15]
橋口[11] 大西(康)[9]
荒牧[7] 相良[10]
寺戸[3]
山形[12] 林[2]
原[5] 吉田[4]
真子[1]
東福岡は右サイドから何度か仕掛けますが、実りません。
「慌てない、慌てない!」
志波先生の声が、グラウンドを見下ろす位置に設置されたテントより響きます。
たとえタッチラインを割りそうになっても、最後までボールをつなごうという意識が強く感じられます。
「ボールの寄りが遅いよ!」
「相良、スペース、スペース!!」
サッカーを見始めて5年になりますが、いまだサッカーというスポーツ自体への理解は低いままです。
自分よりもサッカーへの造詣が深い方と一緒に観戦すると、いつもその言葉で見落とした部分に気づき、
サッカーの持つ“シンプルゆえの奥深さ”へ感じ入ると同時に、おのれの眼の情けなさを呪います。
志波先生の指摘は実に的確で、私ですらそれが分かるので、余計、修行不足を痛感させられるのです。
寺戸くんが上がってボールをカットし、右サイドの康平くんへ出します。
外から低いクロスが入ったのですが、合いませんでした。
原くんや吉田くんも、人に対する粘り強さを備えてきたような気がしました。
「4枚、4枚!」
相手FKに対し真子くんが相良くんたちへ指示するのですが、なぜか壁は3人で作られました。
後半開始前、東福岡のテントから拍手が聞こえてきました。
前後半のキックオフでは必ず行われる円陣が、この後半省かれたのと何か関係あるのでしょうか?
辰徳くんがやる気まんまん(?)に先頭で雨の中へ飛び出そうとしたのですが、
そんな東福岡イレブンへ、レフェリーから無情なお言葉。
「ラインズマンの先生、車移動させてるから」
ハーフタイム、高校に隣接する幼稚園横グラウンドへの駐車に移動の指示があったのですが、
どうやらラインズマンのお一方が該当してしまったようでした。
一度テントに戻りかけたイレブンでしたが、吉田くんと辰徳くんが喋りながらやはりピッチへ出ます。
いきなり荒木くんのシュートが刺さり、立ち上がり5分は要注意という使い古された言葉がよぎります。
更に荒木くんは康平くんへ浮き球を配し、康平くんもナイスクロスを入れたのですが、合いません。
「飛び込みが遅い!」
しつこいですが、サッカーは点を取り合うスポーツです。攻撃は点を取るための行動なのです。
サッカーでは、監督以外にもう一つ、選手とは違った位置で戦局を見守る立場があります。
自陣最後方に位置する―そう、ゴールキーパーです。コーチングはGKの重要な仕事です。
「集中!」
「蹴った後、蹴った後!」
「手いらない!」
「2番つかまえろ!」
指示は、どうしてもキーパーに近い守備陣へ多く飛びます。
「原、もっと寄せる! そんなスペース開けてたら簡単に打たれちゃうよ」
志波先生の言葉との差異は、間違いなく話者のパーソナリティでしょうが。
その前にオフサイドだったんですが、真子くんは強烈なシュートをきっちり止めたりしてました。
辰徳くんは、守備に携わる時間が長くなっていました。
スペースを原くんがケアしようとはしていたんですが、筑陽の9番が何度も進出してきたのです。
ここから入るクロスに、東福岡はかなり苦しめられました。
一度は林くんの足に当たってしまい、オウンゴールが記録されてしまいました・・・。
上げるだけでなく、時には巧みな切り込みで翻弄するなど、
名前が分からないのが残念なんですけど、今後注目したいと思いました。
「ノリ、上がんな!」
シュートのこぼれに反応して前へ行きかけると、吉田キャプテンに止められました。
の吉田くんがFKでリスタートする時には、「上がれよ」と蹴る前に。
前線へ長いボールを何本か蹴っていたのですが、精度は今一つで、あまりつながりませんでした。
最後に、中央の荒木くんからパスを受けた右の康平くんがゴール前へ入り、
打つかと思いきや左から来た荒牧くんへパスし、彼がこの日2点目をゲットして試合は終わりました。
両手にシューズとウェアを持った吉田くんはじめ、イレブンは雨に濡れたまま引き揚げていきます。
首に宮原さんと同じようなものをしている辰徳くんだけは、傘を差してもらってました。
左手で赤い傘を差し、右手でボールが6個入った緑色のバッグを運んでいるのは、大里くんです。
林くんが着替えに行く階段を、石段ではなく、わざわざ脇の芝部分を
しかも逆向きで登っているのが、なぜか気になりました。