第七章 自分を誘導する(自己催眠)

私が知っている範囲では以下の3つの方法があります。

1.自律訓練法
2.
ベティ・エリクソンの方法
3.
観念誘導を利用した方法

1.自律訓練法

ドイツの精神身体医学者シュルツの考案したものが有名です。
名前をつけてシュルツの自律訓練法と呼ばれることもあります。
この誘導法は、標準練習・黙想練習・特殊練習の三段階から成り立っていますが、
基本は標準練習です。
標準練習は、以下の六段階のステップで構成されています。

段階 暗示内容 暗示の言葉 所要時間
重感覚暗示 両腕・両足が重たい 約1分間
温感覚暗示 両腕・両足が温かい 約1分間
心拍調整暗示 心臓のリズムが規則正しい 約1分間
呼吸調整暗示 呼吸が楽だ 約1分間
内臓調整暗示 お腹が温かい 約1分間
額部涼感覚暗示 額が涼しい 約1分間

   

標準練習は、続けて約6分で終了します。
ただし、はじめから一度に全部通して実行するのは無理なので一日一段階ずつ区切って
納得しながら行うと良いでしょう。
段階1から6までやり方をかいつまんで説明します。
(一日に一段階ずつ増やしてマスターしてください)

段階1

慣れるといつでもどこでも行えますが、初めてのひとは静かなところで、カーテンを
しめて薄暗い環境で行うのが良いでしょう。柔らかすぎない寝心地の良い布団に
大の字に横たわりましょう。とにかく、あなたが落ちつける環境を整えます。
別に横たわらなくてもOKです。
そして、「心がとても落ち着いている」と言う暗示を唱えて、心が穏やかな感じを充
分に味わってください。
次に、利き腕に意識を向けて「右(左)腕が重たい」と心の中で唱えてください。
ここで、何かしびれるような感じとかだるいような感じが出てきたら、その感じを十
分に味わってください。
重くならなくては駄目と言うことはありません。気長にやってください。
そのうちに、けだるい感じが広がってきます。(あるいは、痺れたような感じ)この
感じは、人それぞれなので一概にこうであるとは言えません。
その感じが出てきたら、左(右)腕→右(左)足→左(右)足に対して、同じ事を進
めていきます。
十分にけだるさ(重さ)等を感じ取れるようになったら、翌日は段階1・段階2と進
めましょう。

段階2

段階1の暗示を「右(左)腕が温かい」と言うふうに置き換えて同じ手順で行います。
感じを十分に味わいながら進めてください。翌日は段階1・段階2・段階3と進め
ましょう。

段階3

胸のあたりに意識を向けて「心臓の鼓動が規則正しい」と心の中で繰り返し唱えてく
ださい。
身体の変化と潜在意識は密接に関係しているので、鼓動が落ちつくとともに心もど
っしりと落ち着いてきます。
十分に味わってください。
翌日は段階1・段階2・段階3・段階4と進めましょう。

段階4 

呼吸に意識を向けて、「呼吸が楽だ」と言う暗示を心の中で繰り返し唱えましょう。
呼吸が長く、深くなってきます。
その感じを十分に味わってください。
翌日は段階1・段階2・段階3・段階4・段階5と進めましょう。

段階5

お腹に意識を向けて、「お腹が温かい」と言う暗示を心の中で繰り返し唱えましょう。
その感じを十分に味わってください。
翌日は段階1・段階2・段階3・段階4・段階5・段階6と進めましょう。

段階6

額に注意を向けて、「額が涼しい(冷たい)」と言う暗示を心の中で繰り返し唱えまし
ょう。
その感じを十分に味わってください。

以上で、標準練習は完了です。
各々の段階は約一分なので、約六分もあれば全て行うことが出来るようになります。慣れてくれ
ば一通り、いつでもどこでも環境を気にせず行うことが出来ます。電車の中ででもOKです。
顕在意識もしっかり覚めていますから、乗り過ごすこともありません。急な来客や、電話も平気
です。
ただ、慣れてきても、音が気になる人とか周りの環境が気になる人は、自分の性格にあった静
かな環境で繰り返し行って下さい。
寝る前なんかが良いでしょう。
注意点は、「あ〜。そんな感じがしてきたな〜」位のところで十分に感じを味わうと言うことです。
決して、「重くならなければならない」とか「〜でなくてはならない」と意識でがんばらないで下さい。
また、気分の乗らないときは無理に行う必要はありません。義務感をもって行わないで下さい。
義務感を持って行うと、意識が邪魔をして潜在意識の活動を妨げます。

自律訓練法には、次に黙想練習・特殊練習と言う段階がありますが、このやり方は標準練習を
マスターした上で行ってください。
やり方は、私が”道具箱”の方に書く予定です。
お楽しみに。  

2.ベティ・エリクソンの方法

  自律訓練法が身体的感覚を利用するのに対して、これはイメージ作用を利用した方法です。
  姿勢は寝てても座っててもいいのですが、ここでは座っているものとして説明します。
  視線は同じ方向に固定して行ってください。

まず、座って視界に入るものについて3つ描写します。(声に出して言ってみて下さい)
例:「目の前にパソコンのディスプレーがあります。窓から明かりが差し込んでいます。
飲み残しのコーヒーカップがあります」

それから、視覚について3つ描写します。
例:「パソコンのファンの音がします。時計が時を刻む音がします。浴室の換気扇の音が
します」

最後に身体的感覚について3つ描写します。
例:「足の裏があたっている床の冷たさを感じます。ネクタイが首に巻きついているのを
感じます。両肩にジャケットの重みを感じます」

以上視覚・聴覚・身体感覚について3つづつ描写し終えたら、今度は各々に対して2つづ
つ描写して下さい。

そして、1つづつ描写してください。
これを行うことにより、うとうとしてきて外部の事象への興味が薄れ内面世界へ
”す〜っ”
と入っていけるようになります。

感覚の順番は好きなように行ってかまいません。

補足説明は”道具箱”の方に書く予定です。
お楽しみに。

3.観念誘導を利用した方法

※この方法は、「一人でできる 催眠入門」門前 進著 光文社 カッパブックス 
よりかいつまんで引用させていただきました。詳細は本を参考にしていただけると
幸いです。
私も出来るだけ生きた内容を自分の言葉で”道具箱”の方に書いていこうと思いま
す。

観念運動から自己催眠をトレーニングします。そして最後に後催眠(催眠中の暗示が、覚
めた後に効力を発揮する催眠)で、いつでもどこでも催眠体験を行えるようにトレーニン
グする方法です。
以下の3つのステップよりなっています。

腕移動

左右の腕の肘を曲げて、肘の部分を軽く身体につける。そして左右の腕を身体の幅より少
し広げて前に出す。そのとき手のひらは内に向けて対向させる。その状態で、目を開けて
両方の手を近づける練習をします。
次に、目を閉じて「手のひらが近づいていく」と、心の中で唱えてください。
両手の指先がついたら終わりです。
最後に、手を太ももに下ろしてその感覚を味わってください。

腕浮揚

利き腕を太ももから下ろし、脇を少し開いて手が椅子や身体に触れないようにする。
その状態で「腕が上がる」と心の中で唱えてください。
そのままぼんやりと腕が上がってくるのを待ってください。
お腹の高さぐらいまで上がったら、手を太ももにもどして、心の中のゆったりとした感じを
味わってください。

後催眠暗示

以上の2つのステップが済んだら「『私は催眠に入る』と心の中でつぶやけば今の気分に
入る」と言う暗示を自分の心に言って聞かせます。

以上のステップをおおよそ以下のプログラムによって行います。

@腕移動+解催眠 1回10分程度の練習を朝晩2回・3日間
A腕移動+腕浮揚+解催眠 1回10分程度の練習を朝晩2回・3日間
B腕移動+腕浮揚+後催眠暗示+解催眠 1回10分程度の練習を朝晩2回・4日間

観念運動を利用しているのが特徴です。

 

 

 

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